東京スポーツ『球界平成裏面史8/長嶋・森・渡辺オーナー、史上空前の暗闘の巻④』

※2015年10月25日、日本テレビ『シューイチ』に出演

9月2日、「去就は長嶋くんの意思次第」という渡辺オーナーの発言で始まった監督交代騒動は、同月10日にいったん決着したかに思われた。
この日までに読売系列の報知新聞が「長嶋勇退」と報じ、共同通信が「読売首脳」の話として、次期監督は森、主要コーチ陣の顔ぶれも決まっている、と配信したからだ。

ところが、翌11日の夜11時になって、NHKの『ニュースイレブン』が、何とも奇妙で衝撃的なニュースを報じる。
元西武監督の森氏が、たとえ巨人から正式な監督就任要請があっても受けない、という意向を明らかにした、というのだ。

そもそも要請という事実がなかったのであれば、「受けない」という意向を明らかにしても、ニュースにはならないはずなのだが。
しかし、森氏は最後の最後ですべてを「なかったこと」にしようと考え、解説者として抱えていたNHKもその意を汲んだらしい。

明くる日の午後、長嶋監督は大手町の読売新聞東京本社を訪ね、辞表を提出した8月19日以来、3週間ぶりに渡辺オーナーと会談。
ここで長嶋監督の1年間の契約延長が正式に決定した。

午後1時20分、神田錦町の球団事務所で長嶋監督、渡辺オーナーがそろって記者会見に臨むと、日本テレビは急遽ドラマを中断して緊急生中継。
取材に駆けずり回ったメディアの人間たちに多くの謎を残したまま、10日間に渡った監督交代騒動はとにもかくにも決着したのだった。

いったい、前代未聞の大騒ぎの裏側で何があったのか。
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スポーツライター。 1986年、日刊現代に入社。88年から運動部記者を務める。2002年に単行本デビュー作『バントの神様 川相昌弘と巨人軍の物語』(講談社)を上梓。06年に独立。『失われた甲子園』(講談社)新潮ドキュメント賞ノミネート。東スポ毎週火曜『赤ペン!!』連載中。 東京運動記者クラブ会員。日本文藝家協会会員。
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