ヤクルトには西浦がいる

ヤクルト、ラッキー7の東京音頭。神宮球場の東スポ記者席からの眺めはいつも臨場感たっぷり

今年の開幕2カード目は神宮球場のヤクルト-DeNA戦でした。
スポーツマスコミ的には、DeNAのドラフト1位新人・上茶谷が初登板、初先発で初勝利を収められるかが最大の興味の焦点。

ただし、私個人の一番の興味は、石井琢打撃コーチ率いるヤクルト打線がその黄金ルーキーを打ち崩せるかどうか。
不動の「1番・ファースト」だった坂口が手の複雑骨折で前半戦絶望視される中、どうやって打線をやりくりするのか。

で、2番目の興味が、そのヤクルト打線に対し、田代さんが打撃コーチに復帰したDeNA打線がどう立ち向かうか。
お二方にご協力いただいた拙著のタイトルにこじつけると、琢朗「コンバート論」打線vs.田代「最後のクジラ」打線。

ちなみに、どちらも横浜大洋ホエールズ出身のこの2人、私生活では非常に仲がいい。
さて、どうなるかと見守っていた結果は、5-2でヤクルトの逆転勝ちでした。

先発のDeNA・上茶谷、ヤクルト・原が終盤まで投手戦を繰り広げ、両チームとも継投に入った八回、ヤクルトが2番手のパットンから一挙4点をあげて快勝。
勝ち越しタイムリーを打ったのは、石井琢コーチが就任した一昨年の秋から鍛え上げていた西浦でした。

今年は開幕スタメンのショートを廣岡に奪われ、「悔しかったですけど、一日一日、一球一球を無駄にしないようにやってきました」とキッパリ。
打線全体が打ちあぐんでいた上茶谷にも、第1打席こそ「タイミングが合わなくて」空振り三振したものの、第2打席では「軌道がわかっていましたから」とレフト前にヒットを打つ対応力も見せた。

こういう地味な選手がしっかり仕事をするチームは強い。
そういう意味では、一時勝ち越しとなるタイムリーを打ったDeNAの佐野もいい仕事をしたんだがなあ。

今後に期待しましょう!
なお、明日の試合取材はお休みします。

スポーツライター。 1986年、日刊現代に入社。88年から運動部記者を務める。2002年に単行本デビュー作『バントの神様 川相昌弘と巨人軍の物語』(講談社)を上梓。06年に独立。『失われた甲子園』(講談社)新潮ドキュメント賞ノミネート。東スポ毎週火曜『赤ペン!!』連載中。 東京運動記者クラブ会員。日本文藝家協会会員。
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