『昭和残俠伝 血染の唐獅子』(日本映画専門チャンネル)😉

90分 1967年 東映

高倉健が東映任侠映画の大スターとして爆発的な人気を博していたころの1本で、『昭和残俠伝』シリーズ第4作。
こういう映画はVHSのレンタルビデオが全盛だった1990年代前半までにハマって、一時はすっかり食傷していたが、久しぶりに観ると、やっぱりグイグイ引き込まれてしまう。

舞台は昭和初期の東京・浅草、健さん演じる主人公・花田秀次郎は、この界隈の鳶職、大工、左官たちの頂点に立つ鳶政一家の小頭。
上野で東京博覧会が開かれることになり、博徒・阿久津組の親分・阿久津剛三(河津清三郎)に会場建設の全権を寄越せと迫られた鳶政(加藤嘉)が、これを跳ねつけて阿久津の子分・三日仏(天津敏)に殺された。

それならばと、秀次郎は博覧会の入札で阿久津一家の不正を暴き、博覧会状の建設を一手に引き受ける権利を落札。
これを逆恨みした阿久津は様々な嫌がらせを繰り返し、秀次郎の弟分・音吉(山城新伍)が殺され、その恋人だった芸妓・染次(牧紀子)も自殺、あげく工事現場に放火されるに及んで、ついに秀次郎の堪忍袋の緒が切れる。

単身阿久津一家に乗り込んだ秀次郎に、昔馴染みの親友で、阿久津に盃を返した代貸・風間重吉(池部良)も同行。
クライマックスでは健さんが唐獅子牡丹の刺青姿で大立ち回りを演じ、阿久津と三日仏に見事復讐を果たすと、恋人で重吉の妹・文代(藤純子)に涙ながらに見送られてお縄となる。

プロデューサーは俊藤浩滋、監督はマキノ雅弘、撮影は星島一郎と、東映任侠路線をドル箱として確立させたチームで、1時間半の尺できっちりとファンを楽しませる仕事ぶりは一見非の打ちどころがない。
あるとすれば、死体になったはずの山城新伍が、健さんに目蓋を閉じられる前に自ら目をつぶってしまい、それが撮り直しもされずに映っちゃっているあたりか(粗探ししてすみません)。

オススメ度B。

ブルーレイ&DVDレンタルお勧め度2022リスト
A=ぜひ!🤗 B=よかったら😉 C=気になったら🤨  D=ヒマだったら😑
※再見、及び旧サイトからの再録

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スポーツライター。 1986年、日刊現代に入社。88年から運動部記者を務める。2002年に単行本デビュー作『バントの神様 川相昌弘と巨人軍の物語』(講談社)を上梓。06年に独立。『失われた甲子園』(講談社)新潮ドキュメント賞ノミネート。東スポ毎週火曜『赤ペン!!』連載中。 東京運動記者クラブ会員。日本文藝家協会会員。
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