『ハートブレイク・リッジ 勝利の戦場』(NHK-BS)😉

Heartbreak Ridge 130分 1986年 アメリカ=ワーナー・ブラザース 日本公開1987年

クリント・イーストウッドが絵に描いたような鬼軍曹を演じ、絵に描いたようなグータラ部隊を鍛え上げ、絵に描いたような勝利を収める、という絵に描いたような軍隊映画。
公開当時、日本の批評家にはイーストウッドが愛国精神とタカ派としての政治的立場を鮮明にした作品と受け止められた。

ところが、アメリカ陸軍はイーストウッドの演じる主人公トム・ハイウェイ軍曹が軍人として好ましくないキャラクターであるからと、イーストウッドの協力要請を拒否。
代わって撮影の便宜を図った海兵隊、アメリカ国防総省も、終盤のグレナダ侵攻に事実と異なる描写があることから、本作を厳しく批判しているという。

陸軍が協力を断ったのは、ハイウェイ軍曹が離婚経験者のアル中で、何度も飲み屋で暴力沙汰を起こしては警察に捕まっている、という設定だったため。
また、朝鮮戦争で名誉勲章を授与されているハイウェイを、実戦経験のない上官パワーズ少佐(エヴェレット・マッギル)が罵倒し、くんずほぐれつの大ゲンカに発展する、という場面も現実には起こり得ないことだという。

ただし、そういう問題点を気にしなければ、いかにもイーストウッドらしいミリタリズムたっぷりの戦争アクションとしてそれなりに楽しめる。
とくに、パンクロック歌手兼業のスティッチ・ジョーンズ伍長(マリオ・ヴァン・ピーブルズ)、子供を抱えてアルバイトしているアポンテ(レイモン・フランコ)、営倉入り常連の巨漢スウィード(ピーター・コッチ)など、個性豊かな兵士たちと鬼軍曹が心を通い合わせていく過程が面白い。

もっとも、クライマックスのグレナダ侵攻作戦、キューバ兵に占領された医科大学を解放するくだりは少々迫力不足。
グータラどもが誰も彼も人が変わったように勇ましくなり、いささかも怯まずキューバ兵を撃ち殺すあたりは納得し難い、と思ったら、この作戦も実際に行ったのはネイビー・シールズだそうである。

オススメ度B。

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A=ぜひ!🤗 B=よかったら😉 C=気になったら😏  D=ヒマだ ったら😑
※再見、及び旧サイトからの再録

19『大脱出2』(2018年/中、米)D
18『大脱出』(2013年/米)B
17『記者たち 衝撃と畏怖の真実』(2018年/米)B
16『ハンターキラー 潜航せよ』(2018年/米)C
15『グリーンブック』(2018年/米)A
14『ウィンストン・チャーチル ヒトラーから世界を救った男』(2017年/英、米)B
13『天才作家の妻 40年目の真実』(2018年/瑞、英、米)B
12『デッドラインU.S.A』(1954年/米)B
11『前科者』(1939年/米)C
10『化石の森』(1936年/米)B
9『白熱』(1949年/米)A
8『犯罪王リコ』(1930年/米)B
7『ユリシーズ 』(1954年/伊)C
6『バッド・ジーニアス 危険な天才たち』(2017年/泰)B
5『七つの会議』(2019年/東宝)A
4『キャプテン・マーベル』(2019年/米)B
3『奥さまは魔女』(2005年/米)C
2『フロントランナー』(2018年/米)B
1『運び屋』(2018年/米)A

スポーツライター。 1986年、日刊現代に入社。88年から運動部記者を務める。2002年に単行本デビュー作『バントの神様 川相昌弘と巨人軍の物語』(講談社)を上梓。06年に独立。『失われた甲子園』(講談社)新潮ドキュメント賞ノミネート。東スポ毎週火曜『赤ペン!!』、WEDGE Infinity『赤坂英一の野球丸』連載中。 東京運動記者クラブ会員。日本文藝家協会会員。
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