『デス・ウィッシュ』(WOWOW)

108分 2018年 アメリカ=メトロ・ゴールドウィン・メイヤー(MGM)R15+
 日本配給:ショウゲート

画像のポスターは劇場公開時、全国の銭湯に貼り出されていたもの。
1974年(昭和49年)公開の元ネタ『狼よさらば』を彷彿とさせ、昭和のおっさん世代にアピールしようとしたアイデアが笑わせますね。

その元ネタはマイケル・ウィナー監督、チャールズ・ブロンソン主演。
ニューヨークで地道に生きている建築設計士ブロンソンの妻子が強盗に襲われ、妻は虐殺、娘は正気を失って廃人のようになってしまい、ブロンソンは警察の手を借りずに復讐を決心する。

ブルース・ウィリス主演でリメイクされた本作では、舞台をシカゴ、主人公の職業を外科医に変更。
強盗に襲われた妻(エリザベス・シュー)と娘(カミラ・モローネ)が主人公の勤務する救急病院に担ぎ込まれる、というシナリオのツカミはなかなかよくできている。

警察の捜査が遅々として進まないことに業を煮やした主人公は、拳銃を手にうろつき回り、街に潜んだワルどもを片っ端から血祭りにあげるようになる。
というお話の骨子は、昔テレビの地上波放送で観た元ネタのブロンソン版とまったく同じ。

まあ、ブロンソンもそうだったように、本作のウィリスももともとはマッチョなアクションスターなので、〝キャラ変〟自体の面白さはそれほど感じない。
しかし、いかにも今時の映画らしく、ウィリスの〝活躍〟をスマホで撮影したバーのホステスがこれを拡散、たちまちウィリスが「シカゴの死神」と祭り上げられるくだりは結構面白い。

ブロンソン版より強烈、というよりむごたらしいのが、強盗団に対するウィリスの復讐の手口。
とくに、自動車整備工場で一味のひとり(ロニー・ジーン・ブレヴィンズ)を見つけると、メスで座骨神経を切り裂き、ブレーキオイルを塗り込んで拷問する場面が凄まじい(当然、R15指定です)。

クライマックスでは、またもや自宅に侵入してきた主犯(ボー・ナップ)を当然ながら返り討ち。
ここでは、つい最近NHK-BSで放送された昔のマカロニウエスタンみたいなアイデアが効いている。

ブロンソン版はシリーズ化されて全5作が製作されたが、このウィリス版も柳の下の二匹目のドジョウを狙っていることがアリアリ。
しかし、続編を観たいかと聞かれると、WOWOWで放送されるまで待ちたいと思います、私は。

オススメ度C。

ブルーレイ&DVDレンタルお勧め度2019リスト
A=ぜひ!(*^o^*)  B=よかったら(^_^) C=気になったら(・・?)  D=ヒマだ ったら(。-_-。)
※ビデオソフト無し

99『人魚の眠る家』(2018年/松竹)A
98『焼肉ドラゴン』(2018年/ファントム・フィルム)B
97『アニメ 大好きだったあなたへ ヒバクシャからの手紙』(2019年/NHK広島放送局)A※
96『ひろしま』(1953年/北星映画)B※
95『硫黄島からの手紙』(2006年/米)A
94『父親たちの星条旗』(2006年/米)A
93『さすらいの一匹狼』(1966年/伊、西)C
92『リンゴ・キッド』(1966年/伊)C
91『皆殺し無頼』(1966年/伊)C
90『バリー・シール アメリカをはめた男』(2017年/米)A
89『スマホを落としただけなのに』(2018年/東宝)C
88『アントマン&ワスプ』(2018年/米)A
87『アイアンマン』(2008年/米)A
86『ミクロの決死圏』(1966年/米)C
85『クレオパトラ』(1963年/米)C
84『瞳の中の訪問者』(1977年/東宝)D
83『HOUSE ハウス』(1977年/東宝)C
82『マザー!』(2017年/米)B
81『アリー・イン・ザ・ターミナル』(2018年/米、英、愛、洪、香)D
80『ヴェノム』(2018年/米)B
79『ミッション:インポッシブル フォールアウト』(2018年/米)B
78『ミッション:インポッシブル ローグ・ネイション』(2015年/米)A
77『ミッション:インポッシブル ゴースト・プロトコル』(2011年/米)C
76『M:i:Ⅲ』(2006年/米)B
75『M:i-2』(2000年/米)C
74『ミッション:インポッシブル』(1996年/米)C
73『ダンテズ・ピーク』(1996年/米)C
72『スーパーマン4 最強の敵』(1987年/米)D
71『スーパーマンⅢ 電子の要塞』(1983年/米)C
70『スーパーマンⅡ リチャード・ドナーCUT版』(2006年/米)B
69『スーパーマンⅡ 冒険篇』(1980年/米)A
68『スーパーマン ディレクターズ・カット版』(1978年/米)A
68『MEG ザ・モンスター』(2018年/米)C
67『search/サーチ』(2018年/米)A
66『検察側の罪人』(2017年/東宝)D
65『モリのいる場所』(2018年/日活)B
64『バトル・オブ・ザ・セクシーズ』(2017年/米)B
63『タクシー運転手 約束は海を越えて』(2017年/韓)A
62『ゲティ家の身代金』(2017年/米)B
61『ブルーサンダー 』(1983年/米)A
60『大脱獄』(1970年/米)C
59『七人の特命隊』(1968年/伊)B
58『ポランスキーの欲望の館』(1972年/伊、仏、西独)B
57『ロマン・ポランスキー 初めての告白』(2012年/英、伊、独)B
56『アイ,トーニャ 史上最大のスキャンダル』(2017年/米)A
55『ウインド・リバー』(2017年/米)A
54『アメリカの友人』(1977年/西独、仏)A
53『ナッシュビル』(1976年/米)A
52『ゴッホ 最後の手紙』(2017年/波、英、米)A
51『ボビー・フィッシャーを探して』(1993年/米)B
50『愛の嵐』(1975年/伊)B
49『テナント 恐怖を借りた男』(1976年/仏)B
48『友罪』(2018年/ギャガ)D
47『空飛ぶタイヤ』(2018年/松竹)B
46『十一人の侍』(1967年/東映)A
45『十七人の忍者 大血戦』(1966年/東映)C※
44『十七人の忍者』(1963年/東映)C
43『ラプラスの魔女』(2016年/東宝)C
42『真夏の方程式』(2013年/東宝)A
41『アベンジャーズ インフィニティ・ウォー』(2018年/米)B
40『マイティ・ソー バトルロイヤル』(2017年/米)B
39『ハン・ソロ スター・ウォーズ・ストーリー』(2018年/米)C
38『ザ・マミー 呪われた砂漠の王女』(2017年/米)D
37『デッドプール2』(2018年/米)C
36『スキャナーズ3』(1991年/加)C
35『スキャナーズ2』(1991年/米、加、日)C
34『スキャナーズ』(1981年/加)B
33『エマニエル夫人』(1974年/仏)C
32『死刑台のエレベーター』(1958年/仏)B
31『マッケンナの黄金』(1969年/米)C
30『勇気ある追跡』(1969年/米)C
29『サウンド・オブ・ミュージック』(1965年/米)A
28『ドクトル・ジバゴ 』(1965年/米、伊)A
27『デトロイト』(2017年/米)B
26『クラッシュ』(2004年/米)A
25『ラ・ラ・ランド』(2016年/米)A
24『オーシャンズ13』(2007年/米)B
23『オーシャンズ12』(2004年/米)C
22『オーシャンズ11』(2001年/米)B
21『オーシャンと十一人の仲間』(1960年/米)B
20『マッキントッシュの男』(1973年/米)A
19『オーメン』(1976年/英、米)B
18『スプリット』(2017年/米)B
17『アンブレイカブル 』(2000年/米)C
16『アフター・アース』(2013年/米)C
15『ハプニング』(2008年/米)B
14『麒麟の翼〜劇場版・新参者』(2012年/東宝)C
13『暁の用心棒』(1967年/伊)C
12『ホテル』(1977年/伊、西独)C※
11『ブラックブック』(2006年/蘭)A
10『スペース・ロック』(2018年/塞爾維亜、米)C
9『ブラックパンサー』(2018年/米)A
8『ジャスティス・リーグ』(2017年/米)C
7『ザ・リング2[完全版]』(2005年/米)C
6『祈りの幕が下りる時』(2018年/東宝)A
5『ちはやふる 結び』(2018年/東宝)B
4『真田幸村の謀略』(1979年/東映)C
3『柳生一族の陰謀』(1978年/東映)A
2『集団奉行所破り』(1964年/東映)B※

1『大殺陣』(1964年/東映京都)C

スポーツライター。 1986年、日刊現代に入社。88年から運動部記者を務める。2002年に単行本デビュー作『バントの神様 川相昌弘と巨人軍の物語』(講談社)を上梓。06年に独立。『失われた甲子園』(講談社)新潮ドキュメント賞ノミネート。東スポ毎週火曜『赤ペン!!』連載中。 東京運動記者クラブ会員。日本文藝家協会会員。
先頭に戻る