『刑事マディガン』(NHK-BS)

Madigan 101分 1968年 アメリカ=ユニバーサル・ピクチャーズ

監督ドン・シーゲルがクリント・イーストウッドと組んで『ダーティ・ハリー』(1971年)でブレークする3年前に撮った作品。
公開当時のポスターが復刻されたブルーレイのジャケ写(画像)からもわかるように、大変クラシカルな味わいの刑事ドラマである。

主人公はニューヨーク市警ブリックリン署の跳ねっ返りで、酒食程度の収賄なら役得だと開き直っている現場一筋の刑事(デカ)ダニー・マディガン(リチャード・ウィドマーク)。
このマディガンが相棒のロッキー・ボナーロ(ハリー・ガーディノ、のちのシーゲル&イーストウッド映画の常連)とギャングのバーニー・ベネシュ(スティーヴ・イーナット)をパクりに踏み込んだら、逆にベネシュに拳銃を奪われて逃げられてしまう。

かつてマディガンの直属上司だった警察委員長(コミッショナー=日本では警視総監に相当する役職らしい)トニー・ラッセル(ヘンリー・フォンダ)はマディガンに「72時間(3日間)以内にベネシュを逮捕しろ」と指示。
そのラッセルは、幼馴染みで自分の部下、警部チャーリー・ケイン(ジェームズ・ホイットモア)が汚職をしていることを知り、秘かに苦悩していた。

この映画は高校1年生だった1978年、NET(現テレビ朝日)の『日曜洋画劇場』で吹替版を観ていて、ウィドマークのアテレコを担当していた大塚周夫のドスの効いた声をよく覚えている。
なかなか重厚な刑事モノだったように記憶していたが、56歳になって見直してみると、なんとも間延びしたドラマのように感じられて仕方がない。

3日以内にベネシュを逮捕しなければならない時間的制約があるのに、マディガンは昼間からタダ酒を飲んだり、愛人の家に泊まったり。
それでも、1960年代のアメリカ映画のヒーローらしく、女房に義理立てして愛人とはセックスしないんですけどね。

ちなみに、本作を撮ったとき、シーゲルは今のぼくと同じ56歳。
イーストウッドと組んだ『ダーティ・ハリー』でブレークした1971年は59歳で、還暦を過ぎてからアクション映画の快作を連発している。

オススメ度C。

ブルーレイ&DVDレンタルお勧め度2019リスト
A=ぜひ!(*^o^*)  B=よかったら( ´▽`) C=気になったら(・・?)  D=ヒマだ ったら(。-_-。)
※ビデオソフト無し

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100『デス・ウィッシュ』(2018年/米)C
99『人魚の眠る家』(2018年/松竹)A
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96『ひろしま』(1953年/北星映画)B※
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85『クレオパトラ』(1963年/米)C
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83『HOUSE ハウス』(1977年/東宝)C
82『マザー!』(2017年/米)B
81『アリー・イン・ザ・ターミナル』(2018年/米、英、愛、洪、香)D
80『ヴェノム』(2018年/米)B
79『ミッション:インポッシブル フォールアウト』(2018年/米)B
78『ミッション:インポッシブル ローグ・ネイション』(2015年/米)A
77『ミッション:インポッシブル ゴースト・プロトコル』(2011年/米)C
76『M:i:Ⅲ』(2006年/米)B
75『M:i-2』(2000年/米)C
74『ミッション:インポッシブル』(1996年/米)C
73『ダンテズ・ピーク』(1996年/米)C
72『スーパーマン4 最強の敵』(1987年/米)D
71『スーパーマンⅢ 電子の要塞』(1983年/米)C
70『スーパーマンⅡ リチャード・ドナーCUT版』(2006年/米)B
69『スーパーマンⅡ 冒険篇』(1980年/米)A
68『スーパーマン ディレクターズ・カット版』(1978年/米)A
68『MEG ザ・モンスター』(2018年/米)C
67『search/サーチ』(2018年/米)A
66『検察側の罪人』(2017年/東宝)D
65『モリのいる場所』(2018年/日活)B
64『バトル・オブ・ザ・セクシーズ』(2017年/米)B
63『タクシー運転手 約束は海を越えて』(2017年/韓)A
62『ゲティ家の身代金』(2017年/米)B
61『ブルーサンダー 』(1983年/米)A
60『大脱獄』(1970年/米)C
59『七人の特命隊』(1968年/伊)B
58『ポランスキーの欲望の館』(1972年/伊、仏、西独)B
57『ロマン・ポランスキー 初めての告白』(2012年/英、伊、独)B
56『アイ,トーニャ 史上最大のスキャンダル』(2017年/米)A
55『ウインド・リバー』(2017年/米)A
54『アメリカの友人』(1977年/西独、仏)A
53『ナッシュビル』(1976年/米)A
52『ゴッホ 最後の手紙』(2017年/波、英、米)A
51『ボビー・フィッシャーを探して』(1993年/米)B
50『愛の嵐』(1975年/伊)B
49『テナント 恐怖を借りた男』(1976年/仏)B
48『友罪』(2018年/ギャガ)D
47『空飛ぶタイヤ』(2018年/松竹)B
46『十一人の侍』(1967年/東映)A
45『十七人の忍者 大血戦』(1966年/東映)C※
44『十七人の忍者』(1963年/東映)C
43『ラプラスの魔女』(2016年/東宝)C
42『真夏の方程式』(2013年/東宝)A
41『アベンジャーズ インフィニティ・ウォー』(2018年/米)B
40『マイティ・ソー バトルロイヤル』(2017年/米)B
39『ハン・ソロ スター・ウォーズ・ストーリー』(2018年/米)C
38『ザ・マミー 呪われた砂漠の王女』(2017年/米)D
37『デッドプール2』(2018年/米)C
36『スキャナーズ3』(1991年/加)C
35『スキャナーズ2』(1991年/米、加、日)C
34『スキャナーズ』(1981年/加)B
33『エマニエル夫人』(1974年/仏)C
32『死刑台のエレベーター』(1958年/仏)B
31『マッケンナの黄金』(1969年/米)C
30『勇気ある追跡』(1969年/米)C
29『サウンド・オブ・ミュージック』(1965年/米)A
28『ドクトル・ジバゴ 』(1965年/米、伊)A
27『デトロイト』(2017年/米)B
26『クラッシュ』(2004年/米)A
25『ラ・ラ・ランド』(2016年/米)A
24『オーシャンズ13』(2007年/米)B
23『オーシャンズ12』(2004年/米)C
22『オーシャンズ11』(2001年/米)B
21『オーシャンと十一人の仲間』(1960年/米)B
20『マッキントッシュの男』(1973年/米)A
19『オーメン』(1976年/英、米)B
18『スプリット』(2017年/米)B
17『アンブレイカブル 』(2000年/米)C
16『アフター・アース』(2013年/米)C
15『ハプニング』(2008年/米)B
14『麒麟の翼〜劇場版・新参者』(2012年/東宝)C
13『暁の用心棒』(1967年/伊)C
12『ホテル』(1977年/伊、西独)C※
11『ブラックブック』(2006年/蘭)A
10『スペース・ロック』(2018年/塞爾維亜、米)C
9『ブラックパンサー』(2018年/米)A
8『ジャスティス・リーグ』(2017年/米)C
7『ザ・リング2[完全版]』(2005年/米)C
6『祈りの幕が下りる時』(2018年/東宝)A
5『ちはやふる 結び』(2018年/東宝)B
4『真田幸村の謀略』(1979年/東映)C
3『柳生一族の陰謀』(1978年/東映)A
2『集団奉行所破り』(1964年/東映)B※

1『大殺陣』(1964年/東映京都)C

スポーツライター。 1986年、日刊現代に入社。88年から運動部記者を務める。2002年に単行本デビュー作『バントの神様 川相昌弘と巨人軍の物語』(講談社)を上梓。06年に独立。『失われた甲子園』(講談社)新潮ドキュメント賞ノミネート。東スポ毎週火曜『赤ペン!!』連載中。 東京運動記者クラブ会員。日本文藝家協会会員。
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