『ヴァンパイア 最期の聖戦』(WOWOW)😉

Vampires 108分 1998年 アメリカ=ラルゴ・エンターテインメント
 日本公開:1999年 日本ヘラルド

20世紀B級プログラムピクチャーのカリスマ、ジョン・カーペンターがキャリアの晩年に放った最後の快作。
いま観るとあまり出来のよくないRPGのような場面が多く、特撮も粗が目につくが、カーペンターならではのテンポのいい演出、魅力的なキャラクター設定で、最後までグイグイ引っ張っていく。

ジェームズ・ウッズ演じるジャック・クロウはバチカンに雇われたヴァンパイアハンターで、オープニングから部下を率いて吸血鬼のアジトを急襲。
水中銃のような銛でヴァンパイアを射止めると、アジトの外で待機していた相棒トニー・モントーヤ(ダニエル・ボールドウィン)が銛についたワイヤーを巻き上げ、外に引き摺り出された吸血鬼が全身から火を噴いて黒焦げの死体と化す、というツカミの場面が決まっている。

その夜、クロウが近所のモーテルに娼婦を集めて打ち上げパーティーを開いていたところへ、ヴァンパイアの首領、「魔鬼」と呼ばれるヤン・ヴァレック(トーマス・イアン・グリフィス)が現れる。
このヴァレックにハンターも娼婦も次から次に八つ裂きにされ、クロウとモントーヤはカトリーナという娼婦(シェリル・リー)を連れて逃走。

本作のヴァンパイアはブラム・ストーカーが創造した『ドラキュラ』(1897年)とは違い、1311年にボヘミアで誕生した元神父で、村人を扇動して教会に反旗を翻したことから、悪魔憑きと見なされて火あぶりにされた。
バチカンから遣わされ、クロウに資金を提供しているアルバ枢機卿(マクシミリアン・シェル)曰く「最初で最強の吸血鬼」である。

600年生きてきたヴァレックの目的は、メキシコ国境に近いサン・ミゲルの村に隠された黒い十字架を手に入れ、秘伝の儀式を行い、昼間でも活動できるようになることだった。
一方、ヴァレックに咬まれたカトリーナは徐々にヴァンパイアになり始めていることを自覚し、自殺を試みてモントーヤに止められ、揉み合っている最中に彼に咬みついてしまう。

そうとは知らないクロウは、モントーヤとカトリーナ、新たなパートナーのアダム神父(ティム・ギニー)を引き連れ、ヴァレックのアジトに乗り込む。
ヴァンパイアに咬まれた人間が吸血鬼化するのに48時間かかる、というのが本作の〝独自ルール〟で、いつモントーヤとカトリーナがヴァンパイアとなってクロウとアダムに襲いかかるのか、というのが後半のポイントのひとつ。

最後の対決はエレベーターを使った趣向が効いているが、ヴァンパイアを銛で突いては黒焦げにするパターンが何度も繰り返されるため、少々ダレてしまう。
それでも、クロウがヴァレックの返り討ちに遭い、十字架に縛りつけられ火あぶりにされかかるクライマックスは、おお、カーペンター先生、この時代はまだまだ頑張っていたんだなあ、と懐かさしさとうれしさがこみ上げてきました。

オススメ度B。

ブルーレイ&DVDレンタルお勧め度2020リスト
A=ぜひ!🤗 B=よかったら😉 C=気になったら😏  D=ヒマだったら😑
※再見、及び旧サイトからの再録

28『クリスタル殺人事件』(1980年/英)B
27『帰ってきたヒトラー』(2015年/独)A※
26『ヒトラー〜最期の12日間〜』(2004年/独、伊、墺)A※
25『ヒトラー暗殺、13分の誤算』(2015年/独)A
24『ハートブレイク・リッジ 勝利の戦場』(1986年/米)B
23『大脱出2』(2018年/中、米)D
22『大脱出』(2013年/米)B※
21『記者たち 衝撃と畏怖の真実』(2018年/米)B
20『ハンターキラー 潜航せよ』(2018年/米)C
19『グリーンブック』(2018年/米)A
18『ウィンストン・チャーチル ヒトラーから世界を救った男』(2017年/英、米)B
17『天才作家の妻 40年目の真実』(2018年/瑞、英、米)B
16『デッドラインU.S.A』(1954年/米)B
15『海にかかる霧』(2014年/韓)A※
14『スノーピアサー』(2013年/韓、米、仏)A※

13『前科者』(1939年/米)
12『化石の森』(1936年/米)B
11『炎の人ゴッホ』(1956年/米)B※
10『チャンピオン』(1951年/米)B※

9『白熱』(1949年/米)A
8『犯罪王リコ』(1930年/米)B
7『ユリシーズ 』(1954年/伊)C
6『バッド・ジーニアス 危険な天才たち』(2017年/泰)B
5『七つの会議』(2019年/東宝)A
4『キャプテン・マーベル』(2019年/米)B
3『奥さまは魔女』(2005年/米)C
2『フロントランナー』(2018年/米)B
1『運び屋』(2018年/米)A

スポーツライター。 1986年、日刊現代に入社。88年から運動部記者を務める。2002年に単行本デビュー作『バントの神様 川相昌弘と巨人軍の物語』(講談社)を上梓。06年に独立。『失われた甲子園』(講談社)新潮ドキュメント賞ノミネート。東スポ毎週火曜『赤ペン!!』連載中。 東京運動記者クラブ会員。日本文藝家協会会員。
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