BS世界のドキュメンタリー『最後の秘密 スピルバーグ 映画と人生』(NHK-BS)😉

Steven Spielberg: The “New Hollywood” Prodigy
50分(オリジナル版58分) 2024年 フランス、ドイツ、ルクセンブルク

スピルバーグが生み出した数々のヒット作の源は、彼が幼少期に負ったトラウマと向き合い、映画の題材として昇華することにあった。
というスピルバーグの映画人生を代表作の分析とインタビューによって明らかにしたドキュメンタリー。

デビュー間もない頃、『激突!』(1971)、『ジョーズ』(1975)で注目されたスピルバーグは当時、現代のような巨匠ではなく、内容空疎なB級エンターテインメントの若手監督と見なされていた。
しかし、スピルバーグ自身はそうした初期の作品について、「自分の中にある海や暴力への恐怖と向き合った作品だ」と自己分析している。

最も興味深いのは、ユダヤ人である出自を初めて見つめ直した『シンドラーのリスト』(1993)、学校で差別を受けた10代の頃を振り返った『フェイブルマンズ』(2022)を自ら解説したインタビュー。
『フェイブルマンズ』で語られていた母親の不倫(相手は父親の友人だった)と両親の離婚がスピルバーグの心に大きな疵痕を残したという告白が痛切だ。

しかし、「自分とユダヤ人は迫害されてきた」という立場から語られるスピルバーグの言葉には曰く言い難い違和感も感じられる。
イスラエルのユダヤ人が今、パレスチナ人やイラン人に対して行っている行為は、かつてのナチスドイツがやっていたのと同じ〝現代のホロコースト〟そのものだからだ。

スピルバーグにはぜひ、現代のイスラエルを描いた映画を撮ってほしい、と思っているファンは僕だけではないはず。
まあ、実現しないでしょうけどね。

オススメ度B。

A=ぜひ!🤗😱 B=よかったら😉 C=気になったら🤨  D=ヒマだったら😑

スポーツライター。 1986年、日刊現代に入社。88年から運動部記者を務める。2002年に単行本デビュー作『バントの神様 川相昌弘と巨人軍の物語』(講談社)を上梓。06年に独立。『失われた甲子園』(講談社)新潮ドキュメント賞ノミネート。2010〜2026年、東京スポーツでコラムや野球記事を連載。 日本文藝家協会会員。Yahoo!ニュース公式コメンテーター。
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