英国スキャンダル 王室を揺るがしたインタビュー(Amazon Prime Video、NHK総合)😉

A Very Royal Scandal
全3話 各話59~61分 2024年 イギリス=Amazon MGM、ソニー・ピクチャーズ・テレビジョン
NHK総合初放送:2025年1月11~25日PM11:00~

資産家の性犯罪者ジェフリー・エプスタインと親しく交際し、17歳の少女への性加害を告発された英国王室のアンドリュー王子が、2019年にBBCのインタビューを受けた顛末をテレビドラマ化した作品。
実際にインタビューを行ったBBCのキャスター、エミリー・メイトリスの回顧録が基になっているが、冒頭で「劇的な脚色を加えたフィクションである」という断り書きが出る。

エプスタインはトランプ大統領と昵懇の間柄だったことで注目されており、矯正施設で自殺した(他殺説あり)後の現在もアメリカのマスコミが情報開示を求めて大騒ぎしている。
しかし、エプスタインが当時17歳のヴァージニア・ジュフレをアンドリュー王子に紹介し、計3回の性行為を強要したという疑惑までは知らなかった、という日本人のほうが多いのではないか。

このドラマ化作品では、メイトリス(ルース・ウィルソン)と国営放送BBCは疑惑の真相を追究するより、民放の他局に先駆けてアンドリュー王子(マイケル・シーン)のインタビューを実現させることに躍起。
やっと対面インタビューを実現させても、王子とジュフレのスナップ写真を持参していながら、英王室の世間体を慮り、写真を王子に突きつけて〝自白〟を求めるようなエグい質問はしない。

アンドリューは徹頭徹尾、自らの潔白を主張し、メイトリスも納得したことにしてインタビューの収録は無事終了。
日本の一視聴者と観ている限り、ここまでは今ひとつ盛り上がりに欠け、出来レースを見せられているような印象も受ける。

ところが、これを観た全世界の視聴者から、アンドリュー王子が疑惑を全否定した上、謝罪の言葉すら口にしなかったとして批判の声が上がり、ネットで大炎上
この事態に母のエリザベス2世女王が激怒し、王子は兄チャールズ3世に公職を剥奪され、バッキンガム宮殿からも追い出されてしまう。

一方、アンドリュー王子のインタビュー後、BBCでは取材を断られる事例が相次ぎ、メイトリスは自分の仕事は正しかったのか、間違っていたのか、疑問を抱くようになる。
つまり、このドラマはスキャンダルの中身に切り込んだ作品ではなく、テレビインタビューによって運命を狂わされた人間たちのドラマであり、ひいてはインタビューという仕事の本質と恐ろしさを描いているのだ。

最後まで真相が明らかにされないという食い足りなさは残るものの、テレビジャーナリズムの功罪に焦点を当てたドラマとしては非常に興味深い作品だった。
なお、メイトリスはその後、BBCを退職し、ネットの世界で新たな活動を続けているという。

オススメ度B。

A=ぜひ!🤗😱 B=よかったら😉 C=気になったら🤨  D=ヒマだったら😑

スポーツライター。 1986年、日刊現代に入社。88年から運動部記者を務める。2002年に単行本デビュー作『バントの神様 川相昌弘と巨人軍の物語』(講談社)を上梓。06年に独立。『失われた甲子園』(講談社)新潮ドキュメント賞ノミネート。2010〜2026年、東京スポーツでコラムや野球記事を連載。 日本文藝家協会会員。Yahoo!ニュース公式コメンテーター。
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