『室町無頼』(WOWOW)😉

135分 2025年 東映 PG12

ベストセラーとなった垣根涼介の同名小説を入江悠が監督した大型時代劇映画。
室町時代中期に実際に起こった事件、寛正の土一揆を描いた作品である。

一揆を指揮した首謀者の浪人・蓮田兵衛に大泉洋、その蓮田に共感しながらも敵対する侍・骨皮道賢に堤真一。
どちらも現代劇の人気を博している俳優で、演出と脚本を手がけた入江も現代の人間ドラマやエンターテインメントで評価を得ている。

この顔合わせで時代劇を作ったらどうなるんだろうと思って観ていたら、序盤からグイグイと引き込まれて、文字通り一気に観てしまった。
当時の農民を虐げていた室町幕府、度重なる搾取に耐えかねた農民との対立の構図には、現代の「政治とカネ」の問題、庶民の物価高に対する不満と相通ずるものがあり、観る側を惹きつけるバックボーンとなっている。

農民と浪人の大群が京になだれ込むクライマックスで、農民たちを縛り続けてきた借金の証文が次々に燃やされる描写が印象深い。
農民たちを先導する大泉もかなりの熱演を見せており、堤と刀を交える殺陣のシーン以上に一風変わった迫力に満ちている。

蓮田に拾われて修行に励み、一人前の武芸者に成長するカエル=才蔵(長尾謙杜)のサイドストーリーも面白い。
次回は同じキャスト、スタッフで応仁の乱を映画化してほしいものです。

オススメ度B。

A=ぜひ!🤗😱 B=よかったら😉 C=気になったら🤨  D=ヒマだったら😑

スポーツライター。 1986年、日刊現代に入社。88年から運動部記者を務める。2002年に単行本デビュー作『バントの神様 川相昌弘と巨人軍の物語』(講談社)を上梓。06年に独立。『失われた甲子園』(講談社)新潮ドキュメント賞ノミネート。東スポ毎週火曜『赤ペン!!』連載中。 東京運動記者クラブ会員。日本文藝家協会会員。
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