『メメント』(WOWOW)😉

Memento
113分 2000年 アメリカ=ニューマーケット・フィルムズ 日本公開:2001年 東芝、アミューズ・ピクチャーズ

21世紀の映画界を代表する鬼才のひとり、クリストファー・ノーランが21年前に監督した長編映画第2作。
ただし、1998年の処女作『フォロウィング』は制作予算6000ドルのインディペンデント映画で、実質的には自主制作に近い作品だったので、この『メメント』が商業映画デビュー作だったと言っていい。

しかし、ノーランという監督について何も知らず、予備知識のないまま本作を観た当時の映画ファンは、かなり面食らったのではないだろうか。
主人公レナード・シェルビー(ガイ・ピアース)は元保険会社の調査員で、過去のことは覚えているものの、いまの出来事は10分経つと自分が言ったことも周りで起こったこともすべて忘れてしまう記憶障害を患っている。

オープニング、モーテルの一室で目覚めたレナードは、そこがどこなのか、なぜ自分がこの部屋に泊まっているのかもわからない。
自分が記憶障害だという認識は持っており、チェックインしたときにフロントマンのバート(マーク・ブーン・ジュニア)にもそのことを伝えていたが、レナード自身はそのやり取りを忘れているため、フロントに寄っては同じことを繰り返すたび、「何度も聞いたよ」とバートに言われる。

そこへテディ(ジョー・パントリアーノ)という男がやってきて、旧知の友人であるかのように親しげな態度で「犯人が見つかったぞ」とレナードに告げる。
このあたりから、レナードが妻(ジョージャ・フォックス)をレイプされた上に惨殺されており、レナードが職を辞して犯人を探し出し、復讐しようとしていることがわかってくる。

映画はレナードの現在を描くカラーパート、保険調査員だった過去を回想するモノクロパートに分かれてストーリーが進行。
レナードが記憶障害を補うため、モノクロパートでポラロイド写真を撮ってはメモを書き留めたり、より重要な情報は自分の身体にタトゥーを入れたりする場面が描かれると、カラーパートでそうした数々のメモやタトゥーを元に妻殺しの犯人を捜索するくだりへ移行する。

ところが、レナードが妻殺しの犯人と見なして撃ち殺したテディが蘇ったり、レナードを手助けしているナタリー(キャリー=アン・モス)が麻薬の売人の恋人ジミー(ラリー・ホールデン)に殴られた痣や傷が消えたり、時間を逆行するかのような不可解な出来事が連続。
いまなら、のちの超大作『インセプション』(2010年)や『TENET テネット』(2020年)の世界観の原点はここにあったのか、と思いながら観ていられるが、劇場公開当時は頭がクラクラした観客も少なくなかっただろう。

原案となる短編を書いたのはノーラン作品の常連でもある実弟のジョナサン・ノーラン。
ノーランのファンなら観ておきたい作品だが、正直なところ、本作ではノーラン独特の世界観がまだ一般的な面白さにまでは昇華しきれていないような気もする。

オススメ度B。

ブルーレイ&DVDレンタルお勧め度2021リスト
A=ぜひ!🤗 B=よかったら😉 C=気になったら🤨  D=ヒマだ ったら😑
※再見、及び旧サイトからの再録

65『プレステージ』(2006年/米)B
64『シン・ゴジラ』(2016年/米)A※
63『キングコング:髑髏島の巨神』(2017年/米)B※
62『GODZILLA ゴジラ』(2014年/米)B※

61『見知らぬ乗客』(1951年/米)B
60『断崖』(1941年/米)B
59『間違えられた男』(1956年/米)B
58『下女』(1960年/韓)C
57『事故物件 恐い間取り』(2020年/松竹)C
56『マーウェン』(2019年/米)C
55『かもめ』(2018年/米)B
54『トッツィー』(1982年/米)A※
53『ジュディ 虹の彼方に』(2019年/米)B
52『ザ・ウォーク』(2015年/米)A※
51『マン・オン・ワイヤー』(2008年/米)B※
50『フリーソロ』(2018年/米)A
49『名も無き世界のエンドロール』(2021年/エイベックス・ピクチャーズ)B
48『ばるぼら』(2020年/日、独、英)C
47『武士道無残』(1960年/松竹)※
46『白い巨塔』(1966年/大映)A
45『バンクーバーの朝日』(2014年/東宝)A※
44『ホームランが聞こえた夏』(2011年/韓)B※
43『だれもが愛しいチャンピオン』(2019年/西)B
42『ライド・ライク・ア・ガール』(2019年/豪)B
41『シービスケット』(2003年/米)A※
40『6才のボクが、大人になるまで。』(2014年/米)A※
39『さらば冬のかもめ』(1973年/米)A※
38『30年後の同窓会』(2017年/米)A
37『ランボー ラスト・ブラッド』(2019年/米)C
36『ランボー 最後の戦場』(2008年/米)B
35『バケモノの子』(2015年/東宝)B
34『記憶屋 あなたを忘れない』(2020年/松竹)C
33『水曜日が消えた』(2020年/日活)C
32『永遠の門 ゴッホが見た未来』(2018年/米、英、仏)B
31『ブラック・クランズマン』(2018年/米)A
30『ナイブズ・アウト 名探偵と刃の館の秘密』(2019年/米)A
29『徳川いれずみ師 責め地獄』(1969年/東映)C
28『残酷・異常・虐待物語 元禄女系図』(1969年/東映)B
27『徳川女系図』(1968年/東映)C
26『狂った野獣』(1976年/東映)A
25『一度死んでみた』(2020年/松竹)B
24『ひとよ』(2019年/日活)C
23『パーフェクト・ワールド』(1993年/米)B
22『泣かないで』(1981年/米)C
21『追憶』(1973年/米)B
20『エベレスト 3D』(2015年/米、英、氷)B※
19『運命を分けたザイル』(2003年/英)A※
18『残された者 北の極地』(2018年/氷)C
17『トンネル 9000メートルの闘い』(2019年/諾)C
16『ザ・ワーズ 盗まれた人生』(2012年/米)A※
15『9人の翻訳家 囚われたベストセラー』(2019年/仏、比)A
14『ハウス・オブ・カード 野望の階段 シーズン6』(2018年/米)C
13『大時計』(1948年/米)B
12『汚名』(1946年/米)B
11『マザーレス・ブルックリン』(2019年/米)B
10『エジソンズ・ゲーム』(2017年/米)C
9『ジョン・ウィック:パラベラム』(2019年/米)C
8『ジョン・ウィック:チャプター2』(2017年/米)B
7『ジョン・ウィック』(2014年/米)C
6『容疑者、ホアキン・フェニックス』(2010年/米)C
5『宇宙戦争』(2005年/米)B
4『宇宙戦争』(1953年/米)B
3『宇宙戦争』(2019年/英)B
2『AI崩壊』(2020年/ワーナー・ブラザース)B
1『男はつらいよ お帰り 寅さん』(2019年/松竹)C

スポーツライター。 1986年、日刊現代に入社。88年から運動部記者を務める。2002年に単行本デビュー作『バントの神様 川相昌弘と巨人軍の物語』(講談社)を上梓。06年に独立。『失われた甲子園』(講談社)新潮ドキュメント賞ノミネート。東スポ毎週火曜『赤ペン!!』連載中。 東京運動記者クラブ会員。日本文藝家協会会員。
Scroll to top