『ミッション:インポッシブル フォールアウト』(WOWOW)

Mission: Impossible-Fallout
147分 2018年 アメリカ=パラマウント・ピクチャーズ

監督・脚本が前作『ミッション:インポッシブル ゴースト・プロトコル』(2015年)と同じクリストファー・マッカラー。
製作・主演を兼ねるトム・クルーズが前作の出来栄えを評価して続投を依頼したことは容易に察しがつく。

しかし、本作は前作と異なり、開巻早々のツカミからガクッとくる。
イーサン・ハント(クルーズ)が最愛の恋人ジュリア(ミシェル・モナハン)と結婚式を挙げている最中、神父に化けた仇敵ソロモン・レーン(ショーン・ハリス)にハメられて焼き殺される。

…という悪夢から目覚めてホッとする、というツカミからしていかにも重い(というよりツカミになっていない)。
この直後には、ハントたちがマフィアからプルトニウムを奪還しようとして、何者かに仲間のルーサー・スティッケル(ヴィング・レイムス)を人質に取られ、プルトニウムを持ち去られてしまう。

プルトニウムを奪ったのは、前作でレーンが率いていた国際テロリスト集団シンジケートの残党組織アポストル(神の使徒)だった。
アポストルと接触する手がかりをつかんだハントが早速CIAの輸送機でパリへ飛ぼうとしたら、そこへCIA長官エリカ・スローン(アンジェラ・バセット)がやってきて、オーガスト・ウォーカー(ヘンリー・カヴィル)を見張り役として同行させろと迫る。

ハントとウォーカーは角突き合わせながらアポストルに接近。
しかし、ジョン・ラーク(リャン・ヤン)とかホワイト・ウィドウ(ヴァネッサ・カービー)とかその取り巻きとか、いろいろと正体不明の人物が絡んできて、肝心のストーリーの要点が見えにくい。

クライマックスの舞台はカシミールの山中で、プルトニウム爆弾爆発のタイムリミットが迫る中、これをストップできるリモコンスイッチを持った敵をハントが追いかける。
核爆発を阻止できるかどうかの時間との戦い、というのはあまりに使い古された盛り上げ方ではあるが、今回は爆弾が別々の場所にふたつ、その起爆装置がまた別のところにあるという設定で、実に目まぐるしく場面が入れ替わる。

ひとつめの爆弾をルーサーとジュリア、ふたつめの爆弾をベンジー・ダン(サイモン・ペッグ)とイルサ・ファウスト(レベッカ・ファーガソン)が解体していた最中、そこへレーンがやってきてイルサと取っ組み合い。
一方、ハントは敵のヘリ1機を奪い取り、爆弾の起爆装置を持った真の敵(ネタバレになるので名前は伏せます)を追いかけ、体当たりしてヘリもろとも崖下へ真っ逆さまとなるのだが。

全体的にアクションよりも会話(ダイアローグ)の多さが目立ち、ゆったり、まったりしている感が強いものの、このクライマックスだけはシリーズ中一二を争う見応え。
これだけのアクションをこなしたトム・クルーズは私より1歳年上(日本の学年制度では同級生)で、1996年の第1作では34歳だったが、本作ではすでに56歳。

しかし、観ている間はほとんど年齢を感じさせない。
…と、続けて観ているうちに、こちらもいつの間にか感情移入してしまっている56歳でした。

オススメ度B。

ブルーレイ&DVDレンタルお勧め度2019リスト
A=ぜひ!(^o^) B=よかったら(^^; C=ヒマなら(-_-) D=やめとけ(>_<)
※ビデオソフト無し

78『ミッション:インポッシブル ローグ・ネイション』(2015年/米)A
77『ミッション:インポッシブル ゴースト・プロトコル』(2011年/米)C
76『M:i:Ⅲ』(2006年/米)B
75『M:i-2』(2000年/米)C
74『ミッション:インポッシブル』(1996年/米)C
73『ダンテズ・ピーク』(1996年/米)C
72『スーパーマン4 最強の敵』(1987年/米)D
71『スーパーマンⅢ 電子の要塞』(1983年/米)C
70『スーパーマンⅡ リチャード・ドナーCUT版』(2006年/米)B
69『スーパーマンⅡ 冒険篇』(1980年/米)A
68『スーパーマン ディレクターズ・カット版』(1978年/米)A
68『MEG ザ・モンスター』(2018年/米)C
67『search/サーチ』(2018年/米)A
66『検察側の罪人』(2017年/東宝)D
65『モリのいる場所』(2018年/日活)B
64『バトル・オブ・ザ・セクシーズ』(2017年/米)B
63『タクシー運転手 約束は海を越えて』(2017年/韓)A
62『ゲティ家の身代金』(2017年/米)B
61『ブルーサンダー 』(1983年/米)A
60『大脱獄』(1970年/米)C
59『七人の特命隊』(1968年/伊)B
58『ポランスキーの欲望の館』(1972年/伊、仏、西独)B
57『ロマン・ポランスキー 初めての告白』(2012年/英、伊、独)B
56『アイ,トーニャ 史上最大のスキャンダル』(2017年/米)A
55『ウインド・リバー』(2017年/米)A
54『アメリカの友人』(1977年/西独、仏)A
53『ナッシュビル』(1976年/米)A
52『ゴッホ 最後の手紙』(2017年/波、英、米)A
51『ボビー・フィッシャーを探して』(1993年/米)B
50『愛の嵐』(1975年/伊)B
49『テナント 恐怖を借りた男』(1976年/仏)B
48『友罪』(2018年/ギャガ)D
47『空飛ぶタイヤ』(2018年/松竹)B
46『十一人の侍』(1967年/東映)A
45『十七人の忍者 大血戦』(1966年/東映)C※
44『十七人の忍者』(1963年/東映)C
43『ラプラスの魔女』(2016年/東宝)C
42『真夏の方程式』(2013年/東宝)A
41『アベンジャーズ インフィニティ・ウォー』(2018年/米)B
40『マイティ・ソー バトルロイヤル』(2017年/米)B
39『ハン・ソロ スター・ウォーズ・ストーリー』(2018年/米)C
38『ザ・マミー 呪われた砂漠の王女』(2017年/米)D
37『デッドプール2』(2018年/米)C
36『スキャナーズ3』(1991年/加)C
35『スキャナーズ2』(1991年/米、加、日)C
34『スキャナーズ』(1981年/加)B
33『エマニエル夫人』(1974年/仏)C
32『死刑台のエレベーター』(1958年/仏)B
31『マッケンナの黄金』(1969年/米)C
30『勇気ある追跡』(1969年/米)C
29『サウンド・オブ・ミュージック』(1965年/米)A
28『ドクトル・ジバゴ 』(1965年/米、伊)A
27『デトロイト』(2017年/米)B
26『クラッシュ』(2004年/米)A
25『ラ・ラ・ランド』(2016年/米)A
24『オーシャンズ13』(2007年/米)B
23『オーシャンズ12』(2004年/米)C
22『オーシャンズ11』(2001年/米)B
21『オーシャンと十一人の仲間』(1960年/米)B
20『マッキントッシュの男』(1973年/米)A
19『オーメン』(1976年/英、米)B
18『スプリット』(2017年/米)B
17『アンブレイカブル 』(2000年/米)C
16『アフター・アース』(2013年/米)C
15『ハプニング』(2008年/米)B
14『麒麟の翼〜劇場版・新参者』(2012年/東宝)C
13『暁の用心棒』(1967年/伊)C
12『ホテル』(1977年/伊、西独)C※
11『ブラックブック』(2006年/蘭)A
10『スペース・ロック』(2018年/塞爾維亜、米)C
9『ブラックパンサー』(2018年/米)A
8『ジャスティス・リーグ』(2017年/米)C
7『ザ・リング2[完全版]』(2005年/米)C
6『祈りの幕が下りる時』(2018年/東宝)A
5『ちはやふる 結び』(2018年/東宝)B
4『真田幸村の謀略』(1979年/東映)C
3『柳生一族の陰謀』(1978年/東映)A
2『集団奉行所破り』(1964年/東映)B※

1『大殺陣』(1964年/東映京都)C

スポーツライター。 1986年、日刊現代に入社。88年から運動部記者を務める。2002年に単行本デビュー作『バントの神様 川相昌弘と巨人軍の物語』(講談社)を上梓。06年に独立。『失われた甲子園』(講談社)新潮ドキュメント賞ノミネート。東スポ毎週火曜『赤ペン!!』連載中。 東京運動記者クラブ会員。日本文藝家協会会員。
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