『真夏の方程式』(WOWOW)

(129分 2013年 東宝)

東野圭吾原作のテレビドラマ『ガリレオ』シリーズ(フジテレビ:2007、2013年)の劇場映画版で、『容疑者Xの献身』(2018年)に続く第2作。
福山雅治と堤真一の演技合戦が最大の見どころだった前作とは打って変わって、しんみりとした余韻と同時に嚥下しがたい引っかかりを残す佳作となっている。

開巻、1998年冬に元ホステス(西田尚美)が刺殺される事件が起こり、犯人(白竜)が逮捕される。
その直後にクローズアップで映される風吹ジュンが犯人かもしれないことを暗示して、物語は15年後の2013年の現在に移行。

本シリーズの主人公・湯川学教授を演じる福山は、テレビでこの役を演じ続けていただけあり、相変わらずどハマリの好演。
その湯川が、伊豆をモデルにしたと思しき(富士山が出てこないので紀州かな)玻璃ヶ浦へやって来る途中、電車の中で柄埼恭平(山﨑光)という少年と知り合う。

湯川は玻璃ヶ浦で行われている海底鉱物資源開発と、それに反対する地元住民とのディベートに出席。
ここで反対派の急先鋒である川畑成美(杏)と知り合い、宿泊先の民宿で主人・川畑重治(前田吟)の甥・恭平と再会する。

この民宿の女将・川畑節子が風吹ジュン。
ひとりで宿泊していた塚原正次(塩見三省)が元刑事で、5年前の元ホステス殺人事件の担当していたことを節子に打ち明けた翌日、海岸で事故死体となって発見される。

ここからしばらくの間、湯川と恭平が心を通わせ合うくだりが実にいい。
実は恭平は意図せずして事故死事件に関わっており、そのことに湯川がいつ気づいていたのか、最初は判然としないが、福山はシナリオの裏側を斟酌して巧みに、かつ自然に演じている。

映画は後半、湯川が真犯人の名前を明かし、『刑事コロンボ』(NBC、1968〜1978年)のような倒叙法に転じる。
ここから先、「過去の事件」と成美、「現在の事件」と恭平との関わりがわかってくる過程は実に切なく、見ていて辛い。

こういうオールスターキャスト映画は、何だかんだ言ってもエンターテインメントだから、と割り切って見てしまいがちだ。
が、本作は久しぶりに、成美と恭平はこの先どうなるのだろう、どんな大人になり、どんな人生を歩むのだろう、と思いを馳せないではいられなかった。

オススメ度A。

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※A=ぜひ!(^o^) B=よかったら(^^; C=ヒマなら(-_-) D=やめとけ(>_<)

41『アベンジャーズ インフィニティ・ウォー』(2018年/米)B
40『マイティ・ソー バトルロイヤル』(2017年/米)B
39『ハン・ソロ スター・ウォーズ・ストーリー』(2018年/米)C
38『ザ・マミー 呪われた砂漠の王女』(2017年/米)C
37『デッドプール2』(2018年/米)C
36『スキャナーズ3』(1991年/加)C
35『スキャナーズ2』(1991年/米、加、日)C
34『スキャナーズ』(1981年/加)B
33『エマニエル夫人』(1974年/仏)C
32『死刑台のエレベーター』(1958年/仏)B
31『マッケンナの黄金』(1969年/米)C
30『勇気ある追跡』(1969年/米)C
29『サウンド・オブ・ミュージック』(1965年/米)A
28『ドクトル・ジバゴ 』(1965年/米、伊)A
27『デトロイト』(2017年/米)B
26『クラッシュ』(2004年/米)A
25『ラ・ラ・ランド』(2016年/米)A
24『オーシャンズ13』(2007年/米)B
23『オーシャンズ12』(2004年/米)C
22『オーシャンズ11』(2001年/米)B
21『オーシャンと十一人の仲間』(1960年/米)B
20『マッキントッシュの男』(1973年/米)A
19『オーメン』(1976年/英、米)B
18『スプリット』(2017年/米)B
17『アンブレイカブル 』(2000年/米)C
16『アフター・アース』(2013年/米)C
15『ハプニング』(2008年/米)B
14『麒麟の翼〜劇場版・新参者』(2912年/東宝)C
13『暁の用心棒』(1967年/伊)C
12 『ホテル』(1977年/伊、西独)C※
11『ブラックブック』(2006年/蘭)A
10『スペース・ロック』(2018年/塞爾維亜、米)C
9『ブラックパンサー』(2018年/米)A
8『ジャスティス・リーグ』(2017年/米)C
7『ザ・リング2[完全版]』(2005年/米)C
6『祈りの幕が下りる時』(2018年/東宝)A
5『ちはやふる 結び』(2018年/東宝)B
4『真田幸村の謀略』(1979年/東映)C
3『柳生一族の陰謀』(1978年/東映)A
2『集団奉行所破り』(1964年/東映)B
1『大殺陣』(1964年/東映京都)

スポーツライター。 1986年、日刊現代に入社。88年から運動部記者を務める。2002年に単行本デビュー作『バントの神様 川相昌弘と巨人軍の物語』(講談社)を上梓。06年に独立。『失われた甲子園』(講談社)新潮ドキュメント賞ノミネート。東スポ毎週火曜『赤ペン!!』連載中。 東京運動記者クラブ会員。日本文藝家協会会員。
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