戦力外通告を受けるのは選手だけではない

今年のシーズンオフ、プロ野球の某球団を退団したコーチから電話があった。
新たな就職先、社会人の強豪チームと、またコーチとして正式に契約を結ぶことになったという。

おめでとう! と、電話口で言ったこちらの声が上ずった。
私はこのコーチが現役の選手だったころからの古い付き合いで、今オフ突然契約を解消されていただけに、再就職できるかどうか、ずっと気になっていたから。

もうひとり、やはり某球団を解雇された別のコーチは、かつて在籍していた別の球団のフロントに入ることになった。
この厳しい時代に、よくそういう再就職口があったものだと思う。

シーズンオフになると、毎年のようにテレビで〝戦力外通告モノ〟と言われる番組が放送される。
かつては華々しくプロ入りし、人も羨む高額な契約金と年俸をもらっていた選手が一転、失職の危機に陥った姿を追うドキュメンタリーだ。

しかし、同じようにいきなり契約を打ち切られる場合、コーチのほうが選手よりよっぽど深刻かもしれない。
プロ野球の世界で解雇されるコーチはほとんどが40代から50代で、一軍選手ほどの稼ぎもなく、まだお金のかかる子供を抱えているケースが多いからだ。

実は、まだ再就職先が決まったという連絡がない元コーチも、何人かいる。
彼らのことも気にはなるのだが、どうなった? とこちらから電話するわけにもいかない。

今年は、新聞業界でも某社で大がかりなリストラが行われた。
依願退職を選択した知人友人の中には、再就職に成功した人もいれば、まだ新たな働き口を探している人もいる。

そう言う自分も、正直、他人の心配ばかりしている余裕はありません。
フリーライターなんてのはそもそも、仕事がなければただの失業者なんだから。

そんなことばかり考えていたらクサクサするので、きょうは行きつけのヘアーサロンD’s(ディーエス)に行き、髪を新しい色に染めてみた。
金髪、茶髪ときて、今度はシックなアッシュグレー!

今回は担当のイマミィが「カッコイイ!」と過去一番自画自賛したほどの出来栄え。
よし、じゃ、このアタマで元コーチたちとの忘年会に行ってくるか。

※イラストは自作です😅

スポーツライター。 1986年、日刊現代に入社。88年から運動部記者を務める。2002年に単行本デビュー作『バントの神様 川相昌弘と巨人軍の物語』(講談社)を上梓。06年に独立。『失われた甲子園』(講談社)新潮ドキュメント賞ノミネート。東スポ毎週火曜『赤ペン!!』連載中。 東京運動記者クラブ会員。日本文藝家協会会員。
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