
123分 2024年 カナダ、アメリカ、デンマーク、アイルランド
日本公開:2025年 配給:キノフィルムズ R15+
トランプ大統領がとうとう本格的な戦争を始めてしまった。
ベネズエラに侵入してマドゥロ大統領を拉致しただけでも国際法上の犯罪に値するのに、今度はイランの最高指導者ハメネイ師をはじめ、政権幹部を空爆によって殺害したのだから、まったくもって正気を疑う。
あの独裁者になるために生まれてきたような規格外の個性はいったい、どのようにして形成されたのか。
トランプのモンスター化の過程を知る上で大変参考になるのが、一昨年アメリカで劇場公開され、トランプ大統領が上映阻止に動いたとも報じられた本作である。
監督アリ・アッバシはほかならぬイラン出身、若き日のトランプを演じたセバスチャン・スタンはルーマニア出身。
アメリカ、カナダ、デンマーク、アイルランドと5カ国の制作会社が参加している。
前半の主役は不動産ビジネスマンだったトランプに多大な影響を与え、アメリカの法曹界で悪名を馳せた弁護士ロイ・コーン(ジェレミー・ストロング)。
コーンとのコネを作ろうとセレブの集まる高級クラブに出入りし、有名人を見てはドキドキ、オドオドしていたウブなトランプに、コーンはひたすら「裁判は攻撃だ! 負けても負けを認めるな!」と教え込む。
トランプが持ち込んだ訴訟で形勢が不利になると、コーンはこっそりコーヒーショップで判事と密会し、少年と男色に耽っていた写真を見せ、「これをイヴニング・ポストに売り込んだらどうなるかな」と脅迫。
コーン自身も同性愛者で、トランプを連れて乱交パーティーに参加するシーンは、現在のエプスタイン疑惑を彷彿とさせる。
最初のうち、コーンのやり方を疑問視していたトランプは、成功体験を重ねるにつれて感化され、次第に自らコーン以上の強引なやり方でのし上がっていく。
後半はトランプ個人の露悪的な描写が目立ち、前妻イヴァナへのDVやレイプ、腹の脂肪吸引手術や頭皮の〝ハゲ隠し〟手術など、観ていて笑える、という以上にウンザリさせられるような場面が多い。
カジノホテル〈タージマハル〉の建設に乗り出して巨額の負債を抱えながら、どうやってこの最大のピンチを切り抜けたのか、いまひとつ説明不足だったのは残念。
トランプにとって大きな成功体験となったこのくだりは、Netflixのドキュメンタリー『トランプ:アメリカン・ドリーム』(2018)に詳しい。
この後、トランプはいかにして世界最強の米軍の最高司令官となり、ある意味、「世界最大のテロリスト」になったのか、同じイラン出身のアリ・アッバシ監督による続編が待たれる。
サブタイトルは「関税と戦争」でいかがでしょうか?
オススメ度B。
A=ぜひ!🤗😱 B=よかったら😉 C=気になったら🤨 D=ヒマだったら😑