NHKスペシャル『絆でつかんだ金メダル りくりゅう』(NHK総合)🤗😱

45分 NHK総合初放送:2026年2月23日PM9:30~10:15

りくりゅうが帰国したら本格的なドキュメンタリーが制作されるだろうな、どこが作るかわからないけど早く観てみたいな、と思っていたら、帰国する前にNHKが単独取材を成功させていた。
金メダル獲得から2日後に2人が朝食を取っている様子、木原龍一、三浦璃来それぞれの個別インタビューなど見どころが満載である。

とりわけ貴重なのは、りくりゅうが初めてペアを組んだ演技の映像だろう。
本格的な試合や練習ではなく、感触を確かめるためのリハーサル的な演技に見えるが、三浦は「衝撃だった」、木原は「雷が落ちた」と証言。

三浦が「衝撃」と感じたのは、最初の手合わせでタイミングが合ったこと。
木原にとっては「手の形が合うこと」が「雷が落ちた」ように感じられたという。

りくりゅうの素晴らしい演技を観て多くの日本人が感動し、涙を流したのは、何よりも前例のないペア競技だったことにある。
例えば個人競技であれば、りくりゅうと同様に選手が最初(SP)のミスを次のチャンス(FP)で取り返し、大逆転で金メダルをつかんだ結果、選手1人の技量と精神力に感嘆させられた、ということはこれまでに何度もあった。

しかし、ペアで致命的にも見えたミスを犯しながら、ペアとしての力で大逆転へと辿り着いたケースは、少なくとも日本のフィギュア界ではすぐ記憶に思い浮かぶほどの前例がない。
もっと言えば、りくりゅうが夫婦か恋人同士であったら、お互いに愛する者のために力を合わせるわけで、誰にとっても理解しやすく、普通に感動できたことだろう。

だが、りくりゅうが私たちにもたらした衝撃と感動の質は、そうしたこれまでに馴染みのある感動をはるかに上回るものだった。
木原と三浦の2人は、何よりも一体化したペアとしてリンクの上に存在し、ペアにしかできない技を披露し、すべてを完璧にやり遂げて見せた。

それだけ完成度の高い演技を現実にした絆と信頼関係、もっと言うなら2人の人間同士の結びつき、もっと言えばその理想に近い形に、私たちは感動したのだと思う。
運命的な出会いを果たし、練習と節制で技術を磨き上げ、食事をともにして理解し合う努力を重ねれば、人間と人間とはこれほどの強さを発揮できるのか、と。

りくりゅうは、アスリートとして、それ以上に人間としての強さ、優しさ、諦めないことの大切さを表現していたのだ。
そのことに、ただテレビの前に座っていただけで、きょう63歳になった一介のライターからも「ありがとう」と言いたい。

オススメ度A。

A=ぜひ!🤗😱 B=よかったら😉 C=気になったら🤨  D=ヒマだったら😑

スポーツライター。 1986年、日刊現代に入社。88年から運動部記者を務める。2002年に単行本デビュー作『バントの神様 川相昌弘と巨人軍の物語』(講談社)を上梓。06年に独立。『失われた甲子園』(講談社)新潮ドキュメント賞ノミネート。2010〜2026年、東京スポーツでコラムや野球記事を連載。 日本文藝家協会会員。Yahoo!ニュース公式コメンテーター。
先頭に戻る