『X-MEN:アポカリプス』(3D)😉

X-Men:Apocalypse 144分 2016年 アメリカ=20世紀FOX

このシリーズは第1作『X-MEN』(2000年)以降、つい最近公開されたスピンオフ作品『デッドプール』(2016年)を除き、全8作中7作を見ている。
『デッドプール』はWOWOWでの放送を待てばいいとして、この『アポカリプス』は〝完結篇〟になるというので、公開初日に日比谷スカラ座へ見に行ってきた。

最初の旧3部作は第2作目までは及第点に達していたが、締め括りの第3作『X-MEN:ファイナルディシジョン』(2006年)が監督交代などのトラブルもあったためか、煮え切らない内容に終わっていた。
ウルヴァリン(ヒュー・ジャックマン)を主人公に据えたスピンオフ版の2本『ウルヴァリン:X-MEN ZERO』(2009年)、『ウルヴァリン:SAMURAI』(2013年)も感心できる出来栄えだったとは言い難い。

ところが、プロフェッサーXやマグニートーの青春時代に舞台を移し、彼らをはじめとする若き日のX-MENたちの活躍と友情を描いた新3部作第1弾(通算5作目)『X-MEN:ファースト・ジェネレーション』(2011年)は、路線変更がハマって予想をはるかに上回る面白さとなった。
プロフェッサーXがパトリック・スチュワートからジェームズ・マカヴォイに変わり、最初のうちはいかにも貫目不足に見えたものの、脊髄に流れ弾を受けて車椅子生活を強いられるようになったくだりなど、様々なディテールを旧3部作とリンクさせたシナリオのうまさが光っていた。

しかし、大いに期待した第2弾(通算7作目)『X-MEN:フューチャー&パスト』(2014年)は、またもやウルヴァリンが前面に出てきてまとまりのない内容に終始。
さて、これでいったん新3部作もおしまいという触れ込みで公開されたこの第3弾(同8作目)はどうだったか。

『ファースト・ジェネレーション』では1962年のキューバ危機、『フーチャー&パスト』では1973年のベトナム戦争と、史実を採り入れた構成が成功したことから、本作では前作の10年後の1983年に舞台を設定、極度に緊張上状態が高まっていた米ソの核兵器開発競争をモチーフのひとつにしている。
スコット(タイ・シェリダン、旧3部作ジェームズ・マースデン)やジーン(ソフィー・ターナー、同ファムケ・ヤンセン)が当時公開された『スター・ウォーズ/ジェダイの復讐』を見に行き、「ダークな終わり方の『帝国の逆襲』は面白かったのに」「大体、シリーズ化したら3作目は最低になっちゃうもんだよ」とコキ下ろしている場面も笑わせる。

前作でミスティーク(ジェニファー・ローレンス、旧3部作レベッカ・ローミン)が大統領を助けた経緯から、本作では世界でミュータントの存在が認知されているという前提になっており、プロフェッサーX=エグゼビア(マカヴォイ)も、そうした世相を背景にミュータントの子供を集めた〈恵まれし子らの学園〉を開校。
そこへ、自分の特殊な能力を制御できず、孤独感に苛まれていたジーンやスコットが集まり、教師のエグゼビアやハンク(ニコラス・ホルト、同ケルシー・グラマー)の温かな指導を受けて成長してゆく。

このように旧3部作の第1作につながる背景が説明され、ああ、そういうふうに昔の映画とつながっているのか、とこちらがうなずきながら見ていると、エジプトのカイロで数千年の眠りから目覚めたシリーズ最大最強の悪役アポカリプス(オスカー・アイザック)が登場。
マグニートー(マイケル・ファスベンダー、旧3部作イアン・マッケラン)、ストーム(アレクサンドラ・シップ、同ハル・ベリー)、エンジェル(ベン・ハーディ、同ベン・フォスター)らを洗脳して味方につけ、エグゼビアのテレパシー能力を奪い取ろうと目論む。

アポカリプスを演じるアイザックはコーエン兄弟の佳作『インサイド・ルーウィン・デイヴィス 名もなき男の歌』(2013年)で売れないフォーク・シンガーを演じていい味を出し、『スター・ウォーズ フォースの覚醒』(2015年)で共和国軍の戦闘機パイロットを演じていた売り出し中の役者。
ぼくも注目している俳優で、「単なる悪役ではなく人間的な説得力の持ち主を演じられると見込んでキャスティングした」と言うブライアン・シンガー監督の狙いはよくわかるものの、メイクアップが『スター・ウォーズ』シリーズのダース・シディアスの親戚のように見え、ステロタイプの悪玉といった印象が先に立つ。

クライマックスではエグゼビアが半死半生の状態になり、X-MENたちが次から次へと立ち向かってもことごとくアポカリプスに蹴散らされ、いったい誰がトドメを刺すのかと思ったら、最後の最後に意外なキャラクターが隠された力を発揮する。
まだやるのかとうんざりするほどバトルが続いて、いくら何でも引っ張り過ぎだと感じないでもなかったが、それでも見ている間はいいトシをして手に汗握らされていた。

細かい文句はいろいろあるが、マグニートーがあのヘンテコな兜をかぶるようになった経緯も、髪の毛フサフサだったエグゼビアの頭がツルツルのスキンヘッドになってしまった原因も、本作を最後まで見てようやく判明。
長年のファンとしては昔からの疑問が氷解したことも含めて、それなりに楽しめる仕上がりだったと評価したい。

なお、エンド・クレジットをずっと見ていたら、ああ、やっぱりな、という映像が最後の最後に出てきました。
(2020年4月18日の追記:さらに続きを作ることに関しては、このときから悪い予感がしていた。)

採点は75点です。

旧サイト:2016年08月11日(木)付Pick-upより再録。

ブルーレイ&DVDレンタルお勧め度2020リスト
A=ぜひ!🤗 B=よかったら😉 C=気になったら😏  D=ヒマだ ったら😑
※再見、及び旧サイトからの採録

28『X-MEN:フューチャー&パスト』(2014年/米)C※
27『X-MEN:ファースト・ジェネレーション』(2011年/米)B※
26『X-MEN:ダーク・フェニックス』(2019年/米)D
25『ヴァンパイア 最期の聖戦』(1999年/米)B
24『クリスタル殺人事件』(1980年/英)B
23『帰ってきたヒトラー』(2015年/独)A※
22『ヒトラー〜最期の12日間〜』(2004年/独、伊、墺)A
21『ヒトラー暗殺、13分の誤算』(2015年/独)A
20『ハートブレイク・リッジ 勝利の戦場』(1986年/米)B
19『大脱出2』(2018年/中、米)D
18『大脱出』(2013年/米)B
17『記者たち 衝撃と畏怖の真実』(2018年/米)B
16『ハンターキラー 潜航せよ』(2018年/米)C
15『グリーンブック』(2018年/米)A
14『ウィンストン・チャーチル ヒトラーから世界を救った男』(2017年/英、米)B
13『天才作家の妻 40年目の真実』(2018年/瑞、英、米)B
12『デッドラインU.S.A』(1954年/米)B
11『前科者』(1939年/米)C
10『化石の森』(1936年/米)B
9『白熱』(1949年/米)A
8『犯罪王リコ』(1930年/米)B
7『ユリシーズ 』(1954年/伊)C
6『バッド・ジーニアス 危険な天才たち』(2017年/泰)B
5『七つの会議』(2019年/東宝)A
4『キャプテン・マーベル』(2019年/米)B
3『奥さまは魔女』(2005年/米)C
2『フロントランナー』(2018年/米)B
1『運び屋』(2018年/米)A

スポーツライター。 最新刊は構成を担当した達川光男氏の著書『広島力』(講談社)。『失われた甲子園』(講談社)新潮ドキュメント賞ノミネート。東スポ毎週火曜『赤ペン!!』、WEDGE Infinity『赤坂英一の野球丸』連載中。 東京運動記者クラブ会員。日本文藝家協会会員。
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