『化石の森』(セルDVD)😉

The Petrified Forest 82分 モノクロ 1936年 アメリカ=ワーナー・ブラザース

のちに『マルタの鷹』(1941年)、『カサブランカ』(1943年)で大ブレークするハンフリー・ボガートが悪役時代に注目を集めたサスペンス映画。
原作はロバート・E・シャーウッドの戯曲で、ボギーが演じた指名手配犯の脱獄囚デューク・マンティーは当時、彼の代名詞にまでなった。

舞台は1934年にハットフィールドで地方公演をスタートさせ、ボストンなどで約6カ月のロングランを経て、翌35年1月にはニューヨークのオフブロードウェイでの上演を実現。
主人公の詩人アラン役のレスリー・ハワード、ヒロインとなるガソリンスタンドの娘ガブリエル役のベティ・デイヴィス、そして彼らにからむ悪漢マンティー役のボギーが大好評を博した。

この映画化権を買ったワーナー・ブラザースは、配役は舞台と同じオリジナルでいくと決定しながら、マンティー役だけはエドワード・G・ロビンソンをキャスティングすると発表。
これに怒ったボギーがハワードに電報を打ち、ハワードが「ボガートが出ないのなら降りる」と抗議して、マンティー役がボギーに戻ってきたという。

ハワードの男気に感謝したボギーは生涯この恩を忘れず、のちにローレン・バコールとの間に生まれた長男にレスリーと名付けた。
という経緯を昔から知っていて本作を観たからかもしれないが、本作のハワードとボギーは舞台で練り上げられた名コンビならではの共演を見せている。

舞台はアリゾナの大砂漠地帯にポツンと建つガソリンスタンド兼軽食堂。
ここに一人旅を続けている詩人アラン(ハワード)がひとりでふらりと現れ、店で働くガブリエル(デイヴィス)が惹かれるものを感じているところへ、脱獄囚のマンティーが乱入して籠城を始める。

とくに、最初はアランに反目していたマンティーが、徐々に友情めいた感情を抱くようになる過程が面白い。
アランがガブリエルやほかの人質の待遇などについて改善を求めるたび、彼を睨みつけながらも”Sure”(いいだろう)と、ドスの効いた声で答える場面は、おかしな表現だが、観ていて何か気持ちがいい。

これでマンティーが凄絶な最期を遂げてくれれば言うことはなかったのだが、彼の末路はラジオのニュースで語られるだけ、というのが食い足りない。
元は半年もロングランを続けた舞台劇だから、こういうエンディングでもお客さんが納得したんでしょうけどね。

オススメ度B。

DVD10枚組 発行:株式会社コスミック出版 発売:2019年9月9日 定価1800円=税別

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※ビデオソフト無し

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スポーツライター。 最新刊は構成を担当した達川光男氏の著書『広島力』(講談社)。『失われた甲子園』(講談社)新潮ドキュメント賞ノミネート。東スポ毎週火曜『赤ペン!!』、WEDGE Infinity『赤坂英一の野球丸』連載中。 東京運動記者クラブ会員。日本文藝家協会会員。
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