今さらですが、WBCをテレビで観られるようにしてほしい、と願う個人的理由

近所の河津桜は今が見ごろ(画像と本文はあまり関係ありません)

きょうは週に1度、広島県竹原市の老人健康保険施設に入所している母親とのオンライン面会の日。
今回はお母さんの調子が今ひとつで、最初はなかなか話に乗ってこなかったけれど、「オリンピック観た?」と聞いたら、パッと表情が明るくなり、「観た、観た」と答えてくれました。

さすがに今時の競技や選手の名前までは口にしなかったけれど、テレビ中継で観た若い日本代表の頑張りには、大いに刺激を受けた様子。
なにしろ、おふくろは若い頃、バレーボールをやっていて、昔の広島市民球場にもよくカープ戦を観に行っていたほどのスポーツ好きだから。

施設に入ってからもカープのテレビ中継はもちろん、大谷翔平が大活躍した3年前のWBCも熱心に観戦していた。
当時は入所者が一緒に食事をするリビングで、80代から100代まで、みんながテレビの前にかじりつき、団扇やメガホンをたたいて声援を送っていたものです。

そんな大盛り上がりの様子を、介護士さんが写真に撮り、定期便のプリントにして僕のような家族にも送ってくれた。
お母さんの「大谷くんはすごいねえ」という言葉を聞くたび、スポーツがお年寄りにも元気を与える力を実感しました。

そこで思い出すのが、2011年の東日本大震災でプロ野球の開幕が延期された時のこと。
4月半ばにようやくプロ野球が始まった時、東北の施設では、入所者のみなさんが徐々にテレビの前に戻ってきたのだそうです。

それまでは、何度も流されていた震災関連の映像や公共広告機構のCMに嫌気が刺して、誰もがテレビに背を向けていたのに、野球の中継が高齢者の方々を呼び戻し、惹きつけてくれた。
知人の介護士さんは「お年寄りには野球と相撲が必要なんですよ」とシミジミ語っていました。

だから、今回のWBCも施設でテレビ中継を観られるようにしてほしいんだけどなあ。
と、無理だとわかっていて書いてるんですが。

スポーツライター。 1986年、日刊現代に入社。88年から運動部記者を務める。2002年に単行本デビュー作『バントの神様 川相昌弘と巨人軍の物語』(講談社)を上梓。06年に独立。『失われた甲子園』(講談社)新潮ドキュメント賞ノミネート。2010〜2026年、東京スポーツでコラムや野球記事を連載。 日本文藝家協会会員。Yahoo!ニュース公式コメンテーター。
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