『マリリン・モンロー最後の真実』ドナルド・スポト😁😭😢😳🤔

Marilyn Monroe The Biography
発行:光文社 翻訳:小沢瑞穂、真崎義博 
Part1 定価2330円(税別) 初版第1刷:1993年10月25日
原書発行:1993年

前項『“マリリン”を生きる』(2022年)を観て、ムラムラとマリリン・モンローの詳細な伝記を読みたくなり、ネットで検索してAmazonで購入したのがこの2分冊の超大作。
著者ドナルド・スポトは元大学教授の伝記作家で、ローレンス・オリヴィエ、アルフレッド・ヒッチコック、ジェームズ・ディーンの評伝も高い評価を受けているという。

僕が10代の頃、まだモンローの記憶が世界中に生々しく残っていた1970年代は、彼女をスキャンダラスに扱ったドキュメンタリー番組が何度も地上波テレビで放送されていた。
とくに、原因不明の死を遂げた1962年、ジョン・F・ケネディのバースデイ・パーティーで〈ハッピー・バースデイ〉を歌った映像、未完成に終わった『女房は生きていた』でプールから上がってくるシーンはよく覚えている。

しかし、最も印象的だったのは、マリリンが死んだ同年8月5日の夜、自宅の寝室に固定電話を引き込み、恐らくは亡くなる直前まで、長時間誰かと話し込んでいたという描写だった。
電話のケーブルが引かれた寝室のドアの下から室内の灯りが漏れている映像に、モンローの話し声が聞こえてきた、という住み込みの家政婦らしい証言がかぶせられていた。

いま思えば映像も音声も完璧な作り物で、単なるイメージ映像に過ぎなかったのに、10代だった僕は愚かにも、これをドキュメンタリー映像、もしくは現実に忠実な再現映像と思い込んでしまった。
欧米で伝記作家としての地位を確立しているドナルド・スポトが著した本書は、あのモンローの死に際の再現映像が、ユーニス・マレイの嘘による完全なでっち上げであったことをはじめ、モンローにまつわる様々な都市伝説の真偽を実証的に綴っている。

母方の祖父がいわゆる狂い死にを遂げたため、自分は統合失調症の遺伝子を受け継いでいるのではないかと、モンローが生涯悩み続けていたのは事実だが、祖父の発狂の原因と死因は梅毒で、モンローが恐れていたような遺伝によるものではなかった。
また、女優としての道を歩み始めてから母親との関係が悪化し、母親が亡くなるまで修復されなかったのも確かとしながら、仕送りだけは最後まで続けていたという。

モンローは生涯で10回以上妊娠中絶をしている、というよく知られたゴシップも、著者スポトが主治医に確認したところ、流産が2回、子宮外妊娠が1回で、死ぬまで子供をほしがっていたモンローが自ら中絶手術を受けたことは一度もない。
本書ではこのように、モンローがセックス・シンボルであったがゆえに、今日まで事実として語られている尾鰭の付いた都市伝説が逐一検証され、潰されていく。

その半面、モンローはまだ売れなかったころ、自腹で授業料を払って演技の勉強をしていたため、毎日の食費にも事欠くようになり、ハリウッド大通りで客を取っていたと、彼女自身が親しい映画関係者に告白していた。
さらに、チャンスと役をつかむために既婚者の大物エージェントの愛人なっていたこと、最初の夫ジョー・ディマジオ、2番目の夫アーサー・ミラーと二股交際をしていた時期もあるという。

ディマジオとの結婚生活ではDVが日常茶飯事で、離婚してからもストーカーのように付き纏われていた、と詳細に書かれており、これは野球ファンにとってはショッキングな記述である。
しかし、別れてからお互い年齢を重ねた後年にはディマジオとの寄りを戻し、再婚の挙式と披露パーティーの準備を整えていた矢先、モンローは突然帰らぬ人となってしまう。

この場面と真相が、衝撃的であると同時に、あまりにも切ない。
著者によれば、いわゆる自殺でも謀殺でもなかったようだが、死に際は単なる薬物の過剰摂取と片づけるには救いようがなさ過ぎる。

本書に書かれていることのすべてが真実であるかどうかはわからないし、異論もあると推察される。
ただ、マリリン・モンロー=ノーマ・ジーンという女性の死後、彼女の実像をこれほど詳しく取材し、良いことも悪いことも正確に、かつ愛情を持って描いた評伝は他にないだろう。

😁😭😢😳🤔

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Part2 定価2330円(税別) 初版第1刷:1993年10月25日
スポーツライター。 1986年、日刊現代に入社。88年から運動部記者を務める。2002年に単行本デビュー作『バントの神様 川相昌弘と巨人軍の物語』(講談社)を上梓。06年に独立。『失われた甲子園』(講談社)新潮ドキュメント賞ノミネート。東スポ毎週火曜『赤ペン!!』連載中。 東京運動記者クラブ会員。日本文藝家協会会員。
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