『ダンテズ・ピーク』(WOWOW)

Dante’s Peak
109分 1997年 アメリカ=ユニヴァーサル・ピクチャーズ

この映画は劇場公開当時、上野駅近くの映画館で観た。
火山モノはあまり面白かった試しがなく、大して期待していなかったのだが、1時間40分弱、きっちり楽しめるエンターテインメントに仕上がっている。

ストーリーの基本構造は『ジョーズ』(1975年)にそっくり。
経済誌に取り上げられ、大企業の援助を受けて観光開発を進めている小さな田舎町ダンテズ・ピークで休火山が活動を開始し、最初に温泉でセックスしていたバックパッカーのカップルが犠牲になる。

やがて、地質調査研究所のチームがやってきて、「危険だ、早く逃げろ」と言い出す側と「心配ない、大丈夫だ」という側に分かれて激しく対立。
その間に火山が噴火し、住民たちがパニック状態で逃げ惑う中、火口の溶岩ドームが大爆発を起こし、猛烈な火砕流が街を襲う。

『ジョーズ』の最初の犠牲者も裸で泳いでいた女の子で、「サメが出る、危険だ」と主張する警察署長(ロイ・シャイダー)と「サメなら退治した、もう安全だ」と言い張る市長(マーレイ・ハミルトン)が衝突。
スッタモンダしているうちにサメの犠牲者が続出する、という展開とよく似ている。

本作の〝危険派〟は主人公の地質学者ハリー・ダルトン(ピアース・ブロスナン)と、彼と恋仲になる女性町長レイチェル・ワンダ(リンダ・ハミルトン)。
〝安全派〟はダルトンの上司ポール・ドレイファス(チャールズ・ハラハン)とレイチェルの義母ルース(エリザベス・ホフマン)と、対立の構図に多少のヒネリを加えている。

終盤はこの両者が手に手を取り合って逃げることになり、それまで強情で無理解だった〝安全派〟が〝危険派〟を救って英雄的な死を遂げる。
このあたりは『ジョーズ』よりも家族連れの観客を意識した展開ですね。

最大の見どころは、VFXによって再現されたクライマックスの火砕流。
映画館で観たときは1991年に噴火した雲仙・普賢岳を思い出し、のけぞってしまったほどで、いま観ても非常にリアルな出来栄えを示している。

なお、主演のハミルトンとプロデューサーのゲイル・アン・ハードはどちらもジェームズ・キャメロンの元妻。
ハードは1989年にキャメロンと別れ、ハミルトンは本作が公開された1997年に子持ち同士で再婚し、2年後に離婚している。

この映画、当然キャメロンも観たはずだが、どう思ったんだろう?
ま、どうでもいいけど。

オススメ度C。

ブルーレイ&DVDレンタルお勧め度2019リスト
A=ぜひ!(^o^) B=よかったら(^^; C=ヒマなら(-_-) D=やめとけ(>_<)
※ビデオソフト無し

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68『スーパーマン ディレクターズ・カット版』(1978年/米)A
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67『search/サーチ』(2018年/米)A
66『検察側の罪人』(2017年/東宝)D
65『モリのいる場所』(2018年/日活)B
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63『タクシー運転手 約束は海を越えて』(2017年/韓)A
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61『ブルーサンダー 』(1983年/米)A
60『大脱獄』(1970年/米)C
59『七人の特命隊』(1968年/伊)B
58『ポランスキーの欲望の館』(1972年/伊、仏、西独)B
57『ロマン・ポランスキー 初めての告白』(2012年/英、伊、独)B
56『アイ,トーニャ 史上最大のスキャンダル』(2017年/米)A
55『ウインド・リバー』(2017年/米)A
54『アメリカの友人』(1977年/西独、仏)A
53『ナッシュビル』(1976年/米)A
52『ゴッホ 最後の手紙』(2017年/波、英、米)A
51『ボビー・フィッシャーを探して』(1993年/米)B
50『愛の嵐』(1975年/伊)B
49『テナント 恐怖を借りた男』(1976年/仏)B
48『友罪』(2018年/ギャガ)D
47『空飛ぶタイヤ』(2018年/松竹)B
46『十一人の侍』(1967年/東映)A
45『十七人の忍者 大血戦』(1966年/東映)C※
44『十七人の忍者』(1963年/東映)C
43『ラプラスの魔女』(2016年/東宝)C
42『真夏の方程式』(2013年/東宝)A
41『アベンジャーズ インフィニティ・ウォー』(2018年/米)B
40『マイティ・ソー バトルロイヤル』(2017年/米)B
39『ハン・ソロ スター・ウォーズ・ストーリー』(2018年/米)C
38『ザ・マミー 呪われた砂漠の王女』(2017年/米)D
37『デッドプール2』(2018年/米)C
36『スキャナーズ3』(1991年/加)C
35『スキャナーズ2』(1991年/米、加、日)C
34『スキャナーズ』(1981年/加)B
33『エマニエル夫人』(1974年/仏)C
32『死刑台のエレベーター』(1958年/仏)B
31『マッケンナの黄金』(1969年/米)C
30『勇気ある追跡』(1969年/米)C
29『サウンド・オブ・ミュージック』(1965年/米)A
28『ドクトル・ジバゴ 』(1965年/米、伊)A
27『デトロイト』(2017年/米)B
26『クラッシュ』(2004年/米)A
25『ラ・ラ・ランド』(2016年/米)A
24『オーシャンズ13』(2007年/米)B
23『オーシャンズ12』(2004年/米)C
22『オーシャンズ11』(2001年/米)B
21『オーシャンと十一人の仲間』(1960年/米)B
20『マッキントッシュの男』(1973年/米)A
19『オーメン』(1976年/英、米)B
18『スプリット』(2017年/米)B
17『アンブレイカブル 』(2000年/米)C
16『アフター・アース』(2013年/米)C
15『ハプニング』(2008年/米)B
14『麒麟の翼〜劇場版・新参者』(2012年/東宝)C
13『暁の用心棒』(1967年/伊)C
12『ホテル』(1977年/伊、西独)C※
11『ブラックブック』(2006年/蘭)A
10『スペース・ロック』(2018年/塞爾維亜、米)C
9『ブラックパンサー』(2018年/米)A
8『ジャスティス・リーグ』(2017年/米)C
7『ザ・リング2[完全版]』(2005年/米)C
6『祈りの幕が下りる時』(2018年/東宝)A
5『ちはやふる 結び』(2018年/東宝)B
4『真田幸村の謀略』(1979年/東映)C
3『柳生一族の陰謀』(1978年/東映)A
2『集団奉行所破り』(1964年/東映)B※

1『大殺陣』(1964年/東映京都)C

スポーツライター。 1986年、日刊現代に入社。88年から運動部記者を務める。2002年に単行本デビュー作『バントの神様 川相昌弘と巨人軍の物語』(講談社)を上梓。06年に独立。『失われた甲子園』(講談社)新潮ドキュメント賞ノミネート。東スポ毎週火曜『赤ペン!!』連載中。 東京運動記者クラブ会員。日本文藝家協会会員。
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