『スター・ウォーズ フォースの覚醒』(旧サイトより再録)

Star Wars: The Force Awakens 136分 
2015年 アメリカ=ウォルト・ディズニー・モーション・ピクチャーズ

(2015年)12月21日、見に行ったのは有楽町の日劇で、13時35分からの3D字幕版。
平日の昼にもかかわらず七八部の入りで、ステート・トルーパーのマスクをかぶった団体さんもいるなど、結構お祭り気分が漂っていた。

とりあえず、出来映えが気になるファンは早めに見に行ったほうがいいだろう。
旧作シリーズのエピソード4、5、6に出てきたキャラクターが展開の上で重要な役割を果たしており、このネタバレ情報が目や耳に入ったあとではかなり興が削がれるからだ。

ネタバレにならない程度に書くと、序盤はエピソード4へのオマージュが多分に感じられる。
あっ、昔見た見た、あれもこれも、と言いたくなるアイテムが頻出し、ニューヒロインのレイ(デイジー・リドリー)が砂漠の街に現れる場面も、かつてのルーク・スカイウォーカー(マーク・ハミル)が初登場したシーンを彷彿とさせる。

こうしてぼくのような旧作シリーズをオンタイムで見た世代をうれしがらせながら、矢継ぎ早に見せ場をつないでゆく。
とくに、レイがミレニアム・ファルコンに乗り込んで繰り広げるタイ・ファイターとの空中戦は一番力が入るところ。

そのレイをはじめ、ニューキャラクターを演じる俳優にはなかなかの芸達者をそろえていると言っていい。
新たなダークサイドのジェダイ騎士カイロ・レンを演じるアダム・ドライバーはコーエン兄弟の佳作『インサイド・ルーウィン・デイヴィス 名もなき男の歌』(2013年)に脇役で出演しており、同作で主役を務めていたオスカー・アイザックが本作では共和国軍のパイロット・ポーに扮して大活躍を見せる。

レイにゾッコンとなるフィン役のジョン・ボイエガはタランティーノが絶賛したSFコメディ『アタック・ザ・ブロック』(2011年)で威勢のいいガキ大将を演じた役者。
本作でも大暴れしてくれるかと思っていたら、キャラの設定がいまひとつ中途半端で、彼は今シリーズ(また3作つくられる予定)の次作から本領を発揮するのかもしれない。

とまあ、いろいろと見どころは多いんだけど、引っかかったのはやはり旧作シリーズのキャラクター、とくにハン・ソロ(ハリソン・フォード)の扱い方である。
かつてのお姫様だったレイア・オーガナ(キャリー・フィッシャー)もいまや将軍に昇格したせいかいやに深刻で、見ていた限りは笑顔を見せる場面がひとつもない。

大体、エピソード6でやっとダース・シディアスと銀河帝国を打倒したはずなのに、その後日談である本作では帝国の残党によって「ファースト・オーダー」というより強大な悪の帝国が誕生しているとはどういうことか。
レーア将軍率いる共和国軍はまたもやレジスタンスの立場に追い込まれ、レイやフィンも一からのゲリラ戦を強いられる、という設定には閉塞感を感じないではいられない。

いったい、いつになったら宇宙に平和が訪れるんじゃ!
これでは新しい大統領が出てくるたびに「世界に平和を」と言いながら延々と戦争を繰り返し、しかもどんどん大規模になっとる現実のアメリカと同じじゃないか!

おまえらはそんなに「ウォーズ」が好きなのか!
…なんてね。😅

採点は75点(オススメ度B)。

ブルーレイ&DVDレンタルお勧め度2019リスト
A=ぜひ!(*^o^*)  B=よかったら( ´▽`) C=気になったら(・・?)  D=ヒマだ ったら(。-_-。)
※ビデオソフト無し

123『殺人者』(1946年/米)C
122『地獄の英雄』(1951年/米)A
121『ペイルライダー』(1985年/米)A
120『刑事マディガン』(1968年/米)C
119『十二人の死にたい子どもたち』(2019年/ワーナー・ブラザース)C
118『マスカレード・ホテル』(2019年/東宝)A
117『コンフェッション』(1998年/米)B
116『隣人は静かに笑う』(1999年/米)A
115『ミスター・ガラス』(2019年/米)C
114『アリー スター誕生』(2018年/米)A
113『荒野のストレンジャー』(1973年/米)B
112『セルピコ』(1974年/米)A
111『レイジング・ブル』(1980年/米)A
110『ニセコイ』(2018年/東宝)D
109『来る』(2018年/東宝)B
108『獄門島』(1977年/東宝)C
107『悪魔の手毬唄』(1977年/東宝)C
106『犬神家の一族』(1976年/東宝)B
105『止められるか、俺たちを』(2018年/若松プロ、スコーレ)C
104『モリーズ・ゲーム』(2017年/米)A
103『ガタカ』(1997年/米)A
102『デューン 砂の惑星』(1984年/米)C
101『ファイヤーフォックス』(1982年/米)C
100『デス・ウィッシュ』(2018年/米)C
99『人魚の眠る家』(2018年/松竹)A
98『焼肉ドラゴン』(2018年/ファントム・フィルム)B
97『アニメ 大好きだったあなたへ ヒバクシャからの手紙』(2019年/NHK広島放送局)A※
96『ひろしま』(1953年/北星映画)B※
95『硫黄島からの手紙』(2006年/米)A
94『父親たちの星条旗』(2006年/米)A
93『さすらいの一匹狼』(1966年/伊、西)C
92『リンゴ・キッド』(1966年/伊)C
91『皆殺し無頼』(1966年/伊)C
90『バリー・シール アメリカをはめた男』(2017年/米)A
89『スマホを落としただけなのに』(2018年/東宝)C
88『アントマン&ワスプ』(2018年/米)A
87『アイアンマン』(2008年/米)A
86『ミクロの決死圏』(1966年/米)C
85『クレオパトラ』(1963年/米)C
84『瞳の中の訪問者』(1977年/東宝)D
83『HOUSE ハウス』(1977年/東宝)C
82『マザー!』(2017年/米)B
81『アリー・イン・ザ・ターミナル』(2018年/米、英、愛、洪、香)D
80『ヴェノム』(2018年/米)B
79『ミッション:インポッシブル フォールアウト』(2018年/米)B
78『ミッション:インポッシブル ローグ・ネイション』(2015年/米)A
77『ミッション:インポッシブル ゴースト・プロトコル』(2011年/米)C
76『M:i:Ⅲ』(2006年/米)B
75『M:i-2』(2000年/米)C
74『ミッション:インポッシブル』(1996年/米)C
73『ダンテズ・ピーク』(1996年/米)C
72『スーパーマン4 最強の敵』(1987年/米)D
71『スーパーマンⅢ 電子の要塞』(1983年/米)C
70『スーパーマンⅡ リチャード・ドナーCUT版』(2006年/米)B
69『スーパーマンⅡ 冒険篇』(1980年/米)A
68『スーパーマン ディレクターズ・カット版』(1978年/米)A
68『MEG ザ・モンスター』(2018年/米)C
67『search/サーチ』(2018年/米)A
66『検察側の罪人』(2017年/東宝)D
65『モリのいる場所』(2018年/日活)B
64『バトル・オブ・ザ・セクシーズ』(2017年/米)B
63『タクシー運転手 約束は海を越えて』(2017年/韓)A
62『ゲティ家の身代金』(2017年/米)B
61『ブルーサンダー 』(1983年/米)A
60『大脱獄』(1970年/米)C
59『七人の特命隊』(1968年/伊)B
58『ポランスキーの欲望の館』(1972年/伊、仏、西独)B
57『ロマン・ポランスキー 初めての告白』(2012年/英、伊、独)B
56『アイ,トーニャ 史上最大のスキャンダル』(2017年/米)A
55『ウインド・リバー』(2017年/米)A
54『アメリカの友人』(1977年/西独、仏)A
53『ナッシュビル』(1976年/米)A
52『ゴッホ 最後の手紙』(2017年/波、英、米)A
51『ボビー・フィッシャーを探して』(1993年/米)B
50『愛の嵐』(1975年/伊)B
49『テナント 恐怖を借りた男』(1976年/仏)B
48『友罪』(2018年/ギャガ)D
47『空飛ぶタイヤ』(2018年/松竹)B
46『十一人の侍』(1967年/東映)A
45『十七人の忍者 大血戦』(1966年/東映)C※
44『十七人の忍者』(1963年/東映)C
43『ラプラスの魔女』(2016年/東宝)C
42『真夏の方程式』(2013年/東宝)A
41『アベンジャーズ インフィニティ・ウォー』(2018年/米)B
40『マイティ・ソー バトルロイヤル』(2017年/米)B
39『ハン・ソロ スター・ウォーズ・ストーリー』(2018年/米)C
38『ザ・マミー 呪われた砂漠の王女』(2017年/米)D
37『デッドプール2』(2018年/米)C
36『スキャナーズ3』(1991年/加)C
35『スキャナーズ2』(1991年/米、加、日)C
34『スキャナーズ』(1981年/加)B
33『エマニエル夫人』(1974年/仏)C
32『死刑台のエレベーター』(1958年/仏)B
31『マッケンナの黄金』(1969年/米)C
30『勇気ある追跡』(1969年/米)C
29『サウンド・オブ・ミュージック』(1965年/米)A
28『ドクトル・ジバゴ 』(1965年/米、伊)A
27『デトロイト』(2017年/米)B
26『クラッシュ』(2004年/米)A
25『ラ・ラ・ランド』(2016年/米)A
24『オーシャンズ13』(2007年/米)B
23『オーシャンズ12』(2004年/米)C
22『オーシャンズ11』(2001年/米)B
21『オーシャンと十一人の仲間』(1960年/米)B
20『マッキントッシュの男』(1973年/米)A
19『オーメン』(1976年/英、米)B
18『スプリット』(2017年/米)B
17『アンブレイカブル 』(2000年/米)C
16『アフター・アース』(2013年/米)C
15『ハプニング』(2008年/米)B
14『麒麟の翼〜劇場版・新参者』(2012年/東宝)C
13『暁の用心棒』(1967年/伊)C
12『ホテル』(1977年/伊、西独)C※
11『ブラックブック』(2006年/蘭)A
10『スペース・ロック』(2018年/塞爾維亜、米)C
9『ブラックパンサー』(2018年/米)A
8『ジャスティス・リーグ』(2017年/米)C
7『ザ・リング2[完全版]』(2005年/米)C
6『祈りの幕が下りる時』(2018年/東宝)A
5『ちはやふる 結び』(2018年/東宝)B
4『真田幸村の謀略』(1979年/東映)C
3『柳生一族の陰謀』(1978年/東映)A
2『集団奉行所破り』(1964年/東映)B※

1『大殺陣』(1964年/東映京都)C

スポーツライター。 1986年、日刊現代に入社。88年から運動部記者を務める。2002年に単行本デビュー作『バントの神様 川相昌弘と巨人軍の物語』(講談社)を上梓。06年に独立。『失われた甲子園』(講談社)新潮ドキュメント賞ノミネート。東スポ毎週火曜『赤ペン!!』連載中。 東京運動記者クラブ会員。日本文藝家協会会員。
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