

シリーズ新作映画『踊る大捜査線 N.E.W』の公開を今秋に控えて、Netflixで配信されているスピンオフ作品。
室井慎次(柳葉敏郎)を主人公としたこの2本は同一作品を前後編に分けて制作、公開したものである。
かつて警視庁の刑事部管理官兼警視正だった室井は、警視庁内での組織改革運動を上司に潰され、秋田県警への異動を命じられるが、これを断って辞職。
現在は秋田県大仙市の一軒家で暮らし、里親となって身寄りのないタカ(齋藤潤)、リク(前山くうが・こうが)を育てている。
そうした最中、室井の家の前に埋められていた死体が発見され、『踊る大捜査線 THE MOVIE3 ヤツらを解放せよ!』(2010)で逮捕された犯人グループのひとりだったことがわかる。
さらに、室井家に転がり込んできた少女・杏(福本莉子)が、『踊る大捜査線 THE MOVIE』(1998)で捕まった無期懲役囚・日向真奈美(小泉今日子)の 娘だと判明。
その杏が室井家の車庫兼納屋に放火し、ただならぬ雰囲気を漂わせたところで前編は終了。
後編に入り、秋田県警本部長となっていた新庄(筧利夫)が室井に接触するあたりまでは、いよいよ室井が捜査の最前線に復帰するのかと期待させる。
しかし、生き方を曲げない室井は市井の里親でいることにこだわり、田舎町の人間関係に悩みながら、タカ、リク、杏をまっとうな人間として教育することに専心。
以後、殺人事件のストーリーは脇に押しやられ、タカの失恋、リクの不登校、杏と母親との葛藤など、家庭劇を中心に展開していく。
これが『踊る』シリーズの室井慎次の物語ではなく、60代に入った俳優・柳葉敏郎が人生に挫折した元官僚を演じるヒューマンドラマであれば、それなりに納得して観られたかもしれない。
が、かつての『踊る』世界観とテイストの延長で観ているファンにとっては、室井がなかなか警察時代の室井らしさを発揮しないことに歯痒さを覚えるのではないか。
劇場公開時も本作の評価は賛否両論で、とくに後編のエンディングには怒りや悲しさを感じたファンも少なくなかったようだ。
柳葉がこれ以上室井のイメージを引きずりたくなかったため、こういう幕引きになったという説もある。
余談だが、スーパー市毛商店の店主役でいしだあゆみが出演しているのにはびっくりした。
公開4カ月後に76歳で亡くなったため、本作は俳優としてのいしださんの遺作となった。
直接会ったことはないが、結婚していた萩原健一さんによくいしださんのお話を伺っていたので、勝手に他人とは思えない気持ちでいしださんの演技を観ていた。
また、筧利夫の顔つきが1998年の映画版第1作から随分変わっていることにも月日の長さを感じました。
オススメ度C。
A=ぜひ!🤗😱 B=よかったら😉 C=気になったら🤨 D=ヒマだったら😑