
甲子園でCSファイナルステージの取材を続けている期間中、球場入りするのは大体午後12時半~1時頃である。
僕が取材を担当しているDeNAの球場入りは2時半だから、そのころに球場へ行っても遅くはないのだが、ホテルの部屋を掃除してもらうには10時に部屋を空けなければならない。
それ以前に、どんなに前夜が遅くても午前1時までには寝てしまうし、翌朝は8時過ぎには起きるから、掃除を断ってまで部屋にこもる理由も必要もない。
コラムの原稿を書いたり、ネットをチェックしたり、本を読んだり、といった暇潰しはホテルのロビーでもできるので。
DeNAよりも早く甲子園に行き、滅多に観られないタイガースの練習を観たり、こういう時でなければ会えない旧知のトラ番記者と雑談したりするのも、たまの出張の楽しみのひとつ。
僕と同じ60代以上の、いや、僕より年下の50代の同業者は年々少なくなっているから、こういう貴重な機会は大切にしたい。
その昔、アメリカの名野球記者リング・ラードナーは「この世で一番悲しい職業は、トシを取った野球記者だ」という言葉を残している。
若いうちは選手と一緒になって目の前の試合に興奮しながら仕事をしていられるが、やがて取材する相手はどんどん自分より年下になっていき、世代間ギャップを感じるようになって、最後はひとりポツンと取り残されたような存在になってしまうからだ、と。
ラ-ドナーは晩年、「私のようなオールド・ライターにとって、ワールドシリーズのようなビッグイベントでグラウンドに通う楽しみは、こういう時だけは球場にやってくる古株の昔馴染みと会うことでしかない」と語っている。
正直、今の僕の心境もそれに近いものがある。
しかし、この時、ラードナーはまだ49歳で、ほどなくして亡くなった。
枯れるにはまだまだ早かった、と感じるのは僕だけだろうか。
本日のCS(クライマックスシリーズ)ファイナルステージ第3戦は阪神が3連勝し、日本シリーズ進出が決定。
敗れ去ったDeNAの三浦監督は試合後、われわれ報道陣の取材に応じました。
目を潤ませた番長は律儀にこちらの質問に答えてくれて、最後の囲み取材はとてもいい雰囲気で終えられたと思う。
詳しくは明日18日の東スポWEBで御一読ください!