
今年、巨人・川相昌弘氏(61歳、現一軍ディフェンスチーフコーチ)が野球殿堂のプレーヤー表彰で選に漏れた。
プレーヤー表彰による殿堂入りの資格は現役引退後5年経過してから15年間と定められており、今年は川相氏にとってラストチャンスだった。
殿堂入りには全体の得票数の75%、256票が必要とされるが、川相氏の得票数は254票で74.5%。
僅か2票差での〝落選〟についてどう思うか、デイリー新潮から見解を述べた原稿を求められた。
思うところはあるけれど、どう書いてもバントに価値を見出さない人には響かないだろうし、感情的になっていると受け取られるのも本意ではない。
そこで、賛否両論を招くのを承知の上で、可能な限り客観的に、私が川相氏を取材した経験から培った野球観、殿堂観を綴ってみることにした。
川相氏は「バントの神様」と呼ばれている。
これは川相氏が犠打世界記録(当時512個、のちにMLB記録が1個上方修正されたため513個に変更)を達成した2002年に出版された拙著のタイトルだ。
ただし、考案したのは私ではなく講談社の編集者である。
私自身は「神様」は大袈裟ではないかと思ったが、「世界記録を作るほどの野球選手は神様ですよ」と編集者に説得された。
川相氏に了解を求めたら、彼も笑いながら快諾。
こうして世に出た『バントの神様』は世界記録達成のタイミングに合わせて発売されたこともあり、売れ行きは順調で、2度重版を重ねた。
川相氏のような犠打と守備を主体とした堅実なプレースタイルが、一般のファンから一定の支持を得た傍証とも言えるだろう。
さらに、拙著は野球体育博物館(2013年、野球殿堂博物館に改称)に資料として採用された。館長名義で講談社宛に要望書を頂戴したので、1冊寄贈している。
当時、川相氏が世界記録達成に使用したバットも東京ドームの殿堂博物館に展示された。
ここまできたのなら、と著者の私は思いを巡らせた。
将来、川相氏本人が殿堂入りして、彼を祝福する原稿が書ければいい、と。
しかし、あれから24年後の今年、その思いが実現しないまま、川相氏はプレーヤー表彰の資格を失った。
この結果を『バントの神様』の著者はどう考えているか、詳しく書いた拙文がデイリー新潮、Yahoo!ニュースに詳しく書いています。
よかったらぜひ御一読ください。