ストーブリーグ前の残暑リーグ

夏真っ盛りと言っても通用しそうなきょう昼間の神宮球場

きのう、きょうは真夏の暑さがぶり返した中、神宮球場でヤクルト-巨人戦の取材である。
一昨日まで、優勝マジックの消えた首位・巨人は5連敗中、最下位のヤクルトはあと1敗でCS進出が完全消滅する瀬戸際。

きのうは巨人が負けて連敗が6に伸び、試合後に明るく報道陣に対応していた原監督も、頬がいささか引きつって見えました。
それでも、この人は偉いなあ、と思うのは、周りにぶら下がった記者たち全員に届くような声で話してくれること。

きのうは四球、死球、野選、失策とほぼ自滅に近い負け方だっただけに、内心は爆発寸前だったはず。
それでも、「いまはアゲンストの風が吹いているね。誰がどうこうじゃなく、みんなで戦っていかないと」と、記者の列の最後尾にいた私にまで聞こえるほどの声で活字になるコメントを発していた。

一方、崖っぷちで踏みとどまったヤクルトは先発のベテラン・石川が通算170勝、うち巨人戦30勝と区切りの勝ち星をゲット。
4番・バレンティンもバットを折りながら先制2ラン本塁打をバックスクリーンにたたき込み、これが日米通算300号。

しかし、この時点で残りは僅か14試合。
試合後のクラブハウスで顔見知りのヤクルト関係者と出くわすと、「シーズンが終わったら誰と誰がクビになるんだろうなあ」という話になる。

残暑リーグ、いや、プレ・ストーブリーグはすでに始まっている。
まあ、せめて、自分の知り合いには心安らかにオフを迎えてほしいものですが。

スポーツライター。 1986年、日刊現代に入社。88年から運動部記者を務める。2002年に単行本デビュー作『バントの神様 川相昌弘と巨人軍の物語』(講談社)を上梓。06年に独立。『失われた甲子園』(講談社)新潮ドキュメント賞ノミネート。東スポ毎週火曜『赤ペン!!』連載中。 東京運動記者クラブ会員。日本文藝家協会会員。
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