『真田幸村の謀略』(WOWOW)

 前項『柳生一族の陰謀』から始まった東映の〝大作時代劇復刻シリーズ〟第3弾。
 エンディングで真田幸村(松方弘樹)が徳川家康(萬屋錦之介)の首を跳ね飛ばすシーンまで見て、やっと昔テレビの地上波放送で見ていたことを思い出した。

 それだけ印象が薄いのは、本格時代劇なのか、SF仕立てのエンターテインメントなのか、いまひとつ性格不明である上に、約2時間半とダラダラと長かったからだろう。
 脚本には監督の中島貞夫を含め、4人の名前がクレジットされているが、実際には笠原和夫がひとりで書き上げたという。

 笠原がエンターテインメントと見せかけて力を入れた裏の主題は、例によって差別する権力者(家康)と差別される社会的弱者(真田十勇士)の対立。
 十勇士が「草の者」と呼ばれる山窩の一族で、最後には武将の幸村だった彼らと同じ立場に同化し、差別のない社会実現のため、独裁者・家康を討とうと決起する。

 しかし、三好伊三入道(真田広之)、三好清海入道(秋野暢子)が韓国人だったという設定はともかく、猿飛佐助(あおい輝彦)を宇宙人にしてしまったのはあまりにも大胆、という以上に漫画チックに過ぎる。
 中島の演出もメリハリに乏しく、これは映画館で見たいとは思いませんでした。

 オススメ度C。

(1979年 東映 149分)

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※A=ぜひ!(^o^) B=よかったら(^^; C=ヒマなら(-_-) D=やめとけ(>_<)

3『柳生一族の陰謀』(1978年/東映)A
2『集団奉行所破り』(1964年/東映)B
1『大殺陣』(1964年/東映京都)C

スポーツライター。 1986年、日刊現代に入社。88年から運動部記者を務める。2002年に単行本デビュー作『バントの神様 川相昌弘と巨人軍の物語』(講談社)を上梓。06年に独立。『失われた甲子園』(講談社)新潮ドキュメント賞ノミネート。東スポ毎週火曜『赤ペン!!』連載中。 東京運動記者クラブ会員。日本文藝家協会会員。
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