プロで1勝するのは大変だ

一回裏、ヤクルトの1番・坂口に初球を投じようとしているDeNA・上茶谷

最近は土曜をトレイルライドの日にしていたのだが、きょうは神宮でヤクルト-DeNA戦を見ることにした。
ベイスターズのドラフト1位新人・上茶谷が先発するからである。

毎年のことなのだが、妙な縁を感じるルーキーがいるもので、とくに興味を持って追いかけているわけでも、個人的に親しくしているわけでもないのに、なぜかこちらが取材に行くとグラウンドに出てくる。
今年の場合は上茶谷がそうなんですよ。

宜野湾キャンプを取材に行った2月20日、たまたまロッテとの練習試合に上茶谷が先発登板。
これが初の対外試合登板で、最速152㎞の真っ直ぐ、キレのあるスライダーで2回をパーフェクトに抑えて見せた。

シーズンが開幕してから、ヤクルト打線の取材が目的で本拠地・神宮開幕へ足を運んだら、ここでまた上茶谷が公式戦初先発、初登板。
七回まで6安打1失点に抑え、DeNA打線が八回に2点を取り、プロ初勝利かと思われた直後のその裏、パットンが1イニング4失点と炎上してチームが逆転負けしてしまった。

ここから5試合に先発してまったく勝ち星に恵まれず、この日まで6試合、0勝3敗、防御率4.68。
最初のうちはツキのなさ、巡り合わせの悪さもあったけれど、黒星のついた3試合のうち2試合は自分の大量失点によるものだった。

こんなことを繰り返しているうちにますます勝てなくなり、伸び悩んでしまう新人も少なくない。
最近ではヤクルトの原樹里(2015年ドラフト1位)や寺島(16年同1位)がそうでした。

というわけで、いつになったらプロ初勝利を挙げられるのか、こっちが勝手にハラハラしていた上茶谷が、この日やっと勝った。
5回3分の2で1本塁打を含む3安打4失点は決して褒められた内容ではないけれど、念願の1勝目に上茶谷本人はホッとした表情。

「すごくうれしいです。
少し粘り強さがなかったと思いますけど、野手のみなさんに援護を頂いて、しっかり投げることができました。

勝つのは難しいです。
まだ自分の投球ができてないと思うので、これから調子を上げていきたい」

この日はプロ初安打も記録して、「振ったら当たりました。手が痛いです」と苦笑い。
失点やピンチはいずれも自分の四球がらみだっただけに、「これから修正していきたい」と、最後は気を引き締めていました。

プロでは1勝した次の試合が大事。
がんばってください!

スポーツライター。 1986年、日刊現代に入社。88年から運動部記者を務める。2002年に単行本デビュー作『バントの神様 川相昌弘と巨人軍の物語』(講談社)を上梓。06年に独立。『失われた甲子園』(講談社)新潮ドキュメント賞ノミネート。東スポ毎週火曜『赤ペン!!』連載中。 東京運動記者クラブ会員。日本文藝家協会会員。
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