『クレオパトラ』(NHK-BS)

Cleopatra
245分 1963年 アメリカ=20世紀フォックス

この映画は中学1年だった1975年、日本テレビ『水曜ロードショー』でテレビ初放送された日本語吹替版を両親と一緒に観た記憶がある。
解説は「いやあ、映画って、本当にいいものですね!」の水野晴郎さん。

192分だった当時の劇場公開版を前後編に再編集し、2週に渡ってオンエア。
クレオパトラ役のエリザベス・テイラーを吹き替えていたのは、フジテレビ『女ねずみ小僧』(71、72、74年)、TBS『アイフル大作戦』(73〜74年)といったテレビドラマに主演していた小川真由美だった。

画像は74年ごろにリバイバル公開されたときのチラシ&ポスター。
今回観たのは当時のヴァージョンではなく、ビデオソフトになっている245分のデジタル・リマスター版で、7月24日にNHK-BS『プレミアムシネマ』で放送されたものだ。

現代の貨幣価値にして3億ドル(約318億円)もの製作費が投じられ、完成までに約4年の歳月がかかり、一時20世紀フォックスがあわや倒産の危機に見舞われたのは有名な話。
大物プロデューサーのウォルター・ウェンジャー、監督ルーベン・マムーリアンが次々に逃げ出し、巨匠ジョセフ・L・マンキーウィッツが製作・監督・脚本の1人3役を務めざるを得なくなった。

カエサル役のピーター・フィンチはレックス・ハリソン、アントニウス役のスティーブン・ボイドはリチャード・バートンと、それぞれ大物から大物へ交代。
こうしてドブに大金を捨てるかのように製作費が浪費された過程は『ザナック/ハリウッド最後のタイクーン』(レナード・モズレー著、金丸美南子訳 1986年 早川書房)に詳しい。

公開後は「内容空疎な史上空前の失敗作」との悪評が定着。
少しでも製作費を回収するためだったのか、日本で公開された際には、当時大人1人320〜350円だった入場料金が、最高の特別席で2000円に設定されたという。

しかし、現代ではこの種のクラシック・ムービーを再評価する声が高まっており、本作も有志やマニアによって埋もれたフィルムが発掘され、デジタル・リマスター版でふたたびファンの目に触れることが可能になった。
娯楽作品として見ると、ローマ史劇なのに戦闘場面が極端に少なく、クレオパトラとカエサルやアントニウスとの恋や葛藤を描いた場面も深みに乏しい。

それでも、ハリウッドが大手映画製作会社のスタジオシステムで運営され、銀幕のスターを輩出していた古き佳き時代の香りと雰囲気は十分堪能できる。
とくに、語り草になっているクレオパトラのローマ入場シーン、黄金の衣裳に身を包んだ彼女と息子がスフィンクスの像に乗って群衆の前に登場する場面はいまでも見ごたえたっぷり。

オススメ度C。

ブルーレイ&DVDレンタルお勧め度2019リスト
A=ぜひ!(^o^) B=よかったら(^^; C=ヒマなら(-_-) D=やめとけ(>_<)
※ビデオソフト無し

84『瞳の中の訪問者』(1977年/東宝)D
83『HOUSE ハウス』(1977年/東宝)C
82『マザー!』(2017年/米)B
81『アリー・イン・ザ・ターミナル』(2018年/米、英、愛、洪、香)D
80『ヴェノム』(2018年/米)B
79『ミッション:インポッシブル フォールアウト』(2018年/米)B
78『ミッション:インポッシブル ローグ・ネイション』(2015年/米)A
77『ミッション:インポッシブル ゴースト・プロトコル』(2011年/米)C
76『M:i:Ⅲ』(2006年/米)B
75『M:i-2』(2000年/米)C
74『ミッション:インポッシブル』(1996年/米)C
73『ダンテズ・ピーク』(1996年/米)C
72『スーパーマン4 最強の敵』(1987年/米)D
71『スーパーマンⅢ 電子の要塞』(1983年/米)C
70『スーパーマンⅡ リチャード・ドナーCUT版』(2006年/米)B
69『スーパーマンⅡ 冒険篇』(1980年/米)A
68『スーパーマン ディレクターズ・カット版』(1978年/米)A
68『MEG ザ・モンスター』(2018年/米)C
67『search/サーチ』(2018年/米)A
66『検察側の罪人』(2017年/東宝)D
65『モリのいる場所』(2018年/日活)B
64『バトル・オブ・ザ・セクシーズ』(2017年/米)B
63『タクシー運転手 約束は海を越えて』(2017年/韓)A
62『ゲティ家の身代金』(2017年/米)B
61『ブルーサンダー 』(1983年/米)A
60『大脱獄』(1970年/米)C
59『七人の特命隊』(1968年/伊)B
58『ポランスキーの欲望の館』(1972年/伊、仏、西独)B
57『ロマン・ポランスキー 初めての告白』(2012年/英、伊、独)B
56『アイ,トーニャ 史上最大のスキャンダル』(2017年/米)A
55『ウインド・リバー』(2017年/米)A
54『アメリカの友人』(1977年/西独、仏)A
53『ナッシュビル』(1976年/米)A
52『ゴッホ 最後の手紙』(2017年/波、英、米)A
51『ボビー・フィッシャーを探して』(1993年/米)B
50『愛の嵐』(1975年/伊)B
49『テナント 恐怖を借りた男』(1976年/仏)B
48『友罪』(2018年/ギャガ)D
47『空飛ぶタイヤ』(2018年/松竹)B
46『十一人の侍』(1967年/東映)A
45『十七人の忍者 大血戦』(1966年/東映)C※
44『十七人の忍者』(1963年/東映)C
43『ラプラスの魔女』(2016年/東宝)C
42『真夏の方程式』(2013年/東宝)A
41『アベンジャーズ インフィニティ・ウォー』(2018年/米)B
40『マイティ・ソー バトルロイヤル』(2017年/米)B
39『ハン・ソロ スター・ウォーズ・ストーリー』(2018年/米)C
38『ザ・マミー 呪われた砂漠の王女』(2017年/米)D
37『デッドプール2』(2018年/米)C
36『スキャナーズ3』(1991年/加)C
35『スキャナーズ2』(1991年/米、加、日)C
34『スキャナーズ』(1981年/加)B
33『エマニエル夫人』(1974年/仏)C
32『死刑台のエレベーター』(1958年/仏)B
31『マッケンナの黄金』(1969年/米)C
30『勇気ある追跡』(1969年/米)C
29『サウンド・オブ・ミュージック』(1965年/米)A
28『ドクトル・ジバゴ 』(1965年/米、伊)A
27『デトロイト』(2017年/米)B
26『クラッシュ』(2004年/米)A
25『ラ・ラ・ランド』(2016年/米)A
24『オーシャンズ13』(2007年/米)B
23『オーシャンズ12』(2004年/米)C
22『オーシャンズ11』(2001年/米)B
21『オーシャンと十一人の仲間』(1960年/米)B
20『マッキントッシュの男』(1973年/米)A
19『オーメン』(1976年/英、米)B
18『スプリット』(2017年/米)B
17『アンブレイカブル 』(2000年/米)C
16『アフター・アース』(2013年/米)C
15『ハプニング』(2008年/米)B
14『麒麟の翼〜劇場版・新参者』(2012年/東宝)C
13『暁の用心棒』(1967年/伊)C
12『ホテル』(1977年/伊、西独)C※
11『ブラックブック』(2006年/蘭)A
10『スペース・ロック』(2018年/塞爾維亜、米)C
9『ブラックパンサー』(2018年/米)A
8『ジャスティス・リーグ』(2017年/米)C
7『ザ・リング2[完全版]』(2005年/米)C
6『祈りの幕が下りる時』(2018年/東宝)A
5『ちはやふる 結び』(2018年/東宝)B
4『真田幸村の謀略』(1979年/東映)C
3『柳生一族の陰謀』(1978年/東映)A
2『集団奉行所破り』(1964年/東映)B※

1『大殺陣』(1964年/東映京都)C

スポーツライター。 最新刊は構成を担当した達川光男氏の著書『広島力』(講談社)。毎週金曜朝8時、TBSラジオ『森本毅郎スタンバイ!日本全国8時です』出演中。『失われた甲子園』(講談社)新潮ドキュメント賞ノミネート。東スポ毎週火曜『赤ペン!!』、WEDGE Infinity『赤坂英一の野球丸』連載中。 東京運動記者クラブ会員。日本文藝家協会会員。
Scroll to top