『ミッション:インポッシブル ローグ・ネイション』(WOWOW)

Mission: Impossible-Rogue Nation
131分 2015年 アメリカ=パラマウント・ピクチャーズ

シリーズ最高傑作である。
ツカミ、アクション、サスペンス、どんでん返しに幕切れのオチと、すべてがほとんど完璧に決まっている。

ツカミは、ベラルーシのミンスクから飛び立った輸送機にイーサン・ハント(トム・クルーズ)が飛びつき、密輸品のミサイルを奪い取るオープニング。
画像のポスターのように、ハントが必死でドアにしがみついている最中、地上に隠れていたベンジー・ダン(サイモン・ペッグ)が遠隔操作でドアを開け、何とか作戦を成功させる。

ここから場面が変わると、ハントがロンドンのCDショップで新たな指令を受け取った直後、目の前で連絡員の女性がソロモン・レーン(ショーン・ハリス)に殺されてしまう。
続いてハントが拉致されているシーンになり、どうなることかと思っていたら、レーンの部下の女イルサ・ファウスト(レベッカ・ファーガソン)に助けられて脱出に成功。

これでホッと一息する間もなく、場面はIMFの暴走を弾劾するアメリカの大陪審のシーンに転換。
CIA長官アラン・ハンリー(アレック・ボールドウィン)がIMFとハントの暴走ぶりを糾弾し、IMF分析官ウィリアム・ブラント(ジェレミー・レナー)はあえて反論せず、IMFはCIAに吸収合併されることになる。

と、このように息つく暇もない上に、敵役のキャラクター設定が素晴らしい。
レーン率いる「シンジケート」は、世界各国の元諜報部員で、生死不明となっているプロばかりを集めた文字通りのローグ・ネイション(ならず者国家)。

しかし、CIA長官ハンリーは「シンジケート」の存在を信じておらず、IMFが自らの暴走を正当化するためにでっち上げた架空の組織だと主張している。
ハントと仲間は、このシリーズ最強のテロリスト組織が実在することを証明し、彼らをやっつけ、なおかつ自分たちの潔白を立証しなければならない。

そのためには、イギリスのMI6が保管していた決定的証拠(なぜ決定的なのかは説明省略)となるUSBメモリを開く必要があるが、それには英国首相(トム・ホランダー)の顔、声、指紋認証が必要だ。
だからと言って、ハントたちが英国首相を拉致したら、その時点で自分たちがテロリスト組織だと認めたも同然となる。

これだけ八方塞がりのシナリオに落としどころがあるのかと思ったら、しっかりありましたねえ、見事などんでん返しが。
とりわけ、英国首相、MI6長官、CIA長官ハンリーを一カ所に集めて、そこにハントを登場させた脚本、仕掛け、演出には参った。

ここからハントたちがレーンを追い詰め、ハンリーが味方に回る(回らざるを得なくなる)展開にも無理がない。
ハンリーのキャラが逆転した後味もまことに爽やか。

これだけの傑作の監督・脚本を手がけたのは、若くして才人として知られていたクリストファー・マッカリー。
久しぶりに『パブリック・アクセス』(1993年)、『ユージュアル・サスペクツ』(1995年)の切れ味を取り戻し、内容もスケールも格段にアップした超大作に仕上げて見せた。

オススメ度A。

ブルーレイ&DVDレンタルお勧め度2019リスト
A=ぜひ!(^o^) B=よかったら(^^; C=ヒマなら(-_-) D=やめとけ(>_<)
※ビデオソフト無し

77『ミッション:インポッシブル ゴースト・プロトコル』(2011年/米)C
76『M:i:Ⅲ』(2006年/米)B
75『M:i-2』(2000年/米)C
74『ミッション:インポッシブル』(1996年/米)C
73『ダンテズ・ピーク』(1996年/米)C
72『スーパーマン4 最強の敵』(1987年/米)D
71『スーパーマンⅢ 電子の要塞』(1983年/米)C
70『スーパーマンⅡ リチャード・ドナーCUT版』(2006年/米)B
69『スーパーマンⅡ 冒険篇』(1980年/米)A
68『スーパーマン ディレクターズ・カット版』(1978年/米)A
68『MEG ザ・モンスター』(2018年/米)C
67『search/サーチ』(2018年/米)A
66『検察側の罪人』(2017年/東宝)D
65『モリのいる場所』(2018年/日活)B
64『バトル・オブ・ザ・セクシーズ』(2017年/米)B
63『タクシー運転手 約束は海を越えて』(2017年/韓)A
62『ゲティ家の身代金』(2017年/米)B
61『ブルーサンダー 』(1983年/米)A
60『大脱獄』(1970年/米)C
59『七人の特命隊』(1968年/伊)B
58『ポランスキーの欲望の館』(1972年/伊、仏、西独)B
57『ロマン・ポランスキー 初めての告白』(2012年/英、伊、独)B
56『アイ,トーニャ 史上最大のスキャンダル』(2017年/米)A
55『ウインド・リバー』(2017年/米)A
54『アメリカの友人』(1977年/西独、仏)A
53『ナッシュビル』(1976年/米)A
52『ゴッホ 最後の手紙』(2017年/波、英、米)A
51『ボビー・フィッシャーを探して』(1993年/米)B
50『愛の嵐』(1975年/伊)B
49『テナント 恐怖を借りた男』(1976年/仏)B
48『友罪』(2018年/ギャガ)D
47『空飛ぶタイヤ』(2018年/松竹)B
46『十一人の侍』(1967年/東映)A
45『十七人の忍者 大血戦』(1966年/東映)C※
44『十七人の忍者』(1963年/東映)C
43『ラプラスの魔女』(2016年/東宝)C
42『真夏の方程式』(2013年/東宝)A
41『アベンジャーズ インフィニティ・ウォー』(2018年/米)B
40『マイティ・ソー バトルロイヤル』(2017年/米)B
39『ハン・ソロ スター・ウォーズ・ストーリー』(2018年/米)C
38『ザ・マミー 呪われた砂漠の王女』(2017年/米)D
37『デッドプール2』(2018年/米)C
36『スキャナーズ3』(1991年/加)C
35『スキャナーズ2』(1991年/米、加、日)C
34『スキャナーズ』(1981年/加)B
33『エマニエル夫人』(1974年/仏)C
32『死刑台のエレベーター』(1958年/仏)B
31『マッケンナの黄金』(1969年/米)C
30『勇気ある追跡』(1969年/米)C
29『サウンド・オブ・ミュージック』(1965年/米)A
28『ドクトル・ジバゴ 』(1965年/米、伊)A
27『デトロイト』(2017年/米)B
26『クラッシュ』(2004年/米)A
25『ラ・ラ・ランド』(2016年/米)A
24『オーシャンズ13』(2007年/米)B
23『オーシャンズ12』(2004年/米)C
22『オーシャンズ11』(2001年/米)B
21『オーシャンと十一人の仲間』(1960年/米)B
20『マッキントッシュの男』(1973年/米)A
19『オーメン』(1976年/英、米)B
18『スプリット』(2017年/米)B
17『アンブレイカブル 』(2000年/米)C
16『アフター・アース』(2013年/米)C
15『ハプニング』(2008年/米)B
14『麒麟の翼〜劇場版・新参者』(2012年/東宝)C
13『暁の用心棒』(1967年/伊)C
12『ホテル』(1977年/伊、西独)C※
11『ブラックブック』(2006年/蘭)A
10『スペース・ロック』(2018年/塞爾維亜、米)C
9『ブラックパンサー』(2018年/米)A
8『ジャスティス・リーグ』(2017年/米)C
7『ザ・リング2[完全版]』(2005年/米)C
6『祈りの幕が下りる時』(2018年/東宝)A
5『ちはやふる 結び』(2018年/東宝)B
4『真田幸村の謀略』(1979年/東映)C
3『柳生一族の陰謀』(1978年/東映)A
2『集団奉行所破り』(1964年/東映)B※

1『大殺陣』(1964年/東映京都)C

スポーツライター。 最新刊は構成を担当した達川光男氏の著書『広島力』(講談社)。毎週金曜朝8時、TBSラジオ『森本毅郎スタンバイ!日本全国8時です』出演中。『失われた甲子園』(講談社)新潮ドキュメント賞ノミネート。東スポ毎週火曜『赤ペン!!』、WEDGE Infinity『赤坂英一の野球丸』連載中。 東京運動記者クラブ会員。日本文藝家協会会員。
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