土曜ドラマ『ノースライト』(NHK総合)😉

150分 2020年 
前編『消えた家族』:12月12日(土) 午後9:00~10:15
後編『夢みた家』:12月19日(土) 午後9:00~10:15

原作が横山秀夫で主演が西島秀俊、北村一輝、宮沢りえ、という顔ぶれに興味を抱いてチェックすることにしたテレビドラマ。
前編のスタート早々、信濃追分の草原にポツンと建てられた「Y邸」のインパクトが強烈で、あっという間に作品世界に引きずり込まれた。

主人公・青瀬稔(西島)はバブルが弾けて大手建築事務所を追い出された建築士で、同業者の妻・ゆかり(宮沢)とも離婚、現在は数少ない建築士仲間・岡島昭彦(北村)の事務所に雇われている。
2004年、そんな青瀬の元に吉野淘太(伊藤淳史)という男が訪ねてきて、「あなたが住みたい家を建ててください」と依頼する。

場所は信濃追分の浅間山の麓、報酬は3000万円。
久しぶりに建築家としてのモチベーションをかき立てられた青瀬は、自分が少年期を過ごしたダム建設の飯場を思い出し、北側から採光できる大きな窓、3本の煙突状の天窓が付いた「ノースライトの家」を設計した。

完成後、この家は建築業界の専門誌の企画「平成すまい200選」のうちのひとつに取り上げられ、依頼主の名前から「Y邸」と呼ばれるようになる。
しかし、妻と3人の子供を連れて引っ越してきた吉野はいつの間にか、蒸発するようにこの家から消えていた。

家に残されていたのは、ドイツの建築家兼工芸家ブルーノ・タウトのデザインにそっくりの木製の椅子一脚のみ。
これはいったい何を意味するのか、吉野一家はどこへ消えたのか、青瀬が真相を探り始めると、吉野が元妻のゆかりと連絡を取り合っていたことがわかってくる。

一方、岡島は埼玉県に建てられる芸術家の藤宮春子メモワール(記念館)のコンペに参加する指名を得るため、市の建設部長を饗応したという疑惑を持たれていた。
これを新聞に報じられ、胃潰瘍で入院した岡島は、家庭の秘密を青瀬に明かした矢先、病室の窓から転落してしまう。

次から次へと謎を提示して見せ、観る者を不安がらせながら引き摺り込んでいく展開のうまさはさすが横山ミステリならでは。
主要登場人物を演じる俳優もそれぞれ好演で、とくにレイ・リオッタが一番よかったころを彷彿とさせる北村が光っている。

しかし、観終わってみると、これだけ様々な要素が複雑に交錯したストーリーをテレビドラマ化するには、前後編の2回だけでは短過ぎた感が強い。
とりわけ、ゆかりが「鳥類」と呼んでいたほど青瀬が鳥好きだったいう伏線が貼られているにもかかわらず、肝心の九官鳥をめぐる真相がいまひとつ説明不足。

一回分くらい、青瀬と吉野の過去に遡り、彼らの父親の人物像を掘り下げたほうが、幕切れの感動も盛り上がっただろう。
もちろん、青瀬が藤宮春子メモワールの設計に全力を傾けるクライマックスは、いまのままで十分胸を打つものがあるのだが。

オススメ度B。

ブルーレイ&DVDレンタルお勧め度2020リスト
A=ぜひ!🤗 B=よかったら😉 C=気になったら😏  D=ヒマだ ったら😑
※再見、及び旧サイトからの再録

139『君の名は。』(2016年/東宝)A※
138『言の葉の庭』(2013年/コミックス・ウェーブ)B※
137『天気の子』(2019年/東宝)A
136『人間失格 太宰治と3人の女たち』(2019年/アスミック・エース)C
135『サニー/32』(2018年/日活)C
134『凶悪』(2013年/日活)B
133『ほえる犬は噛まない』(2000年/韓)C
132『暗黒の恐怖』(1950年/米)C※
131『トランボ ハリウッドに最も嫌われた男』(2015年/米)A※
130『フューリー』(2014年/米)C※
129『ホワイトタイガー ナチス極秘戦車・宿命の砲火』(2012年/露)B※
128『T-34 レジェンド・オブ・ウォー』(2019年/露)C
127『ゾンビ・ガール』(2015年/米)B※
126『狼男アメリカン』(1981年/米)B※
125『ウルフ』(1994年/米)B
124『パルプ・フィクション』(1994年/米)A
123『トゥルー・クライム』(1999年/米)C
122『ブラッド・ワーク』(2002年/米)B
121『ハウス・オブ・カード 野望の階段 シーズン4』(2016年/米)B
120『ザ・コミー・ルール 元FBI長官の告白』(2020年/米)B
119『ジェミニマン』(2019年/米)B
118『ガール・イン・ザ・ミラー』(2019年/加)B
117『ドッペルゲンガー』(2003年/アミューズピクチャーズ)B
116『屍人荘の殺人』(2019年/東宝)B
115『ドクター・スリープ』(2019年/米)B
114『ランス・アームストロング ツール・ド・フランス7冠の真実』(2013年/米)A※
113『疑惑のチャンピオン』(2015年/英、仏)B※
112『陽だまりのグラウンド』(2001年/米)B
111『ホテル・ムンバイ』(2019年/豪、印、米)A
110『こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話』(2018年/松竹)B
109『閉鎖病棟−それぞれの朝−』(2019年/東映)C
108『真実』(2019年/仏、日)A
107『氷の微笑』(1992年/米)B
106『チャーリーズ・エンジェル』(2019年/米)C
105『FBI:特別捜査班 シーズン1 #22対決の時』(2019年/米)C
104『FBI:特別捜査班 シーズン1 #21隠された顔』(2019年/米)B
103『FBI:特別捜査班 シーズン1 #20エジプトの要人』(2019年/米)B
102『轢き逃げ 最高の最悪な日々』(2019年/東宝)B
101『蜜蜂と遠雷』(2019年/東宝)B
100『ワン・カップ・オブ・コーヒー 栄光のマウンド』(1991年/米)A
99『ドリーム・ゲーム 夢を追う男』(1991年/米)B※
98『スラッガーズ・ワイフ』(1985年/米)B
97『死霊のはらわた』(2013年/米)C※
96『死霊のはらわた』(1981年/米)A※
95『脱出』(1972年/米)A※
94『ラスト・ムービースター』(2018年/米)B
93『ハウス・オブ・カード 野望の階段 シーズン3』(2015年/米)A
92『FBI:特別捜査官 シーズン1 #19白い悪魔』(2019年/米)B
91『FBI:特別捜査官 シーズン1 #18ラクロイ捜査官』(2019年/米)C
90『FBI:特別捜査班 シーズン1 #17秘密のデート』(2019年/米)C
89『世界の涯ての鼓動』(2017年/独、仏、西、米)C
88『殺人鬼を飼う女』(2019年/KADOKAWA)D
87『軍旗はためく下に』(1972年/東宝)A※
86『イングリッシュ・ペイシェント』(1996年/米)B
85『ラスト、コーション』(2007年/台、香、米)A
84『サンセット大通り』(1950年/米)A※
83『深夜の告白』(1944年/米)A
82『救命艇』(1944年/米)B※
81『第3逃亡者』(1937年/英)B※
80『サボタージュ』(1936年/英)B※
79『三十九夜』(1935年/英)A※
78『ファミリー・プロット』(1976年/米)A※
77『引き裂かれたカーテン』(1966年/米)C
76『大いなる勇者』(1972年/米)A※
75『さらば愛しきアウトロー』(2018年/米)A
74『インターステラー』(2014年/米)A
73『アド・アストラ』(2019年/米)B
72『FBI:特別捜査班 シーズン1 #16ラザロの誤算』(2019年/米)C
71『FBI:特別捜査班 シーズン1 #15ウォール街と爆弾』(2019年/米)C
70『FBI:特別捜査班 シーズン1 #14謎のランナー』(2019年/米)D
69『FBI:特別捜査班 シーズン1 #13失われた家族』(2019年/米)D
68『ハウス・オブ・カード 野望の階段 シーズン2』(2014年/米)A
67『記憶にございません!』(2019年/東宝)B
66『新聞記者』(2019年/スターサンズ、イオンエンターテイメント)B
65『復活の日』(1980年/東宝)B
64『100万ドルのホームランボール 捕った!盗られた!訴えた!』(2004年/米)B
63『ロケットマン』(2019年/米)B
62『ゴールデン・リバー』(2018年/米、仏、羅、西)B
61『FBI:特別捜査班 シーズン1 #12憎しみの炎』(2019年/米)B
60『FBI:特別捜査班 シーズン1 #11親愛なる友へ』(2019年/米)B
59『FBI:特別捜査班 シーズン1 #10武器商人の信条』(2018年/米)A
58『FBI:特別捜査班 シーズン1 #9死の極秘リスト』(2018年/米)B
57『病院坂の首縊りの家』(1979年/東宝)C
56『女王蜂』(1978年/東宝)C
55『メタモルフォーゼ 変身』(2019年/韓)C
54『シュラシック・ワールド 炎の王国』(2018年/米)C
53『ハウス・オブ・カード 野望の階段 シーズン1』(2013年/米)A
52『FBI:特別捜査班 シーズン1 #8主権を有する者』(2018年/米)C
51『FBI:特別捜査班 シーズン1 #7盗っ人の仁義』(2018年/米)B
50『FBI:特別捜査班 シーズン1 #6消えた子供』(2018年/米)B
49『FBI:特別捜査班 シーズン1 #5アローポイントの殺人』(2018年/米)A
48『アメリカン・プリズナー』(2017年/米)D
47『夜の訪問者』(1970年/伊、仏)D
46『運命は踊る』(2017年/以、独、仏、瑞)B
45『サスペクト−薄氷の狂気−』(2018年/加)C
44『ザ・ボート』(2018年/馬)B
43『アルキメデスの大戦』(2019年/東宝)B
42『Diner ダイナー』(2019年/ワーナー・ブラザース)C
41『ファントム・スレッド』(2017年/米)A
40『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』(2019年/米)B
39『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』(2019年/米)A
38『スパイダーマン:ホームカミング』(2017年/米)A
37『ビリーブ 未来への大逆転』(2018年/米)B
36『ワンダー 君は太陽』(2017年/米)A
35『下妻物語』(2004年/東宝)A
34『コンフィデンスマンJP ロマンス編』(2019年/東宝)C
33『FBI:特別捜査班 シーズン1 #2緑の鳥』(2018年/米)A
32『FBI:特別捜査班 シーズン1 #1ブロンクス爆破事件』(2018年/米)B
31『THE GUILTY ギルティ』(2018年/丁)A
30『ザ・ラウデスト・ボイス−アメリカを分断した男−』(2019年/米)A
29『X-MEN:アポカリプス』(2016年/米)B※
28『X-MEN:フューチャー&パスト』(2014年/米)C※
27『X-MEN:ファースト・ジェネレーション』(2011年/米)B※
26『X-MEN:ダーク・フェニックス』(2019年/米)D
25『ヴァンパイア 最期の聖戦』(1999年/米)B
24『クリスタル殺人事件』(1980年/英)B
23『帰ってきたヒトラー』(2015年/独)A※
22『ヒトラー〜最期の12日間〜』(2004年/独、伊、墺)A
21『ヒトラー暗殺、13分の誤算』(2015年/独)A
20『ハートブレイク・リッジ 勝利の戦場』(1986年/米)B
19『大脱出2』(2018年/中、米)D
18『大脱出』(2013年/米)B
17『記者たち 衝撃と畏怖の真実』(2018年/米)B
16『ハンターキラー 潜航せよ』(2018年/米)C
15『グリーンブック』(2018年/米)A
14『ウィンストン・チャーチル ヒトラーから世界を救った男』(2017年/英、米)B
13『天才作家の妻 40年目の真実』(2018年/瑞、英、米)B
12『デッドラインU.S.A』(1954年/米)B
11『前科者』(1939年/米)C
10『化石の森』(1936年/米)B
9『白熱』(1949年/米)A
8『犯罪王リコ』(1930年/米)B
7『ユリシーズ 』(1954年/伊)C
6『バッド・ジーニアス 危険な天才たち』(2017年/泰)B
5『七つの会議』(2019年/東宝)A
4『キャプテン・マーベル』(2019年/米)B
3『奥さまは魔女』(2005年/米)C
2『フロントランナー』(2018年/米)B
1『運び屋』(2018年/米)A 

スポーツライター。 1986年、日刊現代に入社。88年から運動部記者を務める。2002年に単行本デビュー作『バントの神様 川相昌弘と巨人軍の物語』(講談社)を上梓。06年に独立。『失われた甲子園』(講談社)新潮ドキュメント賞ノミネート。東スポ毎週火曜『赤ペン!!』連載中。 東京運動記者クラブ会員。日本文藝家協会会員。
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