『アンドロメダ・ストレイン』(セルDVD)

The Andromeda Strain

 マイクル・クライトンのSF小説『アンドロメダ病原体』(1969年)をテレビミニシリーズとして映像化した作品。
 ロバート・ワイズ監督による映画化作品『アンドロメダ…』(1971年)のリメークでもある。

 製作総指揮はリドリー&トニー・スコット兄弟、監督が『アビス』(1989年)や『バック・ドラフト』(1991年)で撮影を担当したカメラマン出身のミカエル・サロモン。
 この顔ぶれで大いに期待したのだが、結果としてはワイズの映画化版に遠く及ばない出来栄えに終わっている。

 ユタ州ピードモントの田舎町に人工衛星スクープが落下し、ほどなく町民のほぼ全員が死んでしまう。
 死者はすべて体内の血液が凝固しているという異様な状態を示している中、アル中の老人と泣き続けている赤ん坊のふたりだけが生き残っていた。

 宇宙からもたらされた病原体の正体は何か?
 どうして老人と赤ん坊だけが感染を免れたのか?

 急遽国家プロジェクト「ワイルドファイア」の科学者チームが召集され、核爆弾による自爆装置を備えた地下に建設された秘密基地に集合。
 彼らが生存者と人工衛星の破片を調査しているうち、ピードモントだけでなく、地球全土がこの病原体の脅威にさらされていることがわかってくる。

 ワイズによる映画版ではストーリーと舞台を地下基地の1カ所に限定し、ドラマの焦点を「科学者チームvs.アンドロメダ」に絞り、息詰まるような緊張感とサスペンスを醸成することに成功していた。
 しかし、テレビ版をプロデュースしたスコット兄弟、脚本を書いたロバート・シェンカンは、同じことをやっても仕方がないと思ったようで、映画版には出てこなかった大統領、スクープの墜落事故を嗅ぎ回るテレビリポーターなど、様々な新キャラを登場させている。

 これがとんだ逆効果で、見どころが増えたように見える半面、全体的に散漫なドラマになってしまった。
 米軍の兵士たちがピードモントから拡散した病原体に感染し、ゾンビのように凶暴化して暴れ回る、というのもいまとなっては見飽きた趣向というほかない。

 クライトンの原作やワイズの映画版を知らないファンにはそこそこ楽しめるかもしれないが。
 オススメ度C。

(2008年 アメリカ=A&Eネットワーク/日本放送2009年 スター・チャンネル 前編89分 後編88分)

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スポーツライター。 1986年、日刊現代に入社。88年から運動部記者を務める。2002年に単行本デビュー作『バントの神様 川相昌弘と巨人軍の物語』(講談社)を上梓。06年に独立。『失われた甲子園』(講談社)新潮ドキュメント賞ノミネート。東スポ毎週火曜『赤ペン!!』連載中。 東京運動記者クラブ会員。日本文藝家協会会員。
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