
144分 2024年 フランス、イギリス、アメリカ R15+
日本公開:2025年 配給:ギャガ
ホラー映画としては非常に秀逸な作品で、異色のコメディーとして観ることもでき、現代のエイジズムとルッキズムに対する痛烈な批判が込められていることも理解できる。
第77回カンヌ国際映画祭では監督、脚本、製作、編集を手がけたコラリー・ファルジャが脚本賞、第82回ゴールデングローブ賞では主演のデミ・ムーアがコメディー・ミュージカル部門の主演女優賞、第97回アカデミー賞ではピエール=オリヴィエ・ペルサンスが特殊メイクアップ&ヘアスタイリング賞を受賞しており、出来栄えに文句をつけるつもりはまったくない。
しかし、正直なところ、最近、観ていてこれほど生理的嫌悪感を覚えたのも久しぶりだった。
実際、映画が後半に入ると、何度も再生を一時停止しては見直したほど。
本作のプロットは要するに、『ドリアン・グレイの肖像』の現代女性版である。
還暦を過ぎたデミ・ムーア演じる元大女優が、もうトシだからとプロデューサーにエアロビクス番組の仕事をクビにされ、何者かに与えられた再生医療の薬物によって若さを取り戻そうとする。
その方法が一風変わっていて、今時のAIによってムーアを若返らせるのではなく、ムーアの背中から分身のマーガレット・クアリーが登場。
2人で1人の彼女は1週間置きに入れ代わり、若いキャリーはたちまち母体のムーアに代わってテレビ界のアイドルとなる。
その過程で別人格を得た分身クアリーが暴走を始め、1週間ごとの母体ムーアとの交代を拒否し、ムーアの脊髄から髄液を吸い取っては自分に注入し、活動期間を伸ばしてテレビ出演や男遊びに熱中。
おかげでムーアは逆にどんどん老いさらばえていき、映画の後半には思わず目を背けたくなるほどの醜い姿に変貌してしまう。
こういう筋立てなら悲劇的な結末が待っているのは予測がつくものの、コラリー・ファルジャ監督の演出はこちらの想像をはるかに上回るグロさ、過激さ、気持ち悪さ。
肉と血しぶきが飛び散るクライマックスはあまりに凄まじく、カンヌでは大爆笑が起こったそうだが、ゴア描写が苦手な僕はただただ呆然とするだけでした。
ムーアはヌードに特殊メイクで大熱演を披露しており、昨年はゴールデングローブ賞を受賞したのみならず、62歳で初めてアカデミー主演女優賞にノミネートされた。
余談ながら、昨年のアカデミー賞授賞式では、司会のコナン・オブライエンがムーアと一緒に登場し、本作をネタにしたギャグを演じている。
さらに、今年の授賞式ではムーアが撮影賞のプレゼンターを務め、アメリカ映画史上初めて女性撮影監督として受賞した『罪人たち』のオータム・デュラルドにオスカー像を授与。
ムーアは本作への出演で再ブレークを果たしたと言っていい。
ムーアの決断と演技力には敬服するし、こういう映画を好んで観たがる人にとっては超Aクラスの出来栄えでしょう。
が、個人的にお勧めできるかとなると、やっぱり、ちょっとねえ…。
オススメ度B。
A=ぜひ!🤗😱 B=よかったら😉 C=気になったら🤨 D=ヒマだったら😑