『プレステージ』(WOWOW)😉

The Prestige
131分 2006年 アメリカ=ブエナ・ビスタ・ピクチャーズ・ディストリビューション、ワーナー・ブラザース
日本公開:2007年 ギャガ

19世紀末のロンドンで繰り広げられる奇術師同士の〝遺恨の対決〟を描いたクリストファー・ノーラン作品。
同じマジシャンの弟子としてコンビを組み、サクラを演じていたロバート・アンジャー(ヒュー・ジャックマン)とアルフレッド・ボーデン(クリスチャン・ベール)が、公演中の事故をきっかけに不倶戴天の敵同士となる。

アンジャーとボーデンの師匠ミルトン(リッキー・ジェイ)の最大の売り物は、両手両足を縛ったアシスタントの美女ジュリア・マッカロー(パイパー・ペラーボ)を水槽に入れて鍵をかけ、いったんカーテンで隠してから水槽の外へ脱出させる、という瞬間移動(テレポーテーション)マジック。
実はジュリアはアンジャーの妻で、客を装ったアンジャーがジュリアの足、両手を縛るのがボーデンの役割だった。

ところが、ボーデンは慣れているはずのマジックで、何故か手の縛り方を間違え、ロープが解けなくなったジュリアは水槽の中で溺死してしまう。
以後、袂を分かったふたりは別々にバーやクラブでマジックショーをやるようになり、ボーデンは客に拳銃を撃たせ、弾丸を素手で掴み取る銃弾掴み(ブレットキャッチ)で人気を博す。

その出し物の最中、妻を殺された恨みを晴らすべく、客を装って近づいたアンジャーは、拳銃に細工をしてボーデンの薬指と小指を吹っ飛ばす。
しかし、アンジャーが大劇場の瞬間移動で人気者になると、今度はボーデンがあからさまなネタバラシを仕掛けて、ふたりの泥仕合はますますエスカレート。

ボーデンはアンジャーの瞬間移動のタネを見破っていたが、アンジャーにはボーデンの瞬間移動のタネがわからない。
そこでアンジャーは自分のアシスタント、オリヴィア(スカーレット・ヨハンソン)をボーデンに接近させ、ボーデン独自のタネを盗んでこいと命じる。

こうしてアンジャーは交流電気を開発した科学者、トーマス・エジソンのライバルとしても知られたニコラ・テスラ(デヴィッド・ボウイ)と知り合い、アメリカのコロラド・スプリングスで行われている開発に大金を投じて、究極の瞬間移動装置を作らせる。
テスラのマシンのおかげで大成功を収め、ロンドンでは奇術師にとどまらないセレブとなったアンジャーは、しかし、またしてもボーデンに狙われ、今度はついに命を落とす。

こう書くとわかりやすいようだが、映画はアンジャーがボーデンの目の前で死ぬ場面から始まっており、ここから何度も過去と現在を行ったり来たりするため、観ている間はストーリーの進行具合をスンナリと咀嚼しにくい。
恐らく、あれ? いまどこだっけ? とまごつくお客さんも少なくなかったのではないか。

また、アンジャーのタネはともかく、ボーデンのタネと正体が実は…というアイデアは、驚く人は驚くだろうが、序盤から布石を打つことを避けている雰囲気から、ある程度読めてしまう。
恐らく、デヴィッド・クローネンバーグの『戦慄の絆』(1988年)を観たオールドファンなら、早いうちに察しがつくはず、という以上のことは、ここでは書かずにおきます。

原作はイギリスのSF作家クリストファー・プリーストが1995年に世界幻想文学大賞を受賞した同題ミステリー小説だが、監督(製作も兼務、脚本は実弟ジョナサン・ノーランと共同)のクリストファー・ノーランは映画化にあたって大胆な改変を施し、結末も変えているという。
しかし、今回はノーランならではの斜に構えた話術がいささかマイナスに作用していて、もっとストレートに真っ向からマジシャン同士の対決を描いたほうが面白くなっただろう。

オススメ度B。

ブルーレイ&DVDレンタルお勧め度2021リスト
A=ぜひ!🤗 B=よかったら😉 C=気になったら🤨  D=ヒマだ ったら😑
※再見、及び旧サイトからの再録

64『シン・ゴジラ』(2016年/東宝)A※
63『キングコング:髑髏島の巨神』(2017年/米)B※
62『GODZILLA ゴジラ』(2014年/米)B※
61『見知らぬ乗客』(1951年/米)B
60『断崖』(1941年/米)B
59『間違えられた男』(1956年/米)B
58『下女』(1960年/韓)C
57『事故物件 恐い間取り』(2020年/松竹)C
56『マーウェン』(2019年/米)C
55『かもめ』(2018年/米)B
54『トッツィー』(1982年/米)A※
53『ジュディ 虹の彼方に』(2019年/米)B
52『ザ・ウォーク』(2015年/米)A※
51『マン・オン・ワイヤー』(2008年/米)B※
50『フリーソロ』(2018年/米)A
49『名も無き世界のエンドロール』(2021年/エイベックス・ピクチャーズ)B
48『ばるぼら』(2020年/日、独、英)C
47『武士道無残』(1960年/松竹)※
46『白い巨塔』(1966年/大映)A
45『バンクーバーの朝日』(2014年/東宝)A※
44『ホームランが聞こえた夏』(2011年/韓)B※
43『だれもが愛しいチャンピオン』(2019年/西)B
42『ライド・ライク・ア・ガール』(2019年/豪)B
41『シービスケット』(2003年/米)A※
40『6才のボクが、大人になるまで。』(2014年/米)A※
39『さらば冬のかもめ』(1973年/米)A※
38『30年後の同窓会』(2017年/米)A
37『ランボー ラスト・ブラッド』(2019年/米)C
36『ランボー 最後の戦場』(2008年/米)B
35『バケモノの子』(2015年/東宝)B
34『記憶屋 あなたを忘れない』(2020年/松竹)C
33『水曜日が消えた』(2020年/日活)C
32『永遠の門 ゴッホが見た未来』(2018年/米、英、仏)B
31『ブラック・クランズマン』(2018年/米)A
30『ナイブズ・アウト 名探偵と刃の館の秘密』(2019年/米)A
29『徳川いれずみ師 責め地獄』(1969年/東映)C
28『残酷・異常・虐待物語 元禄女系図』(1969年/東映)B
27『徳川女系図』(1968年/東映)C
26『狂った野獣』(1976年/東映)A
25『一度死んでみた』(2020年/松竹)B
24『ひとよ』(2019年/日活)C
23『パーフェクト・ワールド』(1993年/米)B
22『泣かないで』(1981年/米)C
21『追憶』(1973年/米)B
20『エベレスト 3D』(2015年/米、英、氷)B※
19『運命を分けたザイル』(2003年/英)A※
18『残された者 北の極地』(2018年/氷)C
17『トンネル 9000メートルの闘い』(2019年/諾)C
16『ザ・ワーズ 盗まれた人生』(2012年/米)A※
15『9人の翻訳家 囚われたベストセラー』(2019年/仏、比)A
14『ハウス・オブ・カード 野望の階段 シーズン6』(2018年/米)C
13『大時計』(1948年/米)B
12『汚名』(1946年/米)B
11『マザーレス・ブルックリン』(2019年/米)B
10『エジソンズ・ゲーム』(2017年/米)C
9『ジョン・ウィック:パラベラム』(2019年/米)C
8『ジョン・ウィック:チャプター2』(2017年/米)B
7『ジョン・ウィック』(2014年/米)C
6『容疑者、ホアキン・フェニックス』(2010年/米)C
5『宇宙戦争』(2005年/米)B
4『宇宙戦争』(1953年/米)B
3『宇宙戦争』(2019年/英)B
2『AI崩壊』(2020年/ワーナー・ブラザース)B
1『男はつらいよ お帰り 寅さん』(2019年/松竹)C

スポーツライター。 1986年、日刊現代に入社。88年から運動部記者を務める。2002年に単行本デビュー作『バントの神様 川相昌弘と巨人軍の物語』(講談社)を上梓。06年に独立。『失われた甲子園』(講談社)新潮ドキュメント賞ノミネート。東スポ毎週火曜『赤ペン!!』連載中。 東京運動記者クラブ会員。日本文藝家協会会員。
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