
最近、退職代行業「モームリ」の運営会社社長夫妻が逮捕された。
驚かされたのは、弁護士事務所と提携した狡猾な手口もさることながら、(恐らく)主犯の社長が37歳、共犯の妻が31歳と、どちらもまだ経営者としても社会人としても若かったことである。
退職代行業に悩まされている、という話は、僕も管理職の友人知人から何度か聞いている。
ある日突然、人事部に電話がかかってきて、「○○さんの代理の者です」と名乗り、「退職しますので、今後は一切ご本人に直接連絡しないでください」と一方的に告げられるのだそうだ。
こういう仕事を思いつくような人間は、さぞかし年配の拗ね者に違いあるまい、と勝手に想像していたら、僕にとっては子供みたいな年代の人間の仕業だった。
最近はマスコミも若い人の離職率が高いけれど、そういう人間たちをお金儲けに使う同世代の人間たちが増えているらしい。
しかし、そんなことを仕事にして、何が面白いのかねえ。
退職代行を依頼された弁護士が会社側と揉め事になったら大変だし、そもそもモームリの社長はカネで弁護士に退職代行を依頼する行為が違法だと認識した上で犯行を重ねていたという。
ところが、右肩上がりに収益が増えていくのとは裏腹に、退職代行の仕事自体はどんどん杜撰になっていき、弁護士が郵送した内容証明一枚で仕事を片づけようとしたため、依頼者に未払いの給料が支払われないといったトラブルも起きている、と報じられている。
また、退職代行業の隆盛に伴い、中途採用試験を行う際、以前退職代行業を利用したことがあるかどうかを確かめる会社も増えているそうだ。
もちろん、退職代行業を使った応募者は、それだけ離職率が高く、ばっくれてしまう可能性もあると判断されるわけで、再就職を希望した会社でも合格率が低くなるはず。
「モームリ」社長夫妻逮捕を機に、弁護士業界の裏側にもメスが入るだろうから、〝退職代行バブル〟もここらで弾けるかもしれませんね。
ちなみに、僕は20年前、あらゆる面倒臭い手続きをちゃんと自分で行い、21年勤めた会社を43歳で辞めました。
マスコミ業界の傑物だった当時の社長には「しょうがねえなあ、いいよ、辞めろよ、はい、お疲れさん」と憎まれ口をたたかれたけれど、それも62歳の今となっては人生の笑える一コマです。
