東邦・石川、初ヒット、初打点、初初勝利、初完投!

久しぶりに見た〈かに道楽〉の看板は相変わらず気味悪くユラユラと動いていた

きのうは選抜高校野球の取材後、昔馴染みの記者仲間と北新地に繰り出し、餃子鍋をつつきました。
2日前は先輩記者と明石焼きやお好み焼きをつまんでいて、大阪滞在中は脂っ濃い食生活が続いている。

今夜は付き合ってくれる相手もいないことだし、ホテルの部屋でひっそりと缶ビールを1本、ひとり飲みして済ませるか。
と思っていたら、ひとりでもいいから北新地の馴染みの店で祝杯をあげたい、という気持ちがムラムラと湧き上がってきた。

個人的に一番注目していた東邦高校・石川昂弥くんが、きょうの1回戦で投打に渡る大活躍を見せ、見事に初戦を突破したからである。
中学3年のころから追いかけていた選手だからね、これだけ活躍してくれると、取材者としてもうれしいものです。

投げては9回を7安打1失点で実に163球の初完投、初勝利。
打っては2-1とリードしていた七回、貴重な追加点となる甲子園初ヒット、初打点。

3年前に取材したときはヒョロリとしている印象が強かった石川くん、久しぶりに会ったらすっかり逞しくなっていた。
自分のアパートに下宿させている森田泰弘監督によれば、石川くんを預かってから11㎏増量させることに成功したそうで、すっかり逞しくなった秘蔵っ子に目を細めていました。

もちろん、三塁側アルプススタンドで応援していた石川くんのお父さん・尋貴さんも大喜び。
尋貴さんも東邦OBで、全国制覇した1989年のセンバツでは、やはり三塁側アルプスで喉を嗄らしていた。

ちなみに、そのセンバツは私が初めて取材した大会でもある。
そこでどんなドラマが繰り広げられたかは、拙著『失われた甲子園 記憶をなくしたエースと1989年の球児たち』(2016年、講談社)に書いた。

あれから30年後、私の本を読んでくれた尋貴さんの息子、石川くんが同じ東邦の主力選手としてふたたび優勝を目指す。
なお、石川くんが東邦に入るまでの経緯は、拙著『野球エリート 野球選手の人生は13歳で決まる』(2018年、講談社+α新書)に書いている。

石川くんと東邦の次の相手は、わが地元の広陵高校。
必見の好カードだけど、その日はマツダスタジアムでプロ野球開幕カードの広島-巨人戦をやってるんだよなあ。

スポーツライター。 1986年、日刊現代に入社。88年から運動部記者を務める。2002年に単行本デビュー作『バントの神様 川相昌弘と巨人軍の物語』(講談社)を上梓。06年に独立。『失われた甲子園』(講談社)新潮ドキュメント賞ノミネート。東スポ毎週火曜『赤ペン!!』連載中。 東京運動記者クラブ会員。日本文藝家協会会員。
先頭に戻る