オリックスは強いですね⚾️

試合前に談笑する(左から)スパークマン、ヒギンス、明日先発予定のバルガス

ふと思い立ち、メットライフドームへ西武-オリックス戦を見に行くことにした。
西武戦は6月22日の楽天戦以来、オリックスの試合は5月27日の交流戦DeNA戦以来と、どちらもかなり久しぶり。

コロナ禍のために報道陣も人数制限が敷かれているので、ちゃんと球場に入れるかどうかを東スポのMデスクに確認し、到着したのが午後2時半ごろ。
顔見知りの関係者に挨拶したら、誰も彼も「珍しいですね」「何しに来たんですか」と訝しげな視線を向けてきた。

後半戦に入ってからセ・リーグの試合しか見ていなくて、そちらは6チームすべて現状を現場で確認したけれど、パ・リーグの試合はひとつも見ていない。
とくにオリックスはこの週末の西武戦を逃すと、当分首都圏の球場に来ないし、きょうは東京オリンピックでも活躍した金メダリスト、エース山本由伸が先発する。

オリックスはなぜ突然こんなに強くなったのだろう、という興味ももちろんあった。
交流戦DeNA3連戦を見た5月25~27日、パ・リーグ最下位だったのにいつの間にか首位に浮上し、いったんロッテに抜かれたとはいえ、25年ぶりの優勝に向けて快進撃を続けている。

先発・山本は三回2死一、二塁で4番・中村を153㎞直球で空振り三振

強くなった第一の要因はやはり、山本をはじめとする主力投手の奮投ぶりにある。
この日の山本は立ち上がりの初回から三回まで続けて得点圏に走者を背負うなど、決して本調子ではなかったが、要所要所で中村、山川ら西武の主力打者を封じ込んだ。

中村をフォークと153㎞の真っ直ぐで2打席連続空振り三振に仕留めたかと思えば、巧みにカーブを織り交ぜて岸を見逃し三振、山川を中飛に抑えて見せるなど、変幻自在の配球が光った。
とくに目を引いたのはカーブの使い方で、3日のソフトバンク戦でもデスパイネを見逃し三振に打ち取っている。

この組み立ては捕手・若月健矢のリードによるところも大なのだろう。
あるいは、技術的な直接指導が多いという捕手出身の中嶋聡監督の助言が効いているのかもしれない。

その山本を、打線が序盤から盛り立てる。
主砲の吉田正尚が左太腿裏筋損傷で登録抹消となっている中、5番に入ったT-岡田が二回の第1打席で先制ソロ本塁打を放つと、三回にも2点目を追加するタイムリー。

ちなみに、本塁打した球は134㎞のカットボールで、「少し詰まっていましたが、浮いてきたボールをしっかりと振り切ることができました!」と、思い切り明るくコメントしているところが岡田らしい。
岡田は僕が取材した5月26日のDeNA戦でも1本塁打を含む5打数5安打と大暴れしており、いったん火が点くと手がつけられなくなる怖さがある。

このあと、四回には「由伸さんを楽に投げさせてあげたかった」という紅林弘太郎のタイムリー三塁打も飛び出し、順調に加点して7-1と快勝。
六回までで降板した山本はハーラートップに立つ13勝目で、球団では2010年の金子千尋以来となる10連勝も達成している。

試合後のヒーローインタビューでは「シーズンも残り少なくなり、1試合1試合が大切になってくるので、とにかく丁寧に投げようと思ってマウンドに上がりました」とホッとした表情。
「立ち上がりが悪くて、ピンチになったり球数が増えたりしたんですが、大量得点に助けられて投げることができました」と、いつものように味方への感謝を強調していた。

オリックスは文字通り、投打がガッチリ噛み合っての快勝で、とりあえずこの夜だけは主砲・吉田の穴を感じさせなかった。
ただ、その吉田が帰ってくる見通しがまったく立っていないことが気がかりではあるが。

一方、西武はこの夜の敗戦で今季最多の借金11。
何とかシーズン終盤を引っかき回してほしいところだが、オリックスとは対照的に好材料がほとんど見当たらない、というのが正直な感想である。

スポーツライター。 1986年、日刊現代に入社。88年から運動部記者を務める。2002年に単行本デビュー作『バントの神様 川相昌弘と巨人軍の物語』(講談社)を上梓。06年に独立。『失われた甲子園』(講談社)新潮ドキュメント賞ノミネート。東スポ毎週火曜『赤ペン!!』連載中。 東京運動記者クラブ会員。日本文藝家協会会員。
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