『必殺シリーズ異聞 27人の回想録』高島都😁😭😳🤔🤓

立東舎 定価2500円=税別
第1版1刷:2023年4月21日

昨年、必殺シリーズ初放送(『必殺仕掛人』1972~1973年)50周年を記念して出版された傑作ルポ『必殺シリーズ秘史 50年目の告白録』の姉妹編。
今回も筋金入りの必殺ファンである著者が27人の関係者にインタビューを行い、テレビドラマ史に残る名作の内幕を活写している。

まったく、「微に入り細を穿つ」とは、こういう本のためにある言葉ではないか。
前作『秘史』に登場した裏方のスタッフがそうだったように、必殺シリーズはとにかくひとりひとりの仕事にかける情熱とこだわりが半端ではない。

とりわけ面白いのはやはり、第1作『仕掛人』から参加していた脚本家9人が京都の「かんのんホテル」にこもり、互いに刺激しあいながらそれぞれの作品を練り上げていった、というくだり。
国弘威雄が「初期の必殺ぐらい充実していた仕事はなかった」と郷愁を込めて振り返れば、安倍徹郎も「ライバル意識を(脚本家)全員たぎらせていました」としのぎを削り合っていた当時の人間模様を熱量たっぷりに証言している。

必殺についてではないけれど、この9人のうち、石堂淑朗、早坂暁には僕もインタビューしたことがある。
石堂のインタビューを読んでいるうち、僕も余談として『仕掛人』に出演した際のエピソードを聞いたことを思い出し、あの低い声が耳元で蘇るような気がしました。

前作『秘史』を読んだあと、改めて『仕置人』(1973年)のDVDを何本か再見すると、いままでとはまた違った楽しみ方ができるようになった。
そこで、本作の読了後は暇を見つけて『必殺必中仕事屋稼業』(1975年)のDVDを観ている。

主役の緒形拳と言えば『仕掛人』の藤枝梅安のイメージが最も強烈だが、『仕事屋稼業』の知らぬ顔の半兵衛は一風変わった軽妙なキャラクターで、梅安とは異なる独特の魅力を感じさせる。
昔は見過ごしがちだったそういうことに気づかせてくれたのも、この優れたインタビュー集のおかげです。

😁😳🤔🤓😖 

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スポーツライター。 1986年、日刊現代に入社。88年から運動部記者を務める。2002年に単行本デビュー作『バントの神様 川相昌弘と巨人軍の物語』(講談社)を上梓。06年に独立。『失われた甲子園』(講談社)新潮ドキュメント賞ノミネート。東スポ毎週火曜『赤ペン!!』連載中。 東京運動記者クラブ会員。日本文藝家協会会員。
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