ETV特集『続報”冤罪”の深層~新資料は何を語るのか〜』(NHK Eテレ)🤗😱

60分 NHK Eテレ初放送:2023年12月23日PM11:00~

9月24日にNHK総合で放送されたNHKスペシャル『“冤罪”の深層〜警視庁公安部で何が〜』の続編。
警察、検察、経産省が組織ぐるみで大川化工機の経営陣を誤認逮捕し、うちひとりを拘留中に死に至らしめた冤罪事件の内幕をさらに詳しく追跡調査した力作である。

今回NHKの入手した捜査資料によって明らかにされたのは、定年を間近に控えて手柄をあげたかった警視庁公安部外事第一課第五係長の強引な捜査手法と筋違いな省令解釈。
これに経産省の課長補佐が引きずられる形で協力し、捜査に当たった警部補が大川化工機の役員たちを追い詰め、さらに担当3人目の検察官が彼らの尻馬に乗った。

NHKが入手した捜査資料における警察、経産省、検察のやり取りを見る限り、ここには国家を守るための正義や信念の欠片もなく、ただただ自分たちの所属する組織の上層部に高く評価されたいという功名心と役人根性しか感じられない。
とくにでっち上げの中心人物だった第五係長が省令の「殺菌」という文言の曖昧さに目をつけ、「これはチャンスだ」などと話していたというくだりには、単なる視聴者としても非常に憤りを覚えた。

さらに、警部補たちが防衛医科大学校の四ノ宮成祥学校長に参考意見を求め、自分たちの立てた筋書に反した証言をされると、これを勝手にねじ曲げ、大川化工機の犯罪をより強く印象づけようとした、という事実に至っては開いた口が塞がらない。
もっと驚いたことには、これだけ悪質で欺瞞に満ちた捜査がNHKによって明らかにされても、第五係長は警部から警視、捜査に当たった警部補は警部にそれぞれ出世を果たしている。

本作では伏せられた彼らの実名は、ほかのメディアによってすでに報じられており、NHKもコメントを求めているが、沈黙したままだ。
大川化工機の大川原正明社長が一連の冤罪について国と都に賠償を求めた裁判は、27日に判決が下る。

オススメ度A。

A=ぜひ!🤗😱 B=よかったら😉 C=気になったら🤨  D=ヒマだったら😑

スポーツライター。 1986年、日刊現代に入社。88年から運動部記者を務める。2002年に単行本デビュー作『バントの神様 川相昌弘と巨人軍の物語』(講談社)を上梓。06年に独立。『失われた甲子園』(講談社)新潮ドキュメント賞ノミネート。東スポ毎週火曜『赤ペン!!』連載中。 東京運動記者クラブ会員。日本文藝家協会会員。
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