『ハウス・オブ・カード 野望の階段 シーズン5』(WOWOW)😉

House of Cards: Season 5 全13章 各章43〜59分 2017年
 アメリカ:ネットフリックス、ソニー・ピクチャーズ・テレビジョン

今年のアメリカ大統領選で、民主党バイデン候補陣営による大がかりな不正が行われた、という陰謀論を主張しているトランプ大統領は、ひょっとしたらこのドラマにかなりの影響を受けているのではないか。
なんてことは、実際にはないだろうけど、観ているうちにそう思わずにはいられなくなるほど、今シリーズの政治家たちによる裏工作は凄まじい。

2016年の大統領選、共和党候補ウィル・コンウェイ(ジョエル・キナマン)とまともに戦っては勝てないと見たフランシス・アンダーウッド大統領(ケヴィン・スペイシー)はサイバーテロをでっち上げ、選挙戦をいったん棚上げし、コンウェイの危機管理能力の無さを暴こうと試みる。
この計略にハマったコンウェイが激しく動揺し、戦場で負ったPTSDを再発させ、テレビカメラの前で狼狽した姿を見せると、選挙参謀のマーク・アッシャー(キャンベル・スコット)、副大統領候補のブロックハート元大将(コルム・フィオレ)はフランクに対する反撃を開始。

アッシャーたちはテロ情報にはテロ情報、でっち上げにはでっち上げだとばかり、放射性物質を積んだトラックが行方不明になった、これはイスラム過激派のテロリストの仕業だという情報を流布。
おかげでフランクも副大統領クレア(ロビン・ライト)もホワイトハウスの地下シェルターへ押し込められ、選挙活動を封じられてしまう。

その最中、コンウェイ陣営の策略の匂いを嗅ぎつけたフランクは、法律を無視し、SPを押しのけてシェルターから脱出。
民主党側のマックス・ブレーガー大将がブロックハートと内通していることを突き止め、この放射性物質に関するデマを潰す。

さらにフランクは一連のテロ情報を利用し、激戦州5州の投票センターを封鎖させ、大統領選を上下両院の議員投票に持ち込むことに成功し、ついにコンウェイを逆転して大統領の座を勝ち取った。
ところが、勝利に酔っていられたのも束の間、今度はトム・ハンマーシュミット(ボリス・マッギヴァー)に焚きつけられたギャレット・ウォーカー前大統領(ミシェル・ギル)の逆襲が始まり、フランクの大統領罷免を求める弾劾裁判が開かれる。

それでもめげないフランクは、真相を暴かれたら致命傷となるゾーイ・バーンズ(ケイト・マーラ)殺しの犯人を首席補佐官ダグ・スタンパー(マイケル・ケリー)に押しつけ、自身は弁護士も付けずに出廷して大統領を辞任すると表明。
法律によって自動的に妻のクレア副大統領が大統領に就任することになると、彼女に就任演説でフランクに恩赦を与えると表明するようにと迫り、司法の追及を逃れようと目論む。

様々な思惑と陰謀が目まぐるしく交錯するストーリーは相変わらず面白く、リズムもスピード感も衰えていないものの、今シリーズはいままで以上にどうかと思うようなご都合主義が目立った。
数え上げると切りがないが、例えば情緒不安定に陥ったコンウェイがチャーター機のコクピットに乱入して「操縦桿を握らせろ!」と吠えるくだりはあまりに不自然でやり過ぎに映った。

もっと看過できないのは、弾劾裁判でフランクに不利な証言をしようとしたキャサリン・デュラント国務長官(ジェーン・アトキンソン)を、フランクがホワイトハウス内で階段から突き落とす場面。
フランクがホワイトハウス中に監視カメラを張り巡らせていたにもかかわらず、自らこんな無謀な犯罪を犯して、なぜか都合の良いことにこの犯罪だけは誰にも気づかれることなく、これ以後、重傷を負って入院したデュラントがまったくストーリーにからんでこない、というのは明らかにおかしい。

さて、そんなこんながあって、不本意ながらも大統領の座まで上り詰めたクレアは、就任演説でフランクの恩赦については一言も触れず。
テレビ中継でこれを観ていたフランクは「殺してやる!」と叫んだ。

結果的に、これが本シリーズにおけるスペイシーの最後のセリフとなった。
セクハラ疑惑とゲイであるとのカミングアウトにより、スペイシーが本作の降板とネットフリックスとの契約解消に追い込まれなかったら、シーズン6はいったいどんな展開になったのだろう。

オススメ度B。

ブルーレイ&DVDレンタルお勧め度2020リスト
A=ぜひ!🤗 B=よかったら😉 C=気になったら😏  D=ヒマだ ったら😑
※再見、及び旧サイトからの再録

144『ノースライト』(2020年/NHK)B
143『君の名は。』(2016年/東宝)A※
142『言の葉の庭』(2013年/コミックス・ウェーブ)B※
141『天気の子』(2019年/東宝)A
140『人間失格 太宰治と3人の女たち』(2019年/アスミック・エース)C
139『サニー/32』(2018年/日活)C
138『凶悪』(2013年/日活)B
137『ほえる犬は噛まない』(2000年/韓)C
136『暗黒の恐怖』(1950年/米)C※
135『トランボ ハリウッドに最も嫌われた男』(2015年/米)A※
134『フューリー』(2014年/米)C※
133『ホワイトタイガー ナチス極秘戦車・宿命の砲火』(2012年/露)B※
132『T-34 レジェンド・オブ・ウォー』(2019年/露)C
131『ゾンビ・ガール』(2015年/米)B※
130『狼男アメリカン』(1981年/米)B※
129『ウルフ』(1994年/米)B
128『パルプ・フィクション』(1994年/米)A
127『トゥルー・クライム』(1999年/米)C
126『ブラッド・ワーク』(2002年/米)B
125『ハウス・オブ・カード 野望の階段 シーズン4』(2016年/米)B
124『ザ・コミー・ルール 元FBI長官の告白』(2020年/米)B
123『ジェミニマン』(2019年/米)B
122『ガール・イン・ザ・ミラー』(2019年/加)B
121『ドッペルゲンガー』(2003年/アミューズピクチャーズ)B
120『屍人荘の殺人』(2019年/東宝)B
119『ドクター・スリープ』(2019年/米)B
118『ランス・アームストロング ツール・ド・フランス7冠の真実』(2013年/米)A※
117『疑惑のチャンピオン』(2015年/英、仏)B※
116『陽だまりのグラウンド』(2001年/米)B※
115『ホテル・ムンバイ』(2019年/豪、印、米)A
114『こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話』(2018年/松竹)B
113『閉鎖病棟−それぞれの朝−』(2019年/東映)C
112『真実』(2019年/仏、日)A
111『氷の微笑』(1992年/米)B
110『チャーリーズ・エンジェル』(2019年/米)C
109『FBI:特別捜査班 シーズン1 #22対決の時』(2019年/米)C
108『FBI:特別捜査班 シーズン1 #21隠された顔』(2019年/米)B
107『FBI:特別捜査班 シーズン1 #20エジプトの要人』(2019年/米)B
106『轢き逃げ 最高の最悪な日々』(2019年/東宝)B
105『蜜蜂と遠雷』(2019年/東宝)B
104『ワン・カップ・オブ・コーヒー 栄光のマウンド』(1991年/米)A
103『ドリーム・ゲーム 夢を追う男』(1991年/米)B※
102『スラッガーズ・ワイフ』(1985年/米)B
101『死霊のはらわた』(2013年/米)C※
100『死霊のはらわた』(1981年/米)A※
99『脱出』(1972年/米)A※
98『ラスト・ムービースター』(2018年/米)B
97『ハウス・オブ・カード 野望の階段 シーズン3』(2015年/米)A
96『FBI:特別捜査官 シーズン1 #19白い悪魔』(2019年/米)B
95『FBI:特別捜査官 シーズン1 #18ラクロイ捜査官』(2019年/米)C
94『FBI:特別捜査班 シーズン1 #17秘密のデート』(2019年/米)C
93『世界の涯ての鼓動』(2017年/独、仏、西、米)C
92『殺人鬼を飼う女』(2019年/KADOKAWA)D
91『軍旗はためく下に』(1972年/東宝)A※
90『イングリッシュ・ペイシェント』(1996年/米)B
89『ラスト、コーション』(2007年/台、香、米)A
88『サンセット大通り』(1950年/米)A※
87『深夜の告白』(1944年/米)A
86『救命艇』(1944年/米)B※
85『第3逃亡者』(1937年/英)B※
84『サボタージュ』(1936年/英)B※
83『三十九夜』(1935年/英)A※
82『ファミリー・プロット』(1976年/米)A※
81『引き裂かれたカーテン』(1966年/米)C
80『大いなる勇者』(1972年/米)A※
79『さらば愛しきアウトロー』(2018年/米)A
78『インターステラー』(2014年/米)A
77『アド・アストラ』(2019年/米)B
76『FBI:特別捜査班 シーズン1 #16ラザロの誤算』(2019年/米)C
75『FBI:特別捜査班 シーズン1 #15ウォール街と爆弾』(2019年/米)C
74『FBI:特別捜査班 シーズン1 #14謎のランナー』(2019年/米)D
73『FBI:特別捜査班 シーズン1 #13失われた家族』(2019年/米)D
72『ハウス・オブ・カード 野望の階段 シーズン2』(2014年/米)A
71『記憶にございません!』(2019年/東宝)B
70『新聞記者』(2019年/スターサンズ、イオンエンターテイメント)B
69『復活の日』(1980年/東宝)B
68『100万ドルのホームランボール 捕った!盗られた!訴えた!』(2004年/米)B
67『ロケットマン』(2019年/米)B
66『ゴールデン・リバー』(2018年/米、仏、羅、西)B
65『FBI:特別捜査班 シーズン1 #12憎しみの炎』(2019年/米)B
64『FBI:特別捜査班 シーズン1 #11親愛なる友へ』(2019年/米)B
63『FBI:特別捜査班 シーズン1 #10武器商人の信条』(2018年/米)A
62『FBI:特別捜査班 シーズン1 #9死の極秘リスト』(2018年/米)B
61『病院坂の首縊りの家』(1979年/東宝)C
60『女王蜂』(1978年/東宝)C
59『メタモルフォーゼ 変身』(2019年/韓)C
58『シュラシック・ワールド 炎の王国』(2018年/米)C
57『ハウス・オブ・カード 野望の階段 シーズン1』(2013年/米)A
56『FBI:特別捜査班 シーズン1 #8主権を有する者』(2018年/米)C
55『FBI:特別捜査班 シーズン1 #7盗っ人の仁義』(2018年/米)B
54『FBI:特別捜査班 シーズン1 #6消えた子供』(2018年/米)B
53『FBI:特別捜査班 シーズン1 #5アローポイントの殺人』(2018年/米)A
52『アメリカン・プリズナー』(2017年/米)D
51『夜の訪問者』(1970年/伊、仏)D
50『運命は踊る』(2017年/以、独、仏、瑞)B
49『サスペクト−薄氷の狂気−』(2018年/加)C
48『ザ・ボート』(2018年/馬)B
47『アルキメデスの大戦』(2019年/東宝)B
46『Diner ダイナー』(2019年/ワーナー・ブラザース)C
45『ファントム・スレッド』(2017年/米)A
44『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』(2019年/米)B
43『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』(2019年/米)A
42『スパイダーマン:ホームカミング』(2017年/米)A
41『ビリーブ 未来への大逆転』(2018年/米)B
40『ワンダー 君は太陽』(2017年/米)A
39『下妻物語』(2004年/東宝)A
38『コンフィデンスマンJP ロマンス編』(2019年/東宝)C
37『FBI:特別捜査班 シーズン1 #2緑の鳥』(2018年/米)A
36『FBI:特別捜査班 シーズン1 #1ブロンクス爆破事件』(2018年/米)B
35『THE GUILTY ギルティ』(2018年/丁)A
34『ザ・ラウデスト・ボイス−アメリカを分断した男−』(2019年/米)A
33『X-MEN:アポカリプス』(2016年/米)B※
32『X-MEN:フューチャー&パスト』(2014年/米)C※
31『X-MEN:ファースト・ジェネレーション』(2011年/米)B※
30『X-MEN:ダーク・フェニックス』(2019年/米)D
29『ヴァンパイア 最期の聖戦』(1999年/米)B
28『クリスタル殺人事件』(1980年/英)B
27『帰ってきたヒトラー』(2015年/独)A※
26『ヒトラー〜最期の12日間〜』(2004年/独、伊、墺)A
25『ヒトラー暗殺、13分の誤算』(2015年/独)A
24『ハートブレイク・リッジ 勝利の戦場』(1986年/米)B
23『大脱出2』(2018年/中、米)D
22『大脱出』(2013年/米)B
21『記者たち 衝撃と畏怖の真実』(2018年/米)B
20『ハンターキラー 潜航せよ』(2018年/米)C
19『グリーンブック』(2018年/米)A
18『ウィンストン・チャーチル ヒトラーから世界を救った男』(2017年/英、米)B
17『天才作家の妻 40年目の真実』(2018年/瑞、英、米)B
16『デッドラインU.S.A』(1954年/米)B
15『海にかかる霧』(2014年/韓)A※
14『スノーピアサー』(2013年/韓、米、仏)A

13『前科者』(1939年/米)C
12『化石の森』(1936年/米)B
11『炎の人ゴッホ』(1956年/米)B※
10『チャンピオン』(1951年/米)B

9『白熱』(1949年/米)A
8『犯罪王リコ』(1930年/米)B
7『ユリシーズ 』(1954年/伊)C
6『バッド・ジーニアス 危険な天才たち』(2017年/泰)B
5『七つの会議』(2019年/東宝)A
4『キャプテン・マーベル』(2019年/米)B
3『奥さまは魔女』(2005年/米)C
2『フロントランナー』(2018年/米)B
1『運び屋』(2018年/米)A 

スポーツライター。 1986年、日刊現代に入社。88年から運動部記者を務める。2002年に単行本デビュー作『バントの神様 川相昌弘と巨人軍の物語』(講談社)を上梓。06年に独立。『失われた甲子園』(講談社)新潮ドキュメント賞ノミネート。東スポ毎週火曜『赤ペン!!』連載中。 東京運動記者クラブ会員。日本文藝家協会会員。
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