『X-MEN:ダーク・フェニックス』(WOWOW)😑

Dark Phoenix 114分 2019年 アメリカ=20世紀フォックス

このシリーズは第1作(旧3部作1作目)『X-メン』(2000年)の劇場公開時に福岡のシネコンで鑑賞して以来、スピンオフ作品を含め、映画館とWOWOWですべて観ている。
旧3部作はブライアン・シンガーが監督した第2作『X-MEN2』(2003年)までは面白かったが、監督がシンガーからブレット・ラトナーに途中交代した第3作『X-MEN:ファイナルディシジョン』(2006年)で急速にパワーダウン、何とも中途半端な形で終わった。

そこで『X-MEN:ファースト・ジェネレーション』(2011年)では、旧3部作では仇敵同士だったエグゼビアとマグニートーの若き日に舞台を移し、彼らがかつては無二の親友だったという設定を掘り下げてリニューアル。
エグゼビアをパトリック・スチュワートからジェームズ・マカヴォイ、マグニートーをイアン・マッケランからマイケル・ファスベンダーに変更したキャスティングも奏功し、〝スーパーヒーロー青春映画〟として蘇った。

リニューアル2作目(通算第5作)『X-MEN:フューチャー&パスト』(2014年)はあまり感心できる出来栄えではなかったものの、同3作目(通算第6作)『X-MEN:アポカリプス』(2016年)はスケールの大きなスペクタクルで迫力も見応えもたっぷり。
通算第5作からシリーズに復帰したブライアン・シンガーが、エンディングでしっかりと旧3部作1作目につなげて見せ、これで大団円か、と思わせた。

その3年後、サイモン・キンバーグという新人監督が撮った本作が、リニューアル版としてもシリーズ全体としても、本当の完結編となるらしい。
が、結論から言うと、これがファンの期待を大きく裏切り、アメリカ本国での興行成績もシリーズ中最低を記録する失敗作となった。

ここまでファンにそっぽを向かれた最大の原因は、旧3部作で最もつまらなかった第3作の焼き直しにとどまっていることだろう。
主人公ジーン・グレイ/フェニックス(ソフィー・ターナー)が、一度は死に瀕しながらX-MEN最強の超人に変異するあたりから、どういう結末を迎えるか、大体察しがついてしまう。

ジーンが極度にパワーアップしたのは、スペースシャトル・エンデバー救出作戦の最中、太陽フレアに隠された宇宙のフォースを浴びたため。
これによって封印された記憶が蘇ったジーンは、自分を育ててくれたエグゼビア(マカヴォイ)を逆恨みし、ほかのX-MENのメンバーとも対立するようになる。

親友のレイヴン(ジェニファー・ローレンス)をジーンが誤って殺してしまったり、クライマックスに来てエグゼビアやほかのメンバーの愛情にほだされたり、細かな違いはあるものの、最後にジーンが辿る運命は第3作と変わらない。
こんなリメイク的な完結編を作るより、前作で終わらせておいたほうがよかったんじゃないかしらん。

オススメ度D。

ブルーレイ&DVDレンタルお勧め度2020リスト
A=ぜひ!🤗 B=よかったら😉 C=気になったら😏  D=ヒマだったら😑
※再見、及び旧サイトからの再録

29『ヴァンパイア 最期の聖戦』(1999年/米)B
28『クリスタル殺人事件』(1980年/英)B
27『帰ってきたヒトラー』(2015年/独)A※
26『ヒトラー〜最期の12日間〜』(2004年/独、伊、墺)A※
25『ヒトラー暗殺、13分の誤算』(2015年/独)A
24『ハートブレイク・リッジ 勝利の戦場』(1986年/米)B
23『大脱出2』(2018年/中、米)D
22『大脱出』(2013年/米)B※
21『記者たち 衝撃と畏怖の真実』(2018年/米)B
20『ハンターキラー 潜航せよ』(2018年/米)C
19『グリーンブック』(2018年/米)A
18『ウィンストン・チャーチル ヒトラーから世界を救った男』(2017年/英、米)B
17『天才作家の妻 40年目の真実』(2018年/瑞、英、米)B
16『デッドラインU.S.A』(1954年/米)B
15『海にかかる霧』(2014年/韓)A※
14『スノーピアサー』(2013年/韓、米、仏)A※

13『前科者』(1939年/米)
12『化石の森』(1936年/米)B
11『炎の人ゴッホ』(1956年/米)B※
10『チャンピオン』(1951年/米)B※

9『白熱』(1949年/米)A
8『犯罪王リコ』(1930年/米)B
7『ユリシーズ 』(1954年/伊)C
6『バッド・ジーニアス 危険な天才たち』(2017年/泰)B
5『七つの会議』(2019年/東宝)A
4『キャプテン・マーベル』(2019年/米)B
3『奥さまは魔女』(2005年/米)C
2『フロントランナー』(2018年/米)B
1『運び屋』(2018年/米)A

スポーツライター。 1986年、日刊現代に入社。88年から運動部記者を務める。2002年に単行本デビュー作『バントの神様 川相昌弘と巨人軍の物語』(講談社)を上梓。06年に独立。『失われた甲子園』(講談社)新潮ドキュメント賞ノミネート。東スポ毎週火曜『赤ペン!!』連載中。 東京運動記者クラブ会員。日本文藝家協会会員。
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