『メディアが沈黙する日』(Netflix)🤗😱

Nobody Speak: Trials of the Free Press
95分 2017年 オランダ、アメリカ=Netflix

2012年、ゴシップサイト〈ゴーカー〉に性行為の動画をアップされたプロレスラー、ハルク・ホーガンがプライバシー侵害でサイトの運営会社を訴えた。
ホーガンの相手は親友の妻で、親友は自分の妻と他人とのセックスを見て興奮する性癖があり、合意の上でのプレイだったという。

ただし、これはビジネス上のキャラクター「ホーガン」としてのセックスではなく、本名テリー・ボレアの私生活での性行為だから、プライバシーの侵害に当たる、とホーガンは主張。
ホーガンは著名な弁護士チームを擁して裁判に臨み、裁判所に約1億4000万㌦(150億円)の賠償命令を下されたゴーカー・メディアはひとたまりもなく破産してしまった。

単なるプロレスラーのゴシップ裁判だと思われた事件が、なぜこれほど巨額の賠償金が発生する法廷闘争に発展したのか。
実は、ホーガンのバックにシリコンバレーの大富豪、PayPalの創始者としても知られるピーター・ティールがついており、彼がホーガンの訴訟費用を援助していたのだ。

ティールはかねてから、自分が同性愛者であることを報じたゴーカーに恨みを抱き、ホーガンの裁判を利用してゴーカーを潰そうと狙っていた。
本作は、トランプ大統領だけでなく、ティールのような大金持ちの実業家たちもまた、メディアやジャーナリズムの自由な言論を押し潰そうとしている大敵だと主張する。

ホーガンの裁判からも本作の公開からも10年経った今、本作に描かれた自体は何ら改善されるどころか、悪化の一途を辿っているようだ。
メディアの経営者はもちろん、その末席にいる僕のような一介のライターも観ておいたほうがいい作品である。

オススメ度A。

A=ぜひ!🤗😱 B=よかったら😉 C=気になったら🤨  D=ヒマだったら😑

スポーツライター。 1986年、日刊現代に入社。88年から運動部記者を務める。2002年に単行本デビュー作『バントの神様 川相昌弘と巨人軍の物語』(講談社)を上梓。06年に独立。『失われた甲子園』(講談社)新潮ドキュメント賞ノミネート。2010〜2026年、東京スポーツでコラムや野球記事を連載。 日本文藝家協会会員。Yahoo!ニュース公式コメンテーター。
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