『残酷・異常・虐待物語 元禄女系図』(WOWOW)😉

93分 1969年 東映 R15+

タイトルもすごいが中身もすごい、昭和時代の変態ポルノ、当時の言葉で「エログロ」時代劇大作。
過激な性表現ならAVで見慣れている現代の映画ファンでも、本作で石井輝男が突きつけてくるSM残虐描写の数々には、思わずのけぞって絶句するのではなかろうか。

1話約30分の挿話を3本並べたオムニバス形式で、元禄時代を舞台とした石井ならではの過激なポルノワールドが展開する。
スケコマシの半次(山本豊三)と、この男によって吉原の花魁にさせられるおいと(橘ますみ)の悲恋を描いた第1話は、エグいながらもまだしもまともな「成人映画」と言っていい。

御大尽(上田吉二郎)が大勢の花魁を集め、彼女たちをふんどし一丁にして騎馬戦をやらせる、という場面は当時の東映ならではのハレンチさ、品のなさ、と同時に、壮麗な美術と女優の数でスケールの大きさを示す場面でもある。
古株の花魁・八重垣役のカルーセル麻紀が、乳房を揺らせながらおいとに掴みかかっていくシーンには笑わせられましたね。

いかにも昭和らしいピンク映画だなあ、とニヤつきながら観ていると、第2話ではいきなり石井輝男独自の猟奇的世界が全開。
ヒロインのおちせ(葵三津子)が見世物小屋の小人(若狭伸)2人組に犯されたかと思ったら、半裸で小人たちを鞭打ち、高笑いするという度胆を抜くオープニングで始まる。

おちせは豪商・越後屋の令嬢だが、17歳のとき、大火傷を負った片眼の男に誘拐されて犯されて以来、醜いフリークスとのセックスでなければ燃えることができなくなっていた。
そんなおちせに恋していた手代の長吉(石浜朗)は、「おまえのような整い過ぎた顔の男では何も感じない」とおちせに突き放されると、思い余って焼け火箸を自分の顔に当てる。

この変態ぶりが、小池朝雄がバカ殿の正親を演じる第3話では、さらにスケールアップ。
中庭に数十人の腰元を集めて踊らせていたところへ、角に松明を付けた数頭の牛を放ち、赤襦袢に向かっていく牛の角に腰元たちが次々に突き殺される中、正親は「脱げ脱げ! 脱げば助かるぞ!」と絶叫し、逃げ惑う腰元たちに向かって矢を放つ。

さらには、世嗣を孕まない正室・お紺(賀川雪絵)の全身に金粉を塗り、皮膚呼吸を止めて〝窒息責め〟にしたり(実際には窒息はしないんですが)。
正親が妊娠させた側室・おみつ(尾花ミキ)が実は自分の娘だったとわかると、医師・玄達(吉田輝雄)が彼女の腹を裂いて胎児を取り出したり(昔の映画なので作り物感丸出しですが)。

劇場公開当時はジャーナリズムから散々バッシングされたそうだが、今時のAVとは比較にならないほど規模が大きく、何が何でも男性客を興奮させようと、闇雲に奮闘している姿勢は評価されて然るべき、かな。
主演女優も大変きれいで、男性から性転換したカルーセル麻紀はともかく、橘ますみはいまなら清純派として十分通用するだろうし、賀川雪絵は若かったころの坂口良子のお姉さん的な雰囲気がいい。

オススメ度B。

ブルーレイ&DVDレンタルお勧め度2021リスト
A=ぜひ!🤗 B=よかったら😉 C=気になったら🤨  D=ヒマだ ったら😑
※再見、及び旧サイトからの再録

27『徳川女系図』(1968年/東映)C
26『狂った野獣』(1976年/東映)A
25『一度死んでみた』(2020年/松竹)B
24『ひとよ』(2019年/日活)C
23『パーフェクト・ワールド』(1993年/米)B
22『泣かないで』(1981年/米)C
21『追憶』(1973年/米)B
20『エベレスト 3D』(2015年/米、英、氷)B※
19『運命を分けたザイル』(2003年/英)A※
18『残された者 北の極地』(2018年/氷)C
17『トンネル 9000メートルの闘い』(2019年/諾)C
16『ザ・ワーズ 盗まれた人生』(2012年/米)A※
15『9人の翻訳家 囚われたベストセラー』(2019年/仏、比)A
14『ハウス・オブ・カード 野望の階段 シーズン6』(2018年/米)C
13『大時計』(1948年/米)B
12『汚名』(1946年/米)B
11『マザーレス・ブルックリン』(2019年/米)B
10『エジソンズ・ゲーム』(2017年/米)C
9『ジョン・ウィック:パラベラム』(2019年/米)C
8『ジョン・ウィック:チャプター2』(2017年/米)B
7『ジョン・ウィック』(2014年/米)C
6『容疑者、ホアキン・フェニックス』(2010年/米)C
5『宇宙戦争』(2005年/米)B
4『宇宙戦争』(1953年/米)B
3『宇宙戦争』(2019年/英)B
2『AI崩壊』(2020年/ワーナー・ブラザース)B
1『男はつらいよ お帰り 寅さん』(2019年/松竹)C

スポーツライター。 1986年、日刊現代に入社。88年から運動部記者を務める。2002年に単行本デビュー作『バントの神様 川相昌弘と巨人軍の物語』(講談社)を上梓。06年に独立。『失われた甲子園』(講談社)新潮ドキュメント賞ノミネート。東スポ毎週火曜『赤ペン!!』連載中。 東京運動記者クラブ会員。日本文藝家協会会員。
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