『スキャナーズ2』(WOWOW)

(Scanners II:The New Order/105分 1991年 アメリカ、カナダ、日本 日本配給=東京テアトル、バビット)

前項『スキャナーズ』から10年後に公開された続編。
ただし、デヴィッド・クローネンバーグは原作者としてクレジットされているだけで、製作には直接タッチしていないらしい。

製作者レネ・マロは無名の人物、監督のクリスチャン・デュゲイはテレビ出身で、これがデビュー作。
要するに、クローネンバーグは設定とキャラクターのロイヤルティだけもらって続編の製作を許可し、あとは若い映画人に任せたものと推察される。

こういう続編は得てして面白くないものだが、本作はなかなか健闘している。
開巻、主人公のデヴィッド(デヴィッド・ヒューレット)が恋人アリス(イザベル・メジアス)とバーに入るシーンで、黒澤明、本多猪四郎など、日本の映画人の名前が垂れ幕が下がっているところがあり、日本市場を狙って製作されたことがアリアリ。

デートの最中、二人はドラッグストアで強盗に襲われ、アリスを人質に取られたデヴィッドは超能力を発揮して強盗を殺してしまう。
デヴィッドの能力に目をつけ、警察の仕事を手伝うよう言葉巧みに持ちかけるのがトロント(と思しき大都市の)市警幹部フォレスター(イワン・ポントン)。

フォレスターはデヴィッドのようなスキャナーを捕まえては精神病院に拉致。
スキャナー専用の鎮痛剤エフ1、エフ2を投与して奴隷に仕立て上げ、彼らを使って都市を支配し、「新たな世界」(The New Order)を作り上げようとしていた。

そんな陰謀に気づいたデヴィッドは、初めて巡り合ったスキャナーの姉ジュリー(デボラ・ラフィン)とともにフォレスターに立ち向かう。
このあたりでジュリーとデヴィッド姉弟の両親が、前作『スキャナーズ』の主人公カップル、ベイルとキムだったことが明かされる。

この設定は『スター・ウォーズ』シリーズ・エピソード4〜6(1977〜83年)、『ブレードランナー』(1982年)と『ブレードランナー 2049』(2017年)の関係に似ている。
イザベルの住んでいるアパートのセット、夜の大都会の俯瞰など、『ブレードランナー』の影響を受けていると思しき場面も少なくない。

クライマックスはジュリー&デヴィッドとフォレスターが対決。
かつて清純派美人女優として売り出したデボラ・ラフィンがコンタクトレンズをはめてなかなかの熱演を見せ、新たなスキャン能力を発揮するところが面白い。

オススメ度C。

ブルーレイ&DVDレンタルお勧め度2019リスト
※A=ぜひ!(^o^) B=よかったら(^^; C=ヒマなら(-_-) D=やめとけ(>_<)

34『スキャナーズ』(1981年/加)B
33『エマニエル夫人』(1974年/仏)C
32『死刑台のエレベーター』(1958年/仏)B
31『マッケンナの黄金』(1969年/米)C
30『勇気ある追跡』(1969年/米)C
29『サウンド・オブ・ミュージック』(1965年/米)A
28『ドクトル・ジバゴ 』(1965年/米、伊)A
27『デトロイト』(2017年/米)B
26『クラッシュ』(2004年/米)A
25『ラ・ラ・ランド』(2016年/米)A
24『オーシャンズ13』(2007年/米)B
23『オーシャンズ12』(2004年/米)C
22『オーシャンズ11』(2001年/米)B
21『オーシャンと十一人の仲間』(1960年/米)B
20『マッキントッシュの男』(1973年/米)A
19『オーメン』(1976年/英、米)B
18『スプリット』(2017年/米)B
17『アンブレイカブル 』(2000年/米)C
16『アフター・アース』(2013年/米)C
15『ハプニング』(2008年/米)B
14『麒麟の翼〜劇場版・新参者』(2912年/東宝)C
13『暁の用心棒』(1967年/伊)C
12 『ホテル』(1977年/伊、西独)C※
11『ブラックブック』(2006年/蘭)A
10『スペース・ロック』(2018年/塞爾維亜、米)C
9『ブラックパンサー』(2018年/米)A
8『ジャスティス・リーグ』(2017年/米)C
7『ザ・リング2[完全版]』(2005年/米)C
6『祈りの幕が下りる時』(2018年/東宝)A
5『ちはやふる 結び』(2018年/東宝)B
4『真田幸村の謀略』(1979年/東映)C
3『柳生一族の陰謀』(1978年/東映)A
2『集団奉行所破り』(1964年/東映)B
1『大殺陣』(1964年/東映京都)C


スポーツライター。 1986年、日刊現代に入社。88年から運動部記者を務める。2002年に単行本デビュー作『バントの神様 川相昌弘と巨人軍の物語』(講談社)を上梓。06年に独立。『失われた甲子園』(講談社)新潮ドキュメント賞ノミネート。東スポ毎週火曜『赤ペン!!』連載中。 東京運動記者クラブ会員。日本文藝家協会会員。
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