『ミッション:インポッシブル ゴースト・プロトコル』(WOWOW)

Mission: Impossible-Ghost Protocol
132分 2011年 アメリカ=パラマウント・ピクチャーズ

J・J・エイブラムスの監督起用で勢いに乗ったかに見えたこのシリーズ、第4作ではまた2作目までのイマイチ感が先に立つ出来栄えに戻ってしまった。
このシリーズは初っ端のツカミが大事なのだが、本作はオープニングからイーサン・ハント(トム・クルーズ)が出てこず、IMFの同僚トレヴァー・ハナウェイ(ジョシュ・ホロウェイ)という諜報部員が逃げ回り、しかも女の殺し屋サビーヌ・モロー(レア・セドゥ)にあっけなく殺されてしまう。

…という出だしからして肩透かしで、ここから先も前作のような畳みかけていく展開が見られない。
殺し屋サビーヌモローの親分は通称コバルトと呼ばれる国際テロリストで、彼に関する極秘ファイルを盗み出すため、ハントは現場エージェントに昇格したベンジー・ダン(サイモン・ペッグ)とともにクレムリンに潜入。

このとき、ハントが実は前作で結婚したはずのジュリア(ミシェル・モナハン)と離婚していて、ベンジーが「気の毒だ」とクドクド言い募る場面がまた緊張感を減殺する。
そんな会話のあと、ハントが保管庫に忍び込んだら、ファイルはすでにコバルト一味に持ち出されたあと。

コバルトたちが証拠隠滅のためにクレムリン宮殿を爆破したため、ハントたちはロシア警察に容疑をかけられたあげく、アメリカ政府がゴースト・プロトコル(幽霊として扱う取り決め)を発令し、IMFは活動停止状態に陥る。
アナトリー・シディロフ(ウラジミール・マシコフ)率いるロシア部隊に追われ、銃撃戦が繰り広げられる中、モスクワに来ていたIMF長官(トム・ウィルキンソン)も死んでしまった。

孤立無援となったハントの味方はベンジー、分析官ウィリアム・ブラント(ジェレミー・レナー)、それに女性エージェントのジェーン・カーター(ポーラ・パットン)。
さあ、ここから逆襲かと思ったら、実はハントの妻ジュリアが死んだことをブラントが打ち明けたり、ジェーンが冒頭で殺されたハナウェイが自分の恋人だったことを切々と語ったり、またしても展開がもたれる。

劇場公開時の売り物で、画像のポスターに使用されたドバイの高層ビルでのアクションシーンも意外にスリルとサスペンスに乏しい。
クライマックスのハントとコバルトことカート・ヘンドリクス(ミカエル・ニクヴィスト)の対決も、立体駐車場で車を壊しまくるアイデアはいいが、ニクヴィストの動きが重過ぎていまひとつ盛り上がらない。

ニクヴィストはスウェーデンでは国民的俳優として知られており、『ミレニアム ドラゴン・タトゥーの女』(2009年)など、〈ミレニアム・シリーズ〉3部作のような代表作は日本でも公開された。
しかし、こういうアクション映画の悪役にはまったく向いておらず、クルーズと殴り合いをさせるには無理があり過ぎましたね。

オススメ度C。

ブルーレイ&DVDレンタルお勧め度2019リスト
A=ぜひ!(^o^) B=よかったら(^^; C=ヒマなら(-_-) D=やめとけ(>_<)
※ビデオソフト無し

76『M:i:Ⅲ』(2006年/米)B
75『M:i-2』(2000年/米)C
74『ミッション:インポッシブル』(1996年/米)C
73『ダンテズ・ピーク』(1996年/米)C
72『スーパーマン4 最強の敵』(1987年/米)D
71『スーパーマンⅢ 電子の要塞』(1983年/米)C
70『スーパーマンⅡ リチャード・ドナーCUT版』(2006年/米)B
69『スーパーマンⅡ 冒険篇』(1980年/米)A
68『スーパーマン ディレクターズ・カット版』(1978年/米)A
68『MEG ザ・モンスター』(2018年/米)C
67『search/サーチ』(2018年/米)A
66『検察側の罪人』(2017年/東宝)D
65『モリのいる場所』(2018年/日活)B
64『バトル・オブ・ザ・セクシーズ』(2017年/米)B
63『タクシー運転手 約束は海を越えて』(2017年/韓)A
62『ゲティ家の身代金』(2017年/米)B
61『ブルーサンダー 』(1983年/米)A
60『大脱獄』(1970年/米)C
59『七人の特命隊』(1968年/伊)B
58『ポランスキーの欲望の館』(1972年/伊、仏、西独)B
57『ロマン・ポランスキー 初めての告白』(2012年/英、伊、独)B
56『アイ,トーニャ 史上最大のスキャンダル』(2017年/米)A
55『ウインド・リバー』(2017年/米)A
54『アメリカの友人』(1977年/西独、仏)A
53『ナッシュビル』(1976年/米)A
52『ゴッホ 最後の手紙』(2017年/波、英、米)A
51『ボビー・フィッシャーを探して』(1993年/米)B
50『愛の嵐』(1975年/伊)B
49『テナント 恐怖を借りた男』(1976年/仏)B
48『友罪』(2018年/ギャガ)D
47『空飛ぶタイヤ』(2018年/松竹)B
46『十一人の侍』(1967年/東映)A
45『十七人の忍者 大血戦』(1966年/東映)C※
44『十七人の忍者』(1963年/東映)C
43『ラプラスの魔女』(2016年/東宝)C
42『真夏の方程式』(2013年/東宝)A
41『アベンジャーズ インフィニティ・ウォー』(2018年/米)B
40『マイティ・ソー バトルロイヤル』(2017年/米)B
39『ハン・ソロ スター・ウォーズ・ストーリー』(2018年/米)C
38『ザ・マミー 呪われた砂漠の王女』(2017年/米)D
37『デッドプール2』(2018年/米)C
36『スキャナーズ3』(1991年/加)C
35『スキャナーズ2』(1991年/米、加、日)C
34『スキャナーズ』(1981年/加)B
33『エマニエル夫人』(1974年/仏)C
32『死刑台のエレベーター』(1958年/仏)B
31『マッケンナの黄金』(1969年/米)C
30『勇気ある追跡』(1969年/米)C
29『サウンド・オブ・ミュージック』(1965年/米)A
28『ドクトル・ジバゴ 』(1965年/米、伊)A
27『デトロイト』(2017年/米)B
26『クラッシュ』(2004年/米)A
25『ラ・ラ・ランド』(2016年/米)A
24『オーシャンズ13』(2007年/米)B
23『オーシャンズ12』(2004年/米)C
22『オーシャンズ11』(2001年/米)B
21『オーシャンと十一人の仲間』(1960年/米)B
20『マッキントッシュの男』(1973年/米)A
19『オーメン』(1976年/英、米)B
18『スプリット』(2017年/米)B
17『アンブレイカブル 』(2000年/米)C
16『アフター・アース』(2013年/米)C
15『ハプニング』(2008年/米)B
14『麒麟の翼〜劇場版・新参者』(2012年/東宝)C
13『暁の用心棒』(1967年/伊)C
12『ホテル』(1977年/伊、西独)C※
11『ブラックブック』(2006年/蘭)A
10『スペース・ロック』(2018年/塞爾維亜、米)C
9『ブラックパンサー』(2018年/米)A
8『ジャスティス・リーグ』(2017年/米)C
7『ザ・リング2[完全版]』(2005年/米)C
6『祈りの幕が下りる時』(2018年/東宝)A
5『ちはやふる 結び』(2018年/東宝)B
4『真田幸村の謀略』(1979年/東映)C
3『柳生一族の陰謀』(1978年/東映)A
2『集団奉行所破り』(1964年/東映)B※

1『大殺陣』(1964年/東映京都)C

スポーツライター。 1986年、日刊現代に入社。88年から運動部記者を務める。2002年に単行本デビュー作『バントの神様 川相昌弘と巨人軍の物語』(講談社)を上梓。06年に独立。『失われた甲子園』(講談社)新潮ドキュメント賞ノミネート。東スポ毎週火曜『赤ペン!!』連載中。 東京運動記者クラブ会員。日本文藝家協会会員。
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