『RRR』(WOWOW)🤗😱

RRR
180分 2022年 インド 日本配給:ツイン

いまやアメリカのハリウッドをしのぎ、年間約1800本以上と世界一の製作本数を誇るボリウッド(ボンベイのボとハリウッドをくっつけた造語)超大作。
劇場公開時は3時間という上映時間に恐れをなして足が劇場に向かず、WOWOWの録画を観る際にもノっていけなかったら途中で休もう、と思いながら再生を始めたら、もう最後まで一気に観ないではいられなかった。

インドがイギリス領だった1920年、スコット・バクストン総督(レイ・スティーヴンソン)一行がアーディラーバードの森に住むゴーンド族の集落を訪れ、キャサリン総督夫人(アリソン・ドゥーディ)が歌とボディペイントの才能を持つ少女マッリ(トゥインクル・シャルマ)をデリーの総督府に連れ去る。
マッリの兄コムラム・ビーム(N・T・ラーマ・ラオ・ジュニア)はマッリを取り戻すべく、ムスリムのアクタルという偽名を使ってデリーに潜入。

一方、ビームの存在を察知したデリー警察署では、彼を逮捕したら特別捜査官に昇進させるとして志願者を募ったところ、インド人のA・ラーマ・ラージュ(ラーム・チャラン)が名乗りを挙げる。
このふたりが期せずして、列車の転覆事故からひとりの少年を救うために協力し合うことになるアクションシーンが最初の見せ場。

これをきっかけとして、ビームはアクタルという偽名のまま、ラーマは警察官という本業を隠し、アクタルの正体が自分の追うビームの正体を知らないまま、親友同士となってしまう。
次の見せ場は、ビームがバクストン総督の娘ジェニー(オリヴィア・モリス)に招待された総督府のパーティーで、ビームとラーマが披露するナートゥ・ダンスが圧巻!

この場面はミュージカル仕立てになっており、本作がアカデミー最優秀楽曲賞を受賞した第95回アカデミー賞授賞式でも公開された。
盛り上がりが最高潮に達すると、ジェニーやビームをからかっていたイギリス人たちも一緒にナートゥを踊るのだが、それが素晴らしいダンスシーンになっているのみならず、メインストーリーのサスペンスや緊張感をまったく損なっていないところがすごい。

やがて、ビームが総督府に囚われたマッリを救い出そうと計画を立てた矢先、ラーマがビームの正体を知って、大乱闘と裏切りのドラマに突入する、という展開にも一捻り、二捻りしてあり、この先、どうなることかと手に汗握らずにはいられない。
ここまででまだ1時間半ちょっとで、いったんインターバルを置いてから、さらに二段構え、三段構えの見せ場が用意されている。

クライマックスを迎えるころには映画を2〜3本、ぶっ続けに観てゲップが出そうになったほど、満足度は高い。
あえてケチをつけるとすれば、最後の最後で、ハリウッド製某アクション映画シリーズに酷似したシーンやキャラが出てくることぐらいか。

なお、コムラム・ビーム、ラーマのモデルとなったアッルーリ・シータラーマ・ラージュはいずれも当時実在したインドの独立運動の指導者で、エンドクレジットには歴史上の英雄の肖像画がズラリと並べられる。
そうしたインドの歴史を踏まえて、アクション、ミュージカル、青春映画のテイストを1本の映画に融合させたS・S・ラージャマウリの才覚、手腕、情熱はまったくもってお見事の一語。

ちなみに、本作はインド本国では史上最高の興行収入を記録し、日本を含む全世界で大ヒット。
映画は総合芸術だとか、総合エンターテインメントだとよく言われるが、21世紀の現代から未来に向けて、映画の理想形の一つを提示していると言ってもいいだろう。

オススメ度A。

A=ぜひ!🤗😱 B=よかったら😉 C=気になったら🤨  D=ヒマだったら😑

スポーツライター。 1986年、日刊現代に入社。88年から運動部記者を務める。2002年に単行本デビュー作『バントの神様 川相昌弘と巨人軍の物語』(講談社)を上梓。06年に独立。『失われた甲子園』(講談社)新潮ドキュメント賞ノミネート。東スポ毎週火曜『赤ペン!!』連載中。 東京運動記者クラブ会員。日本文藝家協会会員。
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