今季のお客さんに〝消化試合〟はない⚾️👏

左右両翼に増設されたウイング席にもお客さんが

球場入場者数制限が、一律5,000人から収容人員の50%に引き上げられてからのプロ野球取材、2試合目は上限16,000人のハマスタ、DeNA-ヤクルト戦である。
東京ドームの外野席を見たときにも感じたことだけれど、ホームチームのユニホームに身を包んだファンがスタンドを埋めた光景はやはりいいものです。

とくに、ハマスタは東京オリンピックのため、今季から左右両翼のウイング席が増設されたばかり。
今回の上限緩和措置により、そのウイング席にようやく、初めてファンを迎えることができて、球場や球団の関係者も感慨ひとしおだったのではないでしょうか。

そのウイング席をよく見ると、生ビールのサーバーや缶のドリンクを抱えた売り子さんが、手を挙げて注文を募りながら、いそいそと通路を歩き回っている。
などと書いたら、何を見に行ってるんだと突っ込まれそうですが、ああ、やっと昔ながらのナイター観戦の風景が戻ってきたな、と思った。

初回、逆転3ランを放ち、電光掲示板に映し出された佐野

今夜の試合内容も、観戦に詰めかけたお客さんの期待に応える激しい接戦となった。
ヤクルトが初回、DeNAの新人・坂本から山崎の先頭打者初球本塁打などで2点を先制すると、直後のその裏、DeNAの4番・佐野がヤクルトのエース・小川から逆転3ラン。

ヤクルトが四回に2点を取って1点差に追い上げると、やはり直後のその裏、今度は梶谷がソロ本塁打を左翼スタンドに運んで突き放す。
ちなみに、これは梶谷にとって9月40安打目で、球団の月間最多安打記録41安打(1991年パチョレック、1996年佐伯)にリーチをかける一発でもあった。

と、テレビ中継でTBSの初田アナが盛り上げていた矢先、梶谷は六回の第4打席でこの日4安打目の二塁打を打ち、球団タイ記録を達成した。
試合も押せ押せの展開となり、8-4で快勝して、ヒーローインタビューのお立ち台に梶谷と佐野が登場。

梶谷「(4安打で球団タイ記録は)自分でもビックリです。
1月から根気良くやってきたことがいまの結果につながっていると思います」

佐野「(初回の逆転3ランは)チャンスだったので、何とかランナーを返そうと思っていました。
(でも)ホームランは期待しないでくださーい!」

当然、ラミレス監督の口も至って滑らか。

「ベリー・ハッピー! ベリー・ハッピー!
きょうは佐野のホームランも大きかったし、梶谷もよく打ってくれた。

梶谷の好調の原因?
はっきり言って僕にはよくわからないね。

(新人で3勝目の)坂本も、初回こそ打たれたが、あとからしっかり修正してくれた。
きょうはチームが一体となっての勝利だった」

今季のセ・リーグは巨人が首位を独走し、2連覇をほぼ確実にしており、CSも行われないから、このDeNA-ヤクルト戦は事実上の消化試合。
しかし、こうして球場の雰囲気や盛り上がりを直に感じていると、観戦と応援を待たされ続けてきた今季のお客さんにとって、今夜のゲームは一生の思い出になるのかもしれない、と感じました。

なお、今夜の観衆は上限16,000人の中13,832人。
明日はもっと多くのお客さんに足を運んでほしい…と、うっかり言えないのが、このご時世の淋しいところです。

では最後に、恒例のオマケ、中華街の試合前メシ画像。
今回は初めて行った〈龍門〉で、炒飯+鶏肉カシューナッツ炒めセット。

上左からフカヒレ入りスープ、ザーサイ、鶏肉カシューナッツ炒め、炒飯
左から小篭包、杏仁豆腐

これだけの品数が出てきて980円(税込1,072円)なんだから、やっぱり中華街はお得ですね。
ハマスタの中もこれぐらいのお値段で食べ物を提供してくれれば、というのは、時節柄、さすがに無理な注文か。

スポーツライター。 1986年、日刊現代に入社。88年から運動部記者を務める。2002年に単行本デビュー作『バントの神様 川相昌弘と巨人軍の物語』(講談社)を上梓。06年に独立。『失われた甲子園』(講談社)新潮ドキュメント賞ノミネート。東スポ毎週火曜『赤ペン!!』連載中。 東京運動記者クラブ会員。日本文藝家協会会員。
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