『ドニー・ダーコ』(WOWOW)😉

Donnie Darko
113分 2001年 アメリカ=ニューマーケット・フィルムズ PG12
 日本配給:アスミックエース、ポニーキャニオン

2001年の劇場公開当時はそれほどヒットしなかったが、その後に口コミで評判が高まり、翌02年発売のDVDがベストセラーとなってカルト化した作品。
という予備知識がまったくないままに観始めたところ、前半の1時間弱はついていくのがしんどかったが、後半からグイグイ引き込まれて、ラストのオチには思わず膝をたたきたくなった。

主人公ドニー・ダーコ(ジェイク・ギレンホール)は夢遊病癖があり、精神科医リリアン・サーマン(キャサリン・ロス)の下に通っている高校生。
1988年10月2日の夜、ドニーはフラフラと家を出て、フランクという不気味なウサギの着ぐるみをかぶった人物に、「世界はあと28日と6時間と42分と12秒で終わる」と告げられる。

翌朝、ドニーが目を覚ますと、そこはゴルフ場で、帰宅してみたら家に飛行機のジェットエンジンが落下して半壊していた。
エンジンが落ちたのはちょうど自分の部屋で、おとなしく寝ていたら下敷きになって死んでいただろう。

フランクはドニーにとっては実在する友だちだが、サーマン医師にとっては妄想癖のある患者が見ている幻覚に過ぎない。
ドニーの見る幻覚は徐々にエスカレートし、起きているときもフランクが現れたり、父エディ(ホームズ・オズボーン)や自分の胸からゼリー状の物体が流れ出てくるのが見えるようになったりする。

さらに、そうした〝症状〟が進むにつれ、ドニーの行動も次第に粗暴で過激になっていき、校庭の犬の銅像の頭に斧をたたき込んだり、夜中に水道管を破裂させて校舎を水浸しにしたり。
ドニーは本当に頭がおかしいのか、家族や教師たちが困り果てている中、高校へ講演にやってきた宗教家ジム・カニングハム(パトリック・スウェイジ)に論戦を挑み、講堂からつまみ出されてしまった。

次第に迫りつつある「世界の終わり」について、ドニーは物理学教師ケネス・モニトフ(ノア・ワイリー)に相談し、どうやらタイムトラベルの概念と何らかの関係があるらしいと考える。
そこでモニトフは、この高校の卒業生、いまでは町外れでひっそりと暮らし、「死神ババア」と綽名されているロバータ・スパローの著書『タイムトラベルの哲学』を手渡した。

実は、この本こそ本作の様々な謎を解き明かす虎の巻なのだが、ただ映画を観ているだけでは、そこに書かれている因果関係までは理解できない。
それでも、ドニーの彼女グレッチェン・ロス(ジェナ・マローン)がトラブルに巻き込まれるあたりからある程度は推察でき、オープニングの飛行機事故に舞い戻るころには、ああ、そういうことだったのか、と察しがつくようにはなっている。

現在も発売されている4枚組ブルーレイには、監督リチャード・ケリーによる詳細なコメンタリーが付いているほか、劇場公開版から削除された未来人が登場するディレクターズ・カット版(133分)も収録されているそうだ。
さぞかし興味深い内容だろうし、そういうビデオソフトを買いたくなるファン心理もよくわかるし、大いに売れたのもむべなるかな。

しかし、そういう興味を持てない人には最後まで観るのが辛いかも。
僕自身、非常に面白い映画だとは思ったけど、ブルーレイを買って観てまで深掘りしたくなるほどではありませんでした。

オススメ度B。

ブルーレイ&DVDレンタルお勧め度2022リスト
A=ぜひ!🤗 B=よかったら😉 C=気になったら🤨  D=ヒマだったら😑
※再見、及び旧サイトからの再録

39『スーパーマン&ロイス』シーズン1(6)「パワーの代償」(2021年/米)B
38『スーパーマン&ロイス』シーズン1(5)「スモールビルの良心」(2021年/米)B
37『TOKYO VICE』#2起死回生(2022年/WOWOW、HBO Max)B
36『TOKYO VICE』#1新聞記者(2022年/WOWOW、HBO Max)B
35『ふたりのウルトラマン』(2022年/NHK)A
34『スーパーマン&ロイス』シーズン1(4)「波乱の幕開け」(2021年/米)B
33『スーパーマン&ロイス』シーズン1(3)「人気者であることの特権」(2021年/米)B
32『カムバック・トゥ・ハリウッド‼︎』(2020年/米)B
31『すばらしき世界』(2021年/ワーナー・ブラザース)A
30『私は確信する』(2018年/仏、白)C
29『透明人間』(2020年/米)A
28『アナザーラウンド』(2020年/丁、蘭、瑞)A
27『スーパーマン&ロイス』シーズン1(2)「引き継いだもの」(2021年/米)A
26『スーパーマン&ロイス』シーズン1(1)「パワーの目覚め」(2021年/米)A
25『日本女侠伝 侠客芸者』(1969年/東映)A
24『昭和残俠伝 血染の唐獅子』(1967年/東映)B
23『大コメ騒動』(2021年/ラビットハウス)C
22『王の願い ハングルの始まり』(2019年/韓)A
21『フラッシュ・ゴードン』(1980年/米)B
20『タイムマシン』(2002年/米)C
19『アンダーウォーター』(2020年/米)C
18『グリーンランド−地球最後の2日間−』(2020年/米)B
17『潔白』(2020年/韓)B
16『ズーム/見えない参加者』(2020年/英)C
15『アオラレ』(2020年/米)B
14『21ブリッジ』(2019年/米)B
13『ムニュランガボ』(2007年/盧、米)C
12『ミナリ』(2020年/米)A
11『バイプレイヤーズ もしも100人の名脇役が映画を作ったら』(2021年/東宝映像事業部)C
10『死霊の罠』(1988年/ジョイパックフィルム)C
9『劇場版 奥様は、取扱注意』(2021年/東宝)C
8『VHSテープを巻き戻せ!』(2013年/米)A
7『キャノンフィルムズ爆走風雲録』(2014年/以)B
6『ある人質 生還までの398日』(2019年/丁、瑞、諾)A
5『1917 命をかけた伝令』(2020年/英、米)A
4『最後の決闘裁判』(2021年/英、米)B
3『そして誰もいなくなった』(2015年/英)A
2『食われる家族』(2020年/韓)C
1『藁にもすがる獣たち』(2020年/韓)B

スポーツライター。 1986年、日刊現代に入社。88年から運動部記者を務める。2002年に単行本デビュー作『バントの神様 川相昌弘と巨人軍の物語』(講談社)を上梓。06年に独立。『失われた甲子園』(講談社)新潮ドキュメント賞ノミネート。東スポ毎週火曜『赤ペン!!』連載中。 東京運動記者クラブ会員。日本文藝家協会会員。
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