『ベストセラー伝説』本橋信宏

新潮社 新潮新書 発行2019年6月30日 定価760円 

1960〜70年代に子供や若者を虜にした出版業界の「ベストセラー」はどのようにして生まれたのか、私より7歳年上の著者が教えてくれた一冊。
帯にある雑誌や単行本は私もオンタイムでハマっていたから、面白くも懐かしく、あっという間に読んでしまった。

なぜ学研の〈科学〉と〈学習〉は本屋ではなく地域の代理人が販売していたのか、とくに〈科学〉の豪華で精巧な付録は誰が考案、製作していたのか。
子供だった当時から漠然と疑問に思っていたのだが、このトシになってやっと内情と成り立ちがわかりました。

一番うれしかったのは、これまた私が貪るように読んでいた第4章のポプラ社版『少年探偵団シリーズ』。
とりわけ、いまも記憶に残っている印象的な挿絵やカバー絵が描かれた経緯が面白かった。

それにしても、次から次へと数十万、数百万という数字が並ぶ往年の発行部数には恐れ入る。
活字黄金時代の「ベストセラー」シリーズ、できれば本書に登場するYデスクに第2弾を企画していただきたいですね。

2019読書目録
※は再読、及び旧サイトからのレビュー再録

21『ドン・キホーテ軍団』阿部牧郎(1983年/毎日新聞社)※
20『焦土の野球連盟』阿部牧郎(1987年/扶桑社)※
19『失われた球譜』阿部牧郎(1998年/文藝春秋)※
18『南海・島本講平の詩』(1971年/中央公論社)※
17『カムバック!』テリー・プルート著、廣木明子訳(1990年/東京書籍)※
16『ボール・フォア 大リーグ・衝撃の内幕』ジム・バウトン著、帆足実生訳(1978年/恒文社)
15『ショーケン 最終章』萩原健一(2019年/講談社)
14『頼むから静かにしてくれ Ⅱ』レイモンド・カーヴァー著、村上春樹訳(2006年/中央公論新社)
13『頼むから静かにしてくれ Ⅰ』レイモンド・カーヴァー著、村上春樹訳(2006年/中央公論新社)
12『試合 ボクシング小説集』ジャック・ロンドン著、辻井栄滋訳(1987年/社会思想社 教養文庫)
11『ファースト・マン 月に初めて降り立った男、ニール・アームストロングの人生』ジェイムズ・R・ハンセン著、日暮雅通・水谷淳訳(2019年/河出文庫)
10『平成野球30年の30人』石田雄太(2019年/文藝春秋)
9『toritter とりったー』とり・みき(2011年/徳間書店)
8『Twitter社会論 新たなリアルタイム・ウェブの潮流』津田大介(2009年/洋泉社)
7『極夜行』角幡唯介(2018年/文藝春秋)
6『力がなければ頭を使え 広商野球74の法則』迫田穆成、田尻賢誉(2018年/ベースボール・マガジン社)
5『OPEN アンドレ・アガシの自叙伝』アンドレ・アガシ著、川口由紀子訳(2012年/ベースボール・マガジン社)
4『桜の園・三人姉妹』アントン・チェーホフ著、神西清訳(1967年/新潮文庫)
3『かもめ・ワーニャ伯父さん』アントン・チェーホフ著、神西清訳(1967年/新潮文庫)
2『恋しくて』リチャード・フォード他、村上春樹編訳(2016年/中公文庫)
1『月曜日は最悪だとみんなは言うけれど』ティム・オブライエン他著、村上春樹編訳(2006年/中央公論新社)

スポーツライター。 1986年、日刊現代に入社。88年から運動部記者を務める。2002年に単行本デビュー作『バントの神様 川相昌弘と巨人軍の物語』(講談社)を上梓。06年に独立。『失われた甲子園』(講談社)新潮ドキュメント賞ノミネート。東スポ毎週火曜『赤ペン!!』連載中。 東京運動記者クラブ会員。日本文藝家協会会員。
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