『空飛ぶタイヤ』(WOWOW)

(120分 松竹 2018年)

池井戸潤のベストセラー小説の映画化で、こんなファンタジックなタイトルだから、下町の工場で空を飛ぶほどスピードの出るタイヤを製造する職人たちの物語かと思ったら、まるで違っていた。
アホかと思われるかもしれませんが、映画を観る前はなるべく予備知識を仕入れないことをモットーにしているもので。

開巻、横浜市内の住宅街を走行中の運送トラックから左側のタイヤが外れ、幼い息子を連れて歩いていた柚木妙子(谷村美月)にぶつかり、死亡させてしまう。
昨年6月の劇場公開時と違い、いまこの場面を観ると、池袋で若い母と娘が犠牲になった交通事故を想起しないではいられない。

警察の捜査により、この事故はトラックを管理する赤松運送会社の整備不良が原因であるとされ、2代目社長の赤松徳郎(長瀬智也)は倒産の危機に直面する。
しかし、トラックを製造したホープ自動車はほかにも似たような脱輪事故を起こしていることが判明。

赤松はホープ自動車に再調査を要求するべく、販売部の沢田悠太(ディーン・フジオカ)に面会を求める。
最初のうちは赤松の電話に居留守を決め込んでいた沢田だったが、車両製造部の小牧重道(ムロツヨシ)、品質保証部の杉本元(中村蒼)から社内で秘密裏に行われている「T会議」の存在を察知。

一方、ホープ自動車のメインバンク、ホープ銀行本店営業本部の井崎一亮(高橋一生)もホープ自動車の内情に疑問を抱き、独自の調査を開始する。
さらに、その井崎の元恋人で週刊誌記者の榎本優子(小池栄子)も、ホープ自動車内部の不穏な動きを追っていた。

モデルになっているのは2002年に発覚した三菱自動車によるリコール隠し事件。
丹念にディテールを積み重ねていく語り口には説得力があり、最後の大団円までグイグイ引っ張られる。

しかし、文庫本にして上下巻に及ぶ長篇をコンパクトにまとめるため、後半に入ってから展開が駆け足になっている感は否めない。
また、ディーン・フジオカはエリートサラリーマンに見えないこともないが、長瀬智也が中小運送会社の2代目社長というキャスティングにもいささか無理があるように感じました。

オススメ度B。

ブルーレイ&DVDレンタルお勧め度2019リスト
※A=ぜひ!(^o^) B=よかったら(^^; C=ヒマなら(-_-) D=やめとけ(>_<)

46『十一人の侍』(1967年/東映)A
45『十七人の忍者 大血戦』(1966年/東映)C
44『十七人の忍者』(1963年/東映)C
43『ラプラスの魔女』(2016年/東宝)C
42『真夏の方程式』(2013年/東宝)A
41『アベンジャーズ インフィニティ・ウォー』(2018年/米)B
40『マイティ・ソー バトルロイヤル』(2017年/米)B
39『ハン・ソロ スター・ウォーズ・ストーリー』(2018年/米)C
38『ザ・マミー 呪われた砂漠の王女』(2017年/米)D
37『デッドプール2』(2018年/米)C
36『スキャナーズ3』(1991年/加)C
35『スキャナーズ2』(1991年/米、加、日)C
34『スキャナーズ』(1981年/加)B
33『エマニエル夫人』(1974年/仏)C
32『死刑台のエレベーター』(1958年/仏)B
31『マッケンナの黄金』(1969年/米)C
30『勇気ある追跡』(1969年/米)C
29『サウンド・オブ・ミュージック』(1965年/米)A
28『ドクトル・ジバゴ 』(1965年/米、伊)A
27『デトロイト』(2017年/米)B
26『クラッシュ』(2004年/米)A
25『ラ・ラ・ランド』(2016年/米)A
24『オーシャンズ13』(2007年/米)B
23『オーシャンズ12』(2004年/米)C
22『オーシャンズ11』(2001年/米)B
21『オーシャンと十一人の仲間』(1960年/米)B
20『マッキントッシュの男』(1973年/米)A
19『オーメン』(1976年/英、米)B
18『スプリット』(2017年/米)B
17『アンブレイカブル 』(2000年/米)C
16『アフター・アース』(2013年/米)C
15『ハプニング』(2008年/米)B
14『麒麟の翼〜劇場版・新参者』(2912年/東宝)C
13『暁の用心棒』(1967年/伊)C
12 『ホテル』(1977年/伊、西独)C※
11『ブラックブック』(2006年/蘭)A
10『スペース・ロック』(2018年/塞爾維亜、米)C
9『ブラックパンサー』(2018年/米)A
8『ジャスティス・リーグ』(2017年/米)C
7『ザ・リング2[完全版]』(2005年/米)C
6『祈りの幕が下りる時』(2018年/東宝)A
5『ちはやふる 結び』(2018年/東宝)B
4『真田幸村の謀略』(1979年/東映)C
3『柳生一族の陰謀』(1978年/東映)A
2『集団奉行所破り』(1964年/東映)B
1『大殺陣』(1964年/東映京都)C

スポーツライター。 最新刊は構成を担当した達川光男氏の著書『広島力』(講談社)。毎週金曜朝8時、TBSラジオ『森本毅郎スタンバイ!日本全国8時です』出演中。『失われた甲子園』(講談社)新潮ドキュメント賞ノミネート。東スポ毎週火曜『赤ペン!!』、WEDGE Infinity『赤坂英一の野球丸』連載中。 東京運動記者クラブ会員。日本文藝家協会会員。
Scroll to top